フジトミ証券株式会社は投資サービスをはじめ、保険・環境関連サービスをご提供致します。

有効比率の基礎とポジションサイズについて

くりっく365TOP

有効比率の基礎とポジションサイズについて

有効比率の基礎とポジションサイズについて

そもそも有効比率ってなに?

FXやCFDのような証拠金取引においては、その取引の担保となる証拠金の管理が非常に重要です。

そこで重要なのが「有効比率」です。
有効比率とは、取引に必要な証拠金額(必要証拠金)に対する有効証拠金額の割合を示したもので、取引口座の資金状況がリスク資産に対してどの程度になっているかを表していて、具体的な計算方法は以下となります。

有効比率(%)=有効証拠金額÷必要証拠金額×100

必要証拠金は、「取引総額の4%」つまりレバレッジ25倍が上限と定められていて、それをベースに取引所やFX社が決めていることは「▼取引にはいくら必要?」のページで紹介しているとおりです。

例えば、米ドル/円1枚の必要証拠金が58,000円で、10枚の買いポジションを持っている場合なら必要証拠金額は58万円(58,000円×10枚)となります。

次に有効証拠金額とは、簡単に言えばお取引口座の純資産です。
もう少しかみ砕いて説明すれば、「今全てのポジション(建玉)を決済したら口座残高はいくらなの?」という金額で、計算式は次のとおりです。

有効証拠金額=預けている金額(証拠金預託額)+保有ポジションの評価損益(為替差損益+スワップポイントによる損益)

仮に300万円を預けていて米ドル/円の買いポジションを10枚し、為替差損益が30万円ありスワップポイントが累計で18万円付与されていれば、有効証拠金額は348万円という事になります。
したがって、このときの必要証拠金額が58万円なら、有効比率は600%(348万円÷58万円×100)となります。

有効比率は、このように計算されるため、預けている資金が多い場合や評価益が大きい場合、保有しているポジション(必要証拠金額)が小さい場合は大きくなり、逆に預けている資金が少なく評価損が生じていて保有しているポジションが多いと小さくなるということです。

また、ロスカットはこの有効比率が一定水準(フジトミ証券の場合は100%)を下回ったときにおこなわれます。したがって、必要証拠金額に対する口座残高が多いほど、ロスカットされるリスクは低下するわけです。

例1  10万円預け入れ米ドル円を1枚(必要証拠金58,000円)保有した場合
有効比率(%)=172.41%=10万円÷5.8万円×100%

例2  100万円預け入れドル円を1枚(必要証拠金58,000円)保有した場合
有効比率(%)=1,724.14%=100万円÷5.8万円×100%

例3  米ドル/円の為替レートが145円のときに145万円預り入れ米ドル円を1枚(必要証拠金58,000円)保有した場合
有効比率(%)=2,500.00%=145万円÷5.8万円×100%

※上記例は、全て評価損益が生じていないという想定です

上記3つの例の中で、例3は、145万円預けて1ドル145円のときに1枚(=10,000米ドル)取引しているため、実質的なレバレッジ(実効レバレッジ)は1倍で、

現物を取引していることとほぼ同じ意味合い

になります。
さらに、有効比率が100%になったらロスカットなので、139.2円以上相場が逆行した場合ということになります。

※1銘柄しか保有していない場合にロスカットされるまでの値幅は、(有効証拠金額-必要証拠金額)÷取引単位で計算できます。

また、上記3つの例の中で、例1は最も有効比率が小さいのでロスカットのリスクは3つの例の中で最も高く、4.2円以上相場が逆行すると、ロスカットになることがわかります。

このようにリスク管理をする上で重要な指標が有効比率になります。

更に、有効比率は

評価損益(未決済建玉の損失や利益金額)も計算に

組み込まれているため、ポジション(建玉)の維持には、評価損益(値洗い)の状況も勘案したうえで、

有効証拠金額が常に必要証拠金を上回っている状態を維持

するようにしなければなりません。
このようにFX取引では、ポジション維持に必要な証拠金の総額と有効証拠金額との比率「有効証拠金比率」が非常に重要になるということを覚えておきましょう。

▼FX初心者に関する注目記事
【FXの大原則】レバレッジとリスク管理の重要性

有効証拠金比率が高いほど良い訳ではない点を理解しよう

有効証拠金比率が高いほど良い訳ではない点を理解しよう

上記では、有効比率の基本的な概念についてご紹介いたしました。
言うまでもなく、ポジションの量に対して口座残高が多いほどロスカットリスクは低減でき、レバレッジの倍率が1倍に近づくほど現物取引と同等のリスクになることはご理解いただけたかと思います。では、

FXはレバレッジを低く抑え、常に高い有効比率を維持していればいいの?

という点について考えてみましょう。

例えば、1ドル145円のときに1,450万円預けて1枚(1万ドル)取引するケースを考えてみましょう。

1,450万円預けて145万円の取引をしているため、実効レバレッジは0.1倍です。証拠金が5.8万円なら、有効比率はなんと驚異の2.5万%(25,000.00%)です。なんなら、現物を取引するよりもリスクが低いとも言えます。

では、こういった資金管理はFX取引を上手く活用できていると言えるのでしょうか?

上手く活用できていないですよね。
FX取引の魅力の1つが(実際の取引金額よりも)少ない証拠金で投資でき投資効率が高い点が挙げられます。

1ドル145円のとき1万ドル取引するには、実際に両替するなら145万円必要ですが、FXなら5.8万円の証拠金で145万円分の取引ができます。それなのに、1,450万円も預けて5.8万円しか使わないということは、残りの約1,444万円は無駄に預けているだけです。

リスク管理の為とは言え、そんなに多くの余剰金が必要ありませんし、こういった運用をしたいならFXではなく145万円だけを1万ドルに両替して外貨口座で運用した方がまだ投資効率がいいですよね?

このように有効比率が2,500.00%を超える(レバレッジ1倍を下回る)ようなケースもFX取引を上手く活用できていないという事です。

リスクに応じたポジションサイズについて

これまでお伝えのとおり、有効比率が2,500%を大きく上回るのも、100%に近すぎるのも上手な運用方法とは言い難いです。

ただ、このぐらいの有効比率が効果的という水準はありません。
投資のスタンスや取引する通貨ペアなどにより変更する必要があると思います。

ポジションサイジングとは、取引をする前に取引戦略とそれに伴う全体的なリスクを踏まえて取引するポジション数量(ポジションサイズ)を決めることを言います。

また、ポジションバランスとは、同じ通貨ペアの売りと買いのポジションを持っている場合の売り買いのバランスや、複数の通貨ペアを取引している場合それぞれの通貨ペアの売り買いを含めたポジション動向(ポートフォリオと言い換えることも可能)を言います。

そこで、ここでは取引スタンスや取引する通貨ペアを考慮したポジションサイジングについて、解説いたします。

1つ目は、スワップポイントを目的に長期的なスタンスでポジションを維持したい場合。
当然、ポジションがロスカットされてしまえば損失が確定してしまいます。どのような値動きとなった場合でもロスカットされるリスクを回避する必要があり、言うまでもなく有効比率を高めに維持できるようポジションサイジングしなければなりません。スワップポイント欲しさに多くのポジションを取ってしまえば、

為替変動に耐えらずロスカットされる可能性がある為です。

為替レートは対象期間が長期になるほど変動幅は大きくなります。したがって、長期的にポジションを維持したいと考えているのであれば、想定される保有期間に応じた相場変動を考慮しておくなど、口座残高に余裕を持たせて、高めの有効比率で取引をおこなう必要があります。
そのため、特に初心者のFX投資家は、レバレッジは高くても2~3倍程度が理想ではないでしょうか?
そうすると、有効比率はここから逆算して800%以上(25倍÷3倍)になります。

2つ目は、収益機会という視点で見てみましょう。
1つ目の観点では、口座残高を厚めにしてロスカットされるリスクが低減し、スワップポイントを獲得し続けるケースについて説明いたしました。
しかし思惑に反した相場の逆行が続くと、

いくら有効比率に余裕があっても、評価損はどんどん膨らみ

有効比率が低下するという点は、忘れてはなりません。
もちろん、有効比率が800%などのように高めであれば、その後も継続してポジションは維持できるでしょう。
そのうちまた相場が回復してくる可能性もありますが、より一層相場が逆行して評価損が増えてしまうリスクもあるだけでなく、

「別の取引」による収益機会を逃してしまう

という考え方もできます。
評価損が膨らんだポジションは、損切りをおこなう事を避けてしまえば、俗に言う「塩漬け」状態となってしまいます。
もちろん有効比率の兼ね合いにもよりますが、新たなリスクも取りにくくなります。
口座残高の余剰云々を問わず、塩漬け期間が長引くと、取引自体への興味も薄れてしまう方が多いという個人的な経験則もあります。

FXのような証拠金取引では、いつまでも評価益にならないポジションを塩漬けにしておくより、

ある程度で損失を確定させて、仕切り直しをした方が良い場合もある

ということです。

取引する通貨ペアにもよりますが、スワップポイント狙いの長期的なポジションを持ちながら、トレーディングもできるような状態にしておくのもアイデアの1つではないでしょうか?
口座全体のレバレッジが1倍から2倍程度を意識した場合、有効比率は1,250%(25÷2)となります。

最後3つ目は、短期から中期のポジショントレード(デイトレード、スウィングトレード)をおこなうケースです。取引する通貨ペアはメジャー通貨が中心になると考えられ、マイナー通貨の取引に比べて流動性の観点から値動きもマイルドになると言えます。

また、長期的な売買スタンスではない為、これまで説明したケースよりも多少レバレッジは高めでもいいのではないでしょうか?

スキャルピングのように超短期的な売買スタンスや数週間から数カ月のポジショントレードなど、取引スタンスの違いにもよりますが、口座全体のレバレッジは高くても10倍、できれば5倍程度に抑えておきたいところです。なお、口座全体のレバレッジが10倍ということは、有効比率は最低でも250%(25÷10)、5倍なら500%(25÷5)ということです。

あまり、口座全体のレバレッジやそこからはじき出される有効比率を意識される方は少ないかもしれませんが、是非リスク管理にお役立てください。

▼FX初心者に関する注目記事
FXがデイトレードに適している理由

お問い合わせ

東京本社
大阪支店
セミナーで一緒に勉強しませんか?

各種資料請求・WEBセミナー