ファンダメンタルズ要因とテクニカル分析
為替相場の値動きのアプローチとなるファンダメンタルズ&テクニカル分析
FX取引を行うにあたり、当然のことながら売ったり買ったりするための根拠が必要であることは言うまでもありません。FXに限らず、
・上がりそうだからロングポジションを取る
・下がりそうだからショートポジションを取る
というのが相場の基本ではありますが、その値動きの見通しの根拠は金融商品によって多少違いがあります。例えば現物株で言うと、とある企業の業績が良さそう、増配が好感された、財務基盤がしっかりしている、などの要因によって株価が上がったり、下がったりします。
こうした各銘柄の基礎的条件をファンダメンタルズと言い、このような情報を元に先行きを見通すことをファンダメンタルズ分析と言います。よってFXにおけるファンダメンタルズ分析も同様、株で言う銘柄に当たる部分を国に置き換えるとしっくり来るのではないかと思いますが、売ったり買ったりする通貨の
国の経済状況などを基に値動きを見通すのがファンダメンタルズ分析
ということになります。
一方、こうした経済的要素以上にテクニカルチャートを用いて為替レートの先行きを見通すのがテクニカル分析です。テクニカル分析においては、ファンダメンタルズ分析における経済状況のような明確な根拠があるわけではなく、
そのチャートを多くの人が見て、そのように予想するから価格が醸成される
という特性のものであり、その判断材料となるのがテクニカルチャートなのです。
それぞれの通貨ペアの過去の値動きを示すチャートには、日足や週足、5分足・30分足など様々な時間軸のチャートがありますが、テクニカル分析においては
多くの市場参加者と同じチャートを見る
ということが重要であり、自分だけが見ているようなチャートを幾ら分析しても、他の市場参加者が同じ判断をするわけではないということを認識する必要があり、これがテクニカル分析の醍醐味でもあります。
今回は、そんなFX取引におけるファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の特徴について見ていきましょう。
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経済指標が重要?FXにおけるファンダメンタルズ分析の特徴
為替相場動向を判断するためのアプローチの一つとなるファンダメンタルズ分析。
FX取引におけるファンダメンタルズ分析においては、
狭義では各国が公表する様々な経済指標、広義では市場全体のリスク許容度であったり、株価動向であったり、世界的な治安情勢であったりと、
市場参加者がどのような点に着目して売買するか?
という点の見極めが重要になります。
もちろん、各国で公表される経済指標は売買の判断となりますが、仮に公表された指標が市場予想を上回ったからといって必ずしも値上がりするとは限らず、その逆もしかりです。仮に公表された経済指標が予想以上の結果であったとしても
・市場がすでに織り込んでいて影響は限定的
・その他の情報を手がかりにする場合もある
というケースも往々にありますので、結果的に市場参加者がどのように動くかを見極める必要があるでしょう。また、各国で公表される経済指標においても、その全てが値動きの要因となるわけではなく、
米雇用統計のような市場参加者の多くが注目するインパクトの大きな指標
もあれば、注目度がさほど大きくない指標もあるということも覚えておく必要があります。また、経済指標の結果と値動きの相関性で言えば、いくら数値的な結果が良好でも市場予想通りであれば値動きは限定的であり、
市場予想に反すれば大きな値動きの要因となる
という点も留意する必要があります。
例えば、米GDPの場合を見てみましょう。
≪パターン1≫
市場予想:+2.0%
結果:+2.5%
≪パターン2≫
市場予想:+3.0%
結果:+2.8%
結果的にはパターン2の方がGDP伸び率も大きく、ドル高の支援材料となりそうなイメージですが、実際にはパターン1の方が市場予想に反して好結果、パターン2の方は市場予想に反して悪結果、ということになるためパターン2の方がドル売り材料と判断されることが多々あるのです。
ただし、これはあくまでも短期的なインパクトはドル売り、中長期な判断ではドル買い材料と判断される部分ではあり、この結果を受けて株価が上昇に転じればドル買い材料として判断されることもあるので判断が難しいところではありますが、ファンダメンタルズ分析においては、諸々の経済指標や経済動向を
「市場参加者がどのように判断するか?」
という点が重要であり、足もとの経済状況や指標が良好であっても、悪化であっても、そのとおりに為替レートが変動するわけではないという点は念頭においておく必要があります。
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中長期で用いたいチャートを用いたテクニカル分析
続いてはテクニカルチャートを使ったテクニカル分析についてです。
株にせよ債券にせよ、何らかの金融商品に投資している方なら一度は目にしたことがあるテクニカルチャートですが、過去の値動きから未来の値動きを予想するツールとして世界的に幅広く用いられている分析ツールです。
チャートを用いて将来の値動きを予想することをテクニカル分析といい、FX取引においても積極的に活用されています。
価格の値動きはトレンドを形成するという前提
を基にトレンドラインを引いたり、様々なテクニカル指標を組み合わせて確度を高めていくというのがテクニカル分析の醍醐味ではありますが、FXにおいては
短期的な値動きの要素が大きい傾向
がありますので、あくまでその時々の時勢を加味しながら判断していくことが重要です。そういう観点では、週足や月足といった長期的なチャートを用いるより、日足や60分足などの中期・短期チャートを用いた方が臨機応変に判断できるかもしれませんが、テクニカル分析もファンダメンタルズ分析同様
チャートを見ている市場参加者がどのように判断するか?
という点が重要な要素となります。
チャートを使った様々な分析方法は、また別記事で取り上げますが、テクニカル分析においては、売買の目安となる目標値を定めやすいという点もメリットとして挙げられます。例えば、トレンドラインを引いて
この水準を下回ったら利益確定をしよう
この水準を上回ったらポジションを取ろう
といったような機械的な判断がしやすい傾向にあります。
テクニカル分析もファンダメンタルズ分析もそれぞれでメリットや特性が異なるものですので、どちらも考慮しながら自身のトレードに取り入れていることが肝要です。
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※2022年8月時点での情報となります。