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金価格の変動要因と現状

2026.06.01

過去最高値を更新する金(Gold)

「リスクオフ(リスク回避)」とは、投資家が株式などのリスク資産から資金を引き揚げ、より安全とされる資産へ資金を移す市場環境を指します。例えば、株式を売却して(株価が下落)、国債などを買う動きが代表的です。

こうした局面で買われやすい資産の一つが「金(ゴールド)」です。ただし、過去には新型コロナウイルス拡大時のように、資金確保のためにあらゆる資産が売られる局面もあり、安全資産とされる金でさえ一時的に下落する場面も見られました。

足元では、米国とイランの対立激化など中東情勢の緊迫化や、原油価格の高騰を背景としたインフレ再燃懸念により、市場の不透明感が強まっています。このため、安全資産としての金への需要が改めて高まり、価格は歴史的な高値圏で推移しています。

以下、現時点(2026年6月1日時点)の金価格に影響を与えている変動要因をお伝えします。

主要中央銀行の政策金利の最新動向

2022年のウクライナ侵攻以降続いた世界的なインフレは、2025年にかけて鈍化傾向となりました。
しかし、2026年に入り中東情勢の緊迫化やエネルギー価格の再上昇を背景に、インフレ再燃への警戒感が再び強まっています。こうした環境のもと、主要中央銀行は「利下げ局面の終了」から「高金利の長期維持(higher for longer)」へとスタンスをシフトさせています。

■主要国の政策金利動向(2026年6月1日時点)

・米連邦準備制度理事会(FRB):3.75%
(2025年後半に利下げを実施した後、2026年は据え置きとなっています。足元では、エネルギー価格上昇やサービスインフレの粘着性を背景に、利下げ再開には慎重な姿勢を維持する様になっています。)

・欧州中央銀行(ECB): 2.15%前後
(2025年の利下げ後は据え置きとなっています。インフレは鈍化しているものの、サービス価格の上昇が続いており、追加緩和には慎重になっています。)

・イングランド銀行(BOE):3.75%
(2025年に段階的な利下げを実施後は据え置きとなっています。賃金上昇率の高さが続き、インフレ圧力が残存しています。)

・日本銀行(日銀):0.75%
(2025年の利上げ後は据え置きとなっています。2026年は、金融正常化を目指しておりますが、景気への影響を見極めながら慎重に対応する姿勢となっています。)

→主要中銀は総じて「利下げ再開に慎重」「高めの金利水準を長期維持」というスタンスになっています。

各国の政策スタンス

FRB
インフレは一時鈍化したものの、エネルギー価格の再上昇や地政学リスクの高まりを背景に再加速懸念が浮上しています。労働市場は底堅く、景気も大きく崩れていないことから「ノーランディング」シナリオが意識されています。FRBはデータ重視姿勢を維持し、2026年内は据え置き長期化の見方が優勢となっております。

ECB
景気は弱含みながらも、サービスインフレの粘着性が依然として強くなっています。利下げは一巡し、当面は現行水準を維持しながら物価動向を見極める局面となっております。

BOE
景気は減速基調ですが、賃金上昇の圧力が依然として強い状況となっています。加えて、通貨安による輸入インフレも意識され、金融緩和には慎重な姿勢となっています。

日銀
主要国が高金利維持に転じる中、日銀は緩やかな金融正常化を目指しています。ただし、外部環境の不透明感や資源価格上昇による景気下押しリスクを踏まえ、追加利上げは段階的かつ慎重に判断する状況となっています。

■金(ゴールド)への影響
一般的に利下げは金にとって追い風になりますが、足元ではインフレ再燃懸念を背景に利下げ観測が後退しています。このため、金相場の上値はやや抑制されやすい状況となっています。

一方で、実質金利の低下期待やドルの先安観は依然として存在していますので、金価格の下値は限定的との見方もあります。

■地政学リスクと安全資産需要
2026年も世界的な不透明感は高い状態が続いています。

・ウクライナ情勢の長期化
・米国とイランの対立激化による中東情勢の緊迫化
・米中間のハイテク・半導体覇権争い

これらを背景に市場のボラティリティは高止まりして、安全資産としての金への資金流入は継続しています。

■中央銀行の金購入動向
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、中央銀行による金の購入は引き続き高水準となっています。

・2025年:約863トン

背景には、新興国を中心とした外貨準備の多様化、制裁リスク回避、通貨価値変動へのヘッジ需要があります。こうした構造的需要は、短期的な価格調整局面においても相場の下支え要因となっています。

【2026年6月1日時点】

出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成

【金(標準)先物と主要金融指標の推移】
NYダウや日経平均株価が史上最高値圏にある中、金標準指数が強い上昇基調を示していることから、金融資産の中でも金に資金が集まっている状況が続いています。

【2026年6月1日時点】

出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成

コロナショック後の金価格は、他の金融指標に比べて堅調に推移しています。
上のグラフは、金(標準)先物と、日経225、NYダウ、独DAX®、英FTSE100の2020年年初来のチャートです。
主要国の株価指数も一部を除いては、世界的な金融緩和や新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることもあり、最高値を更新しています。
一方で、金価格は米利下げ観測や地政学リスクの継続などを背景に過去最高値を更新しています。

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