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金価格の変動要因と現状

2026.03.03

過去最高値を更新する金(Gold)

「リスクオフ(リスク回避)」とは、金融用語でより安全な資産に資金が向かい易いマーケットの状況をいいます。
例えば、株式投資の資金を引き揚げて(株価が下落)、国債を買うような投資行動などが挙げられます。
リスクオフで買われやすい資産の1つに「金(Gold)」があります。ただ、新型コロナウィルスによる景気後退懸念によるリスクオフでは、一時全ての資産を現金化する動きがあったため、リスクオフで買われやすいとされる金でさえも下落する局面がありました。

金価格は、市場の需要と供給の影響を受けて変動し、時には歴史的な高値を記録することがあります。金の価格上昇は、様々な要因によって引き起こされる可能性がありますが、一般的には経済の不安定さやインフレーションの懸念、または政治的な不確実性などが影響しています。過去最高値を更新している金価格は、投資家や取引業者にとって注目の的となっています。

以下、現時点(2026年2月28日時点)の金価格に影響を与えている変動要因をお伝えします。

主要中央銀行の政策金利

2022年のウクライナ侵攻以降続いた歴史的なインフレ局面は、2025年を通じて沈静化に向かいました。これを受け、主要中央銀行は「引き締め」から「中立」へと舵を切りましたが、地政学リスクの再燃や供給網の再編による物価の下げ止まりを警戒し、2026年初頭の現在は利下げサイクルの最終局面、あるいは慎重な据え置き局面にあります。

主要国の政策金利動向

2026年3月時点における主要中銀の政策金利は以下の通りです。

・米連邦準備制度理事会(FRB):3.75%
(2025年12月に0.25%利下げ後、直近会合では据え置き)

・欧州中央銀行(ECB):2.15%
(2025年6月の利下げ以降、現行水準を維持)

・イングランド銀行(BOE):3.75%
(2025年12月に利下げ後、様子見姿勢)

・日本銀行(日銀):0.75%
(2025年12月に0.25%利上げ後、現状維持)

2025年後半から主要国は金融緩和方向へ舵を切りましたが、足元では中東情勢の緊迫化に伴う原油高を受け、インフレ再燃リスクが再び意識されています。各中銀は追加緩和に慎重な姿勢を強めています。

 

各国の政策スタンス

米国(FRB)
インフレ率は一時2%近傍まで低下したものの、エネルギー価格上昇の影響により再加速リスクが浮上しています。労働市場は依然として底堅く、「ノーランディング」シナリオも市場で議論されています。FRBはデータ重視の姿勢を維持しており、追加利下げは経済指標次第との立場です。市場では年内1~2回の利下げ観測が残る一方、据え置き長期化の可能性も織り込まれつつあります。

ユーロ圏(ECB)
域内景気は停滞感が続くが、サービス価格を中心とする粘着的インフレが課題となっています。利下げサイクルは事実上停止し、高めの金利水準を維持しながら物価動向を見極める段階にあります。

英国(BOE)
英国経済は緩やかな減速局面となっています。インフレ率は低下傾向にありますが、賃金上昇圧力が残存しています。ポンド相場への影響も考慮し、追加緩和には慎重姿勢を維持しています。

日本(日銀)
世界的な利下げ基調の中で、日銀は金融正常化を継続しています。実質金利のマイナス幅を縮小し、円安是正と物価安定を図る局面にあります。ただし、外部環境悪化や資源価格高騰が国内景気を下押しする場合、追加利上げには慎重な判断が求められています。

金(ゴールド)に対する影響

一般的に利下げ局面は、利息を生まない金にとって追い風となります。政策金利の低下により保有コスト(機会費用)が減少するためです。

2022~2024年の急速な利上げ局面では高金利が金の上値抑制要因とみられましたが、実際にはインフレ懸念と地政学リスクが下支えとなりました。

地政学リスクと安全資産としての動き

2026年も世界的な不透明感は解消していない状況となっています。

・ウクライナ情勢の長期化
・米国とイランの対立による中東地域での軍事衝突拡大とホルムズ海峡封鎖リスク
・米中間のハイテク・半導体分野での覇権争い

これらの要因が市場のボラティリティを高め、リスク回避資金の一部が金市場へ流入しています。株式市場が不安定化する局面では、分散投資先としての金の役割が再評価されています。

中央銀行による金買い動向

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の統計によれば、中央銀行による年間金買い付け量は2022年以降3年連続で1000トンを超える高水準となり、2025年も高水準を維持しました。

・2025年実績:約863トン

背景には、新興国を中心とした外貨準備の多角化、制裁リスク回避、通貨価値変動へのヘッジ需要があります。こうした構造的需要は、短期的な価格調整局面においても相場の下支え要因となっています。

【2026年2月28日時点】

出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成

【金(標準)先物と主要金融指標の推移】
NYダウや日経平均株価が史上最高値圏にある中、金標準指数が強い上昇基調を示していることから、金融資産の中でも金に資金が集まっている状況が続いています。

【2026年2月28日時点】

出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成

コロナショック後の金価格は、他の金融指標に比べて堅調に推移しています。
上のグラフは、金(標準)先物と、日経225、NYダウ、独DAX®、英FTSE100の2020年年初来のチャートです。
主要国の株価指数も一部を除いては、世界的な金融緩和や新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることもあり、最高値を更新しています。
一方で、金価格は米利下げ観測や地政学リスクの継続などを背景に過去最高値を更新しています。

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