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原油価格を左右する要因

マーケット情報

原油価格の変動要因と現状

2024年09月04日

原油価格は、市場経済における需給バランスに加え、地政学的緊張(リスク)の有無、各国の金融政策や投機的資金の動向等により上下に変動します。

原油価格の代表的指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミーディエイト)は、2023年12月13日に安値(67.71ドル)を付けた後、上昇傾向を続けています。原油価格の上昇は、我が国が99%以上の輸入依存度を持つ石油製品の価格に直結しています。これにより、製造業や運輸業などの燃料コストに影響を与え、同時に、ガソリンや灯油代などの支出が庶民の家計にも大きな負担をかけています。

以下、現時点(2024年8月1日時点)の原油価格に影響を与えている変動要因をお伝えします。

世界的な需要の鈍化
IEA(国際エネルギー機関)は2024年5月15日に公表した月報で、2024年の石油需要の伸び予測を日量110万バレルとして、先月から14万バレル引き下げました。石油需要の低迷要因としましては、先進国の産業活動の不振と暖冬によるものと見られています。特に欧州でのディーゼル車のシェアが低下していることで、軽油の消費量の減少が石油需要の低迷要因となっています。
また、主要中央銀行の高金利政策による経済の低迷や中国景気の回復の遅れによって、石油の需要の鈍化が警戒されています。

産油国による供給方針
OPECプラス(石油輸出機構:加盟10か国+非OPEC加盟国11か国)による生産調整があります。
2024年6月2日にOPECプラスの閣僚級会合が開催され、現状の日量366万バレルの協調減産を2025年末まで延長で合意されました。また、8か国による約日量220万バレルの自主減産は2024年9月末まで延長となりました。現在のOPECプラスによる減産規模の合計は、日量586万バレルと世界の需要の約5.7%に相当になります。ただ、自主減産に関しましては、2024年10月以降は段階的に縮小させることが決まっています。また、2025年の国別の生産枠については、アラブ首長国連邦(UAE)が日量30万バレル、ロシアが同12万1000バレル、ナイジェリアが同12万バレルの引き上げられる予定となっています。

OPEC石油輸出機構)
イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アルジェリア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、ガボン、赤道ギニア、コンゴ(加盟12か国)

OPECプラス(非OPEC加盟国)
アゼルバイジャン、バーレーン、ブラジル、ブルネイ、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダン(11か国)

OPECプラスの自主減産(20246月現在) 日量
サウジアラビア 100万バレル
イラク 22万バレル
UAE 16万3,000バレル
クウェート 13万5,000バレル
カザフスタン 8万2,000バレル
アルジェリア 5万1,000バレル
オマーン 4万2,000バレル
ロシア 47万1,000バレル

【NY原油の価格推移】

(2020年1月~2024年8月31日)

出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成

ベーカー・ヒューズ社発表の米原油掘削リグ稼働数の推移
世界の石油生産は、2023年5月時点で第1位が米国(日量2090万バレル)、第2位がロシア(日量1051万バレル)、第3位がサウジアラビア(日量980万バレル)となっています。
米国が世界最大の石油生産国となっていることから、米国の原油掘削リグの稼働数の増減も原油価格に影響を与えます。

(2019年1月~2023年8月31日)

出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成

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