原油価格は、市場経済における需給バランスに加え、地政学的緊張(リスク)の有無、各国の金融政策や投機的資金の動向等により上下に変動します。
原油価格の代表的指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミーディエイト)は、2023年12月13日に安値(67.71ドル)を付けた後、上昇傾向を続けています。原油価格の上昇は、我が国が99%以上の輸入依存度を持つ石油製品の価格に直結しています。これにより、製造業や運輸業などの燃料コストに影響を与え、同時に、ガソリンや灯油代などの支出が庶民の家計にも大きな負担をかけています。
以下、現時点(2025年1月3日時点)の原油価格に影響を与えている変動要因をお伝えします。
世界的な需要の鈍化
IEA(国際エネルギー機関)は2024年9月12日に公表した月報で、2024年の石油需要の伸び予測を日量90万バレルとして、前回の伸び予測の97万バレルから引き下げました。石油需要の低迷要因としましては、世界第2位の消費国となる中国の景気後退による需要の低迷と見られています。また、世界的なインフレによって、主要中央銀行の高金利政策による経済の低迷も一因となっています。
ただ、最近は長く続いたインフレからの脱却によって、主要中央銀行は金利引き下げに舵を取る動きとなっており、経済活動の回復によるエネルギー需要の拡大が期待され始めています。
現在の原油価格を左右する要因
産油国による供給方針
OPECプラス(石油輸出機構:加盟10か国+非OPEC加盟国11か国)による生産調整があります。
2024年6月2日にOPECプラスの閣僚級会合で、現状の日量366万バレルの協調減産を2025年末まで延長となっています。また、サウジアラビアなど8カ国による約日量220万バレルの自主減産は、2024年10月2日に開催されたOPECプラスの合同閣僚監視委員会(JMMC)で、2024年11月末まで延長となりました。現在のOPECプラスによる減産規模の合計は、日量586万バレルと世界の需要の約5.7%に相当になります。ただ、自主減産に関しましては、2024年12月からは段階的に減産幅を縮小するとされています。2025年の国別の生産枠については、アラブ首長国連邦(UAE)が日量30万バレル、ロシアが同12万1000バレル、ナイジェリアが同12万バレルの引き上げられる予定となっています。
国際情勢の悪化による供給懸念
現在、中東地域では長引くイスラエルとパレスチナ自治区のイスラム組織ハマスとの紛争の他に、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの衝突が激化しています。また、ヒズボラの後ろ盾となっているイランが、先日イスラエルにミサイルを発射したことで、イスラエルとイランの直接的な衝突が警戒されています。この産油国が集まる中東地域での紛争の拡大によって、石油の供給懸念が高まっています。また、中東地域以外でもロシアとウクライナの軍事衝突は2年以上続いており、ロシア産原油や天然ガスの供給不安も引き続き警戒されています。
OPEC(石油輸出機構)
イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アルジェリア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、ガボン、赤道ギニア、コンゴ(加盟12か国)
OPECプラス(非OPEC加盟国)
アゼルバイジャン、バーレーン、ブラジル、ブルネイ、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダン(11か国)
OPECプラスの自主減産(2024年12月現在) | 日量 |
サウジアラビア | 100万バレル |
イラク | 22万バレル |
UAE | 16万3,000バレル |
クウェート | 13万5,000バレル |
カザフスタン | 8万2,000バレル |
アルジェリア | 5万1,000バレル |
オマーン | 4万2,000バレル |
ロシア | 47万1,000バレル |
【NY原油の価格推移】
(2020年1月~2025年1月3日)
出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成
ベーカー・ヒューズ社発表の米原油掘削リグ稼働数の推移
世界の石油生産は、2023年5月時点で第1位が米国(日量2090万バレル)、第2位がロシア(日量1051万バレル)、第3位がサウジアラビア(日量980万バレル)となっています。
米国が世界最大の石油生産国となっていることから、米国の原油掘削リグの稼働数の増減も原油価格に影響を与えます。
(2019年1月~2025年1月3日)
出所:Bloombergのデータを元にフジトミ証券作成
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