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フラジャイル5の3カ国 新興国リスクでドル円は軟調 (ドル/円 5分足)
- 2018/08/31
- アジアタイム
(今週は、米蔵の代役を山口が務めます。)
【米ドル/円 5分足チャート】
※チャートはフジトミトレーダー365FX
米ドル/円のロンドンタイム以降の5分足チャートです。
30日の米ドル/円は前日終値の111.675に比べ0.62安い111.055で引けました。111.755で寄り付いた米ドル円は本邦株式市場やアジア株の下落に伴い東京タイムで111.50まで下落。その後は概ね111.60から111.70の間で推移しておりました。ロンドンタイムに入ると欧州株や新興国通貨が軟調に推移したことでリスクオフにより、日本円やスイスフラン、米ドルが買われ、相対的に米ドル/円は上値の重い展開となり111.50を割り込み、NYタイムに入る段階ではアルゼンチンの利上げもむなしく、アルゼンチンペソが下落。米国株も下落してはじまったことから日本円は買われる展開となりました。
【各通貨の強弱感】
※東京金融取引所のデータを元にフジトミ作成
昨日の各通貨の強弱感は上記のとおりです。昨日は、アジア株→欧州株→米国株が軟調に推移したことに加え、トルコリラの下落やインドルピーの下落に連鎖した新興国通貨の下落を受け、リスク回避で買われやすい、日本円、スイスフラン、その他、先進国通貨が買われ、他の新興国通貨も売られる展開となりました。
【昨日の新興国通貨の値動き】
上のチャートは30日AM7時から31日AM7時までの1分足終値ベースでの新興国通貨の値動きです。
・インドルピー(紫色)左軸
・南アランド(青色)左軸
・メキシコペソ(橙色)左軸
・トルコリラ(赤色)右軸
・アルゼンチンペソ(緑色)右軸
黄色い網掛けの部分でお示しのとおり、NYタイムにかけてトルコリラや南アランド、インドルピートルコリラなどが下落して推移したことで、NYタイムスタート時にアルゼンチンペソが大幅に下落。
政策金利を45%から60%に引き上げたものの、再度、通貨下落に歯止めがかけられなかったという状況です。
バタフライ効果とは、ブラジルで1匹の蝶が羽ばたきをするとテキサスで竜巻を引き起こすことがあるというカオス理論の1つです。
ざっくり解説すればちょっとした現象がまったく間違うところで大きな影響が起こること(とそれの予測可能性についての理論)です。
昨日のような短期的な値動きとしては、新興国通貨の下落がファンダメンタルが悪い他の低い流動性の通貨に波及するという状況で、もう少し長めの期間で考えれば、米国の利上げや日本を除く先進国(特に欧州やイギリス)の量的緩和縮小や終了が、特に財政赤字の新興国に波及しているといった具合です。ただ、これはバタフライ効果とは異なり、ある程度、予想がつくものだと思います。
本日は週末で明日からは米国が三連休。ポジション調整なども入りやすい地合いにあります。リスクを想定した売買が大切なのではないでしょうか?
【本日の主要な経済指標】
15:00 7月独小売売上高指数
18:00 7月ユーロ圏失業率
18:00 8月ユーロ圏消費者物価指数(速報値)
21:00 4-6月期ブラジルGDP
21:00 4-6月期インドGDP
21:00 7月南アフリカ貿易収支
22:45 8月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 8月ミシガン大消費者信頼感指数
1日02:00 デギンドス欧州中央銀行副総裁講演
以前、VISTAというキーワードがありました。
ベトナム、インドネシア、南アフリカ共和国・トルコ・アルゼンチンの頭文字をとった新興国群を示す名称で、ポストBRIC’sとして注目されていました。また、フラジャイル5とは、ブラジル・インド・インドネシア・南アフリカ・トルコを示す対外負債の大きな国の頭文字とった新興国群を表しています。
新興国通貨が下落する中、本日21時には、フラジャイル5として注目されている(た?)国のうち3カ国の主要な経済指標の発表があり注目しています。
【本日のポイント】
今週末は米国市場がレーバーデーで3連休となります。そのため、ポジション調整などの動きにも注意してリスク管理をしっかりしておきたいところです。
ちなみに、レイバー・デーはアメリカ人にとって夏休みの終わりを象徴し、アメリカでは夏休み最後の3連休を旅行やバーベキュー、パーティーなどで楽しむという習慣があります。そして、この3連休が終わると新年度がスタートいたします。
レイバー・デー明けというのは、多くのアメリカ国民にとって夏休みでリフレッシュし、新年度入りして「これから頑張ろう!」といったタイミングになるので、この新年度入りだけが理由ではありませんが、マーケットにおいては、9月から相場に方向感が出始めることが多いということが知られています。昨年や一昨年の株式市場や2016年や2014年の米ドル/円相場などは9月からトレンドが変化していることがわかります。
また、過去に遡って、1985年のプラザ合意や2001年のアメリカの同時多発テロ、2008年のリーマンショックなど9月に大小のイベントやアクシデントがあったことも9月から相場に方向感が出始めることが多かった理由の1つと考えられます。
今年の9月は、日本では自民党総裁選がありますし、米国では9月26日(日本時間9月27日午前3時)のFOMCでの利上げがほぼ確実視されています。
来週明け、どの資産クラスに資金が入り始めるかをじっくり観察したいところです。