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最低賃金と物価

2023年06月23日

皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

6月21日、第211回通常国会が閉会し、岸田首相による記者会見がおこなわれました。会見のなかで、2023年の最低賃金を現在の時給961円から1,000円に引き上げるよう審議会で議論していきたいと発言されていました。

最低賃金がどうなっているのか。気になったので調べてみいました。現時点の最低賃金時給額をグラフにすると次のようになります。

最低賃金時給額(2022年)

出典:厚生労働省

こうやってみると都道府県によって随分と違います。最も最低賃金が高かったのは皆さんの想像どおり、東京の1,072円でした。一方、最低賃金が低かったのは「青森、秋田、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄」の10県が853円と並んでいます。地域でいうと、東北、四国、九州の賃金が低く、地域地方間格差が顕著に表れています。

岸田首相の考えどおり、最低賃金を1,000円に引き上げるためには現在の961円から4.06%引き上げなければなりません。現在の地域間格差が変わることなく引きあげるのであれば、東京都の最低賃金はおおよそ1,115円、最も低かった10県の最低賃金はおおよそ888円に引き上げられる計算になります。

ちなみに最低賃金はどのようにして決まっているのかご存じですか?

厚生労働省のホームぺージには次のように記載されています。


最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成される最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定しています。
 具体的には、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により決定されます。

中央最低賃金審議会から示さしめされた内容を踏まえて、地方最低賃金審議会が審議し、都道府県労働局長が決定するプロセスになっているようです。

どんなことが中央最低賃金審議会で議論されたのか気になる方は、公開されている議事録をご覧ください。

中央最低賃金審議会 (中央最低賃金審議会)-外部サイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-tingin_127939.html

本日発表された5月の消費者物価数

なお、本日発表された全国消費者物価指数は総合が前年比で3.2%のプラスでした。

次のグラフはすべての物価変動を表した総合(CPI)、生鮮食品を除いた総合(コアCPI)、さらにエネルギーを除いた総合(コアコアCPI)の変動を表したものです。

全国消費者物価指数(前年同月比)

出典:総務省

黄色い線で示したコアコアCPIのが上昇し続けていることが解りますね。生鮮食品やエネルギーを除いた商品の価格上昇が続いており、物価の上昇は家計に大きな痛手になっているはずです。

冒頭でお話した最低賃金を1,000円に引き上げる話。現在の961円から見て4.06%引き上げることになる訳ですが、コアコアCPIの上昇率は4.3%です。

名目賃金を物価上昇率で割った実質賃金をコアコアCPIペースで計算すると、たとえ1,000円に引き上げたとしても実質賃金はマイナスです。

日本経済は大きな転換点に差し掛かっているのかもしれませんね。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


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