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消費者物価指数(CPI)と家計支出の違い(その1)

2022年10月19日

おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

今週末(10月21日)に日本の9月消費者物価指数(CPI)が発表されます。アナリスト予想は、前年比2.9%増、コアCPIが3.0%増です。

3.0%増加というのがどのくらいの変化なのか。実際の金額で言うと去年10,000円だったものが現在10,300円に値上がりしている状態です。

どうですか、皆さん?

日常生活で色々な事にお金を使っていると思いますが、その感覚と一致しますか?なにもかも値上がりしているからなるべくお金を使わないようにしている、という方も多いと思いますが、消費者物価指数(CPI)という統計数値の上昇と、私達の生活で支出する金額の増加の間にギャップがあるように思えます。どうしてそんなギャップが生まれるのか、せっかくなので考えてみたいと思います。

消費者物価指数は毎月、総務省統計局から発表されますが、どのようなルールで発表されているのかは、「Ⅰ 2020年基準消費者物価指数の概要(https://www.stat.go.jp/data/cpi/2020/kaisetsu/index.html#app1)」に書かれています。

指数の概要を読むと、指数の算出は、「基準時加重相対法算式(ラスパイレス型)とする。」と記載されています。初めて聞く言葉かもしれませんが、物価指数の計算方法にはいくつか種類があって、各種の財の数量を基準時で固定して計算するラスパイレス型物価指数と、本年度の財の数量で固定して計算するパーシェ型物価指数があります。

実際に計算してみます。

<例>カレーパンとメロンパンのみ消費される国の物価

基準年 比較年
価格 数量 価格 数量
カレーパン 120 100 200 50
メロンパン 100 100 50 150

基準年のカレーパンの価格が120円、メロンパンの価格が100円でそれぞれ100個ずつ消費している国の場合、カレーパンの消費額が120円×100個で12,000円、メロンパンの消費額が100円×100個で10,000円なので合計した22,000円が物価基準額です。

比較年にカレーパンの価格は200円に急騰し、メロンパンの価格は50円に値下がりしたとします。

ラスパイレス型物価指数の計算は、基準年の数量に固定して計算するので比較年の計算は、カレーパンが200円×100個で20,000円、メロンパンが50円×100個で5,000がそれぞれの値になり、合計した25,000円が比較年の物価額になります。

比較年の25,000円を基準年の22,000円で割って100を掛けた113.6が、基準年の100とした際の比較年の物価になる訳です。

どうですか?ピンときますか?

比較年に売れたカレーパンの数は50個、メロンパンの数は150個です。割高になれば買われる量が減り、割安であれば購入される数量が増えるため、実際に使われた金額はカレーパンが10,000円、メロンパンが7,500円で17,500円です。基準年よりも使われた金額は4,500円も少なくなっています。ラスパイレス型物価指数の計算には、今年何個売れたのかは考慮されていません。

発表された消費者物価指数の数字と、普段の生活で支払っている金額にズレを感じるのは、計算方式にあるようです。

次回(消費者物価指数(CPI)と家計支出の違いその2)につづく・・・

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


参考文献:
・証券アナリスト1次試験過去問題集(経済)-TAC出版
2020年基準 消費者物価指数の解説-総務省統計局

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