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消費者物価指数(CPI)の見方

2022年05月12日

皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

昨夜発表された4月のアメリカ消費者物価指数(CPI)は、前月比で0.3%のプラス、前年同月比で8.2%のプラスでした。

経済指標を取扱っているサイトでは、「前月比」と「前年同月比」の2つを掲載しているところをよく見かけます。その数字の変化を見て、私達は、状況を判断していますが、この違いについて考えたことはありますか。

前月比というのは、先月と比べてどれだけ変動したのかを表しており、前年同月比は前年の同じ月と比べてどれだけ変動したのかを表しています。

次のグラフはリーマンショックがあった2008年以降のアメリカ消費者物価指数を前月比で表示させたものです。

グラフ1.アメリカ消費者物価指数(CPI)-前月比

出典:米労働省

変動の平均は+0.2%です。過去のデータをみると解りますが、ほとんどの場合消費者物価は前月比プラスで推移しています。近年のアメリカは、毎月、物の値段が少しずつ上がることが当たり前の経済です。

2008年9月に発生したリーマンショックや2020年3月のコロナショックのようなショッキングな事象が発生しない限り、物価が大きく下落することはありません。直近の変動をみると3月に1.2%上昇していました。その上昇した状態から0.3%上昇したのが4月です。平均は0.2%ですから4月の変動は平均よりも0.1%高かったという訳です。

同じアメリカ消費者物価指数を前年同月比で見るとどうなるでしょうか。

グラフ2.アメリカ消費者物価指数(CPI)-前年同月比

出典:米労働省

先程確認した前月比のデータと雰囲気が違いますよね。変動の平均は+2.1%でした。
4月は前年同月比で8.3%のプラスでした。前年同月比で分析する際、注意しなければならないのが1年前の物価がどうだったのかです。1年前、すでに物価が上昇しているのであれば、比較するのは上昇後の物価なので変動率は小さくなります。グラフ2をみると2009年11月に物価が急にプラスに転じたように見えますが、グラフ1で同じ時期をみても目立った変動は確認できません。これは比較対象がリーマンショック前だったのかそれとも後だったのかによって生じるギャップです。

この2つのグラフを重ねるとどうなるでしょうか。

グラフ3.アメリカ消費者物価指数(CPI)


出典:米労働省

緑の棒グラフが前月比、青い折れ線グラフが前年同月比です。
前月比と比べて前年同月比のピークやボトムの方が遅れていることにお気づきでしょうか。リーマンショックが発生したのが2008年9月。その影響から10月、11月、12月と3カ月間連続して前月比で下がり続けましたが、前年同月比はプラス圏で推移していました。これは、1月から7月まで物価が上昇していたから起きた遅れです。前年同月比が最も下げたのは2009年7月の-2.0%でしたがその月の前月比は±0でした。前年同月比の反応が遅いことが良く解ります。

消費者物価指数を見る際は、全体の流れを把握するのであれば前年同月比のデータを使用する方が適しており、今どうなっているのかを知りたいのであれば前月比の方が適しています。

物価指数等の統計情報を分析する際の参考にしていただければ幸いです。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


参考文献:
米労働省

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