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9月の雇用統計、なぜ失業率が改善したのか

2022年10月11日

皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

先週末、9月のアメリカの雇用統計が発表されました。
非農業部門雇用者数の市場予想は26.4万人の増加でしたが結果は、26.3万人の増加でした。僅か0.1ポイントの違いです。失業率が市場予想よりも0.2ポイント良い3.5%でした。マーケットは利上げ警戒感の高まりから悲観的な反応になりましたね。

この結果をグラフでみると次のようになります。

アメリカ非農業部門雇用者数

出典:米労働省
非農業部門雇用者数の結果は直近1年間で最も悪い増加数だったことがわかります。

アメリカ失業率

出典:米労働省

失業率3.5%というのは、コロナ前に記録した失業率と変わらず、とても良い水準です。失業率の値だけ見れば、FOMCが利上げを実施しても、失業率に悪影響を及ぼしていないことになりますね。

いったいどういうことでしょうか。

せっかくなので労働市場のデータをもう少し細かく見てみたいと思います。

アメリカ雇用者数と失業者数(単位×1000人)

2021年9月 2022年7月 2022年8月 2022年9月 前月比
人口 261,766 264,012 264,184 264,356 172
労働力人口 161,471 163,960 164,746 164,689 -57
雇用者数 153,806 158,290 158,732 158,936 204
失業者数 7,666 5,670 6,014 5,753 -261
失業率 4.7% 3.5% 3.7% 3.5%

出典:米労働省

 

雇用者数は8月と比べて20.4万人増加しましたが、失業者数は26.1万人減少しています。雇用された人数よりも失業者ではなくなった人の方が5.7万人多かったことになります。

アメリカにおける失業者の定義は、過去4週間以内に求職活動をおこなった人を指します。4週間以上求職活動をおこなっていない人、求職活動の結果を待っている人、就業が内定している人は、失業者ではなくなるだけではなく、労働力人口からも除外されるルールになっています。雇用者数の増加分よりも失業者数の減少分の方が多いのはそのような人が大勢いたからです。

式にすると、「労働力人口=労働者数+失業者数」なので、「労働力人口の増減=労働者数の増減+失業者数の増減」になります。9月の雇用者数増加と失業者数減少の差分が労働力人口の差分と等しくなるのは、その為です。

失業率の計算は、「失業率=失業者数÷労働力人口」でおこないますが、失業者の求職活動しだいで、数字に組み込まれたり、そうでは無かったりするので現状把握に利用するのは少し難しいのかもしれません。

今回示した表の中で最も現状の把握に利用しやすいのが雇用者数の増減です。雇用者数は単純にどれだけの人が雇用されたのかを表しており、失業者数や労働力人口のように状況によって採用されたりされなかったりすることがありません。

アメリカの労働市場がどうなっているのかをきちんと把握するのであれば、雇用者数に注目することが最も正確な情報を得る手段だと言えそうです。判断に迷う結果が発表された時には、雇用者数がどうなったのかチェックしてみてください。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


参考文献:
米労働省

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