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米国の経済は既に弱いのか?

2018年11月20日

USA

こんにちは!

テクニカルアナリストの山口です。

日本株は10月2日に日経平均株価が24,000円台半ばまで上昇いたしましたが、世界同時株安の影響で21,000円割れまで下落いたしました。10月にIMFから発表された世界経済見通しも2019年は3.9%から3.7%へ下方修正されました。

 

11月に入るとやや持ち直しの展開になりましたが、中間選挙直後に22,500円台まで上昇後は、軟調な展開となっています。

同様に米国株を見ると、10月はじめにS&P500は2番天井を打ち、日経平均とほぼパラレルに推移していることがわかります。

NKY_S&P500

 

複数の国際機関は2019年末頃から、米国経済は弱含むと予想していましたが、金融引き締めに転じ米中貿易問題なども燻る米国の景気は、もう既に弱くなりつつあるのでしょうか?

個人的には、まだ弱いという状況ではないと考えています。

 

まず、世界経済に目を向けて見たいと思います。

下のグラフは、グローバル製造業PMI(折れ線青色)、グローバルサービス業PMI(折れ線黄色)、グローバルコンポジットPMI(折れ線緑色)とMSCI ACWI(面グラフ)を表示したものです。

※PMIは左軸、MSCI ACWIは右軸

world

PMI(購買担当者指数)とは、企業の購買担当者を対象に、新規受注や生産、雇用などについて、前より良くなっているか、同じか、悪くなっているのかを調査集計したものです。

景気の良し悪しの分岐点は50で、一般的に50を上回っていると景気拡大、50を下回っていると景気後退と言われます。

また、景気が良くなるほど高くなり、逆に悪くなれば下がります。

これを見ると、確かに全てのPMIが2017年から2018年にかけてピークアウトして低下傾向にありますが、50を上回っているため、世界経済が後退しているというわけではなさそうです。

また、直近ではサービス業PMIとコンポジットPMIが上昇していることもわかります。

 

一方、面グラフで示したMSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)とは世界の23ヶ国の先進国と24ヶ国の新興国の株式を指数化したもので、全世界の株式の時価総額の約85%をカバーする株価指数になります。

日本を代表する株価指数が日経平均株価やTOPIX、米国を代表する株価指数がNYダウやS&P500であれば、MSCI ACWIは全世界(=地球)の株価指数というようなイメージです。こちらはちょっと弱含んでますが、だからと言って米国が弱いということにはなりません。

次のグラフは米国株(S&P500)と10年債利回りを示しています。

T10_SP500

リスクフリーレート(=金利)の上昇は、株式には弱材料です。

実際に、日々の金利の上昇下落を材料に、株価が反応する局面がありますが、長期的なトレンドと逆相関になっているというわけではなく、直近の長期金利も3.2%前後で頭打ちで青天井ではありません。

 

第3Qの決算などで、一部、アップルやエヌビディアのような業績悪化が懸念される報道もありますが、S&P500全体では市場予想よりも強い企業が多いのが実情です。

米株が上値が重い一番の原因は、景気動向よりもどちらかというと、米国の景気拡大期が長くなっている中で、議会のねじれ、米中問題、イラン制裁、更には、イギリスのEU離脱やイタリアの予算の問題など不安要素による「疑心暗鬼バイアス」にあると個人的には見ています。

※もしマーケットにそういうバイアスがあるとするなら、そういうスタンスで売買をおこなう必要がありますが、、、

 

今週末は、ブラックフライデー、週明けはサイバーマンデー、来週、第3QのGDP(修正値)の発表があります。その後、G20 も控えていますが、米国の経済自体は、今はまだ弱くないと考えています。

 

このコメントはテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

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