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それでも下がるサービス価格

2022年07月25日


皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

先週末発表された日本の6月の消費者物価指数は先月比0.1%、前年同月比2.4%のプラスでした。

前年同月比の変動幅を最近のデータと比較すると4月、5月と2.5%のプラスだったので上昇速度が少し鈍化したことになります。

先月消費者物価指数が発表された時のコラム「日本の物価上昇率と給料」でも書きましたが消費者物価指数の構成要素は「財(モノ)」と「サービス」に分けることができます。

野菜とか自動車とかガソリンなどの形あるものが「財(モノ)」で、外食とか医療とか教育などの形がなくその場で消費されるものを「サービス」に分類しています。

この「財(モノ)」と「サービス」の価格がどう変化しているのか。

ここに注目すると今の日本経済が抱えている問題点が見えてきます。

次の表は総務省が発表した消費者物価指数をコピーしたものです。

財・サービス分類指数(全国)

出典:2020年基準消費者物価指数

いくつも項目がありますが、大きく分類すると「総合」「財」「サービス」の3種類に分類されます。それぞれの変動は次のとおりです。

総合  ・・・+2.4%
財   ・・・+4.9%
サービス・・・-0.3%

なんと、サービスの価格は0.3%下落しています。

世界中で物価が上昇し、為替レートは大幅な円安になっていることはご存じですよね。ドル円は、昨年の6月ごろは110円前後で推移していましたが、今年の6月には月間平均134円まで下落(ドル高円安)しました。
同じ1ドルの商品を輸入するのに+24円多く払わないと輸入することはできないはずですが、それでもサービス価格は下がってしまっています。

とても不思議な現象です。

ちなみに7月12日に発表された日本の企業物価指数(6月)は前月比+0.7%、前年同月比+9.2%でした。

企業間取引を表す企業物価指数と消費者物価指数の間に大きな開きが生じてしまっていますよね。

どうしてこのようなことになるのか。

日銀はホームページで次のように解答しています。

ここから引用


■「企業物価指数」と「消費者物価指数」の違いについて
「企業物価指数(国内企業物価指数)」は国内において企業同士で取引される「財(モノ)」の価格を、「消費者物価指数」は小売段階における「財」と「サービス」両方の価格を対象としている点で、モノサシの種類が異なります。
また、同じ「企業物価指数」でも、明治時代までさかのぼれる「戦前基準指数」は、国内品(国内で生産され、国内向けに出荷された商品)だけでなく、輸出品、輸入品も含む概念であるため、その動きには、海外需要の増加による輸出品価格の上昇など、国内要因以外の様々な要因が反映されています。

引用ここまで

企業物価指数は「財(モノ)」だけで構成されているのに対して、消費者物価指数には「サービス」を含んでいることが、両者にギャップが生まれる原因です。
諸外国の消費者物価指数(6月)は、アメリカが前年同月比+9.1%、ドイツが+7.6%、英国が+9.4%でした。日本とは大きな開きが生じています。

日本の場合、仕入れ原価の上昇分をサービス価格に組み込むことができていません。
サービス価格が上昇していかない限り、日本の給料水準が上昇することはありません。
サービスに価格転嫁できるかどうか。

今後の日本経済を占う意味でも重要になってきそうですね。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


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