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SONAR(ソナー)インジケーター|CFTe®山口哲也が徹底解説 トレード分析と設定方法

2025.10.28

はじめに

前回、TRIXについて解説しましたが、この記事では近年注目を集めている「SONAR(ソナー)」について、国際認定テクニカルアナリスト(CFTe®)の山口哲也が、計算式から実践的な活用法まで体系的に解説します。

1. SONAR(ソナー)とは?

【フジトミトレーダー365FXでTRIX、MACD、SONARを描画】

SONARは、前回解説したTRIXやMACDと同様のコンセプトで作成されたテクニカル指標で、フジトミトレーダー(株365/FX)や一部の取引ツール、チャートツールで利用可能です。

SONARは、MACDやTRIX同様、トレンド変化と勢い(モメンタム)を同時に捉えることを目的としたテクニカル指標で、特に「トレンド転換の初動を逃したくないトレーダー」にとって強力な武器になります。

英語の Sonar(音波探知機) の名が示すように、市場の「深層」を探るように、目に見えにくいトレンドの転換点を浮き彫りにすることを狙った指標だと言えます。

 

2. 計算式

SONARは、Sonarとシグナル(Sonar移動平均)の2本のラインで構成されます。

2-1. Sonarの計算式

Sonar ( n , m ) = ( EMA ( C , n ) − m日前のEMA ( C , n ) ) / m日前のEMA ( C , n ) × 100

Sonarは、EMA ( C , n ) のm日前との変化率、すなわちROC ( m ) を計算したものです。
※ROC(Rate Of Change:価格変化率) = ( 当日の終値 − n日前の終値 ) ÷ n日前の終値 × 100

なお、Sonarの計算式については、チャートツールによって異なり、一般的にはEMAを利用しますが、単純移動平均(SMA)を利用して計算するチャートツールもあります。

また、価格変化率=ROCではなく、モメンタムの計算式と同様、単に引き算する場合もあります。
※モメンタム = 当日の終値 – n日前の終値

しかし、どの計算方法を利用したにせよ、移動平均の傾きの変化を示していることに変わりはありません。

 

2-2. シグナル(Sonar移動平均)の計算式

シグナル(Sonar移動平均) = SMA ( Sonar ( n , m ) , x )

シグナル(Sonar移動平均)は、Sonarを単純移動平均したもので、Sonarのトレンドを示していることが分かります。

 

2-3. SONARとTRIXの違い

ここで、SONARとTRIXの計算式と見比べてみましょう。

【SONARの計算式】

Sonar ( n , m ) = ( EMA ( C , n ) - m日前のEMA ( C , n ) ) / m日前のEMA ( C , n ) × 100

【TRIXの計算式】

TRIX (x) = ( TEMA (x) – TEMA (x-1) ) ÷ TEMA (x-1) × 100

SONARはEMAのm日前比で、TRIXはTEMAの前日比ですので、期間の違いはありますが両者はどちらも『移動平均のモメンタム』を求めていることがわかります。

 

更にシグナル(Sonar移動平均)は、Sonarを単純移動平均したものです。

TRIXのシグナルもTRIXを指数平滑移動平均したものですから、これらはそれぞれの指標の『トレンド』を示していることがわかります。

 

2-4. 計算式のまとめ

このように、SONARは、TRIX同様、トレンドの勢いとその変化を視覚化しようとしたテクニカル指標で、どちらもMACDから派生したテクニカル指標だと言えます。

 

3. SONARの売買サイン

SONARの売買サインは、MACDやTRIXと同じで、Sonarの0ラインとの交差、Sonarとシグナルの交差、Sonarと価格のダイバージェンスとなります。

3-1. Sonarと0ラインの交差


買い:Sonarが0ラインを上回った時
売り:Sonarが0ラインを下回った時

売買サインが遅くなる傾向がある

 

3-2. Sonarとシグナルの交差

買い:Sonarがシグナルを上回った時
売り:Sonarがシグナルを下回った時

売買サインは0ラインとの交差より早く発生するが、ダマシが多くなる

 

3-3. Sonarのダイバージェンス

買いの予兆:相場が下落しているにも関わらず、Sonarが上昇基調に変化してきている
⇒強気のダイバージェンス(あるいは、コンバージェンス)

売りの予兆:相場が上昇しているにも関わらず、Sonarが下降基調に変化してきている
⇒弱気のダイバージェンス(あるいは、単にダイバージェンス)

ダイバージェンスは、それ自体が売買サインではありませんが、相場転換の予兆として利用されます。

3-4. SONARの売買サインのまとめ

このように、SONARの売買サインは、MACDやTRIXと全く同じです。SONARと0ラインとの交差は、売買サインが遅くなるため、SONARとシグナルの交差を売買サインとして利用するのが一般的ですが、その際にSONARが0ラインとの交差に向けて下落していくのかどうかを見極めるのがポイントとなります。

 

4. SONARの設定方法

ここでは、フジトミトレーダー株365/365FXでの設定方法をご案内します。

設定手順

1. チャート画面上部の「テクニカル設定」をクリック
2. 「インジケータ2」タブをクリックし、一覧の中からSONARのチェックボックスをクリック
3.  「パラメータ設定」タブで、各項目の期間を設定
「EMA期間」は、EMAの計算期間になります。一般的には、10を利用することが多いです。
「SONAR期間」は、EMAの変化率の計算期間です。一般的には、25を利用することが多いです。
「SONAR移動平均」は、シグナルの計算期間です。特にデフォルトの設定はありませんが、3から9までを利用する事が多いです。
4. 「スタイル設定」タブで2つのラインの色とラインの太さや種類を変更します。
5. 「OK」ボタンをクリックすると、SONARがチャート上に描画されます。

 

5. SONARの売買シグナルの読み解き方【実践編】

ここでは売買サインの基本パターンについて、その意味合いを解説します。

5-1. 買いサインについて

1. Sonarが0ラインを上回る
⇒EMAがn日前のEMAに対してプラスに転じたことを意味し、上昇トレンドに転換したことを示しています。
例えば、n=25であれば、おおむね12~13日前にはEMA自体の傾きが水平(変曲点)から上昇に転じてきていると読み取れます。

2. Sonarがシグナルを上回る
⇒0ラインより下の場合は、EMAの傾きが鈍化しつつあることを意味し、今後上昇トレンドに転換する可能性があることを示唆しています。
⇒0ラインより上の場合は、EMAの傾きが高まっていることを意味し、相場の上昇速度が高まっています。

3. 相場は下落しているがSonarが上昇基調(強気のダイバージェンス=コンバージェンス)
相場の下落基調が弱まってきている可能性を示唆し、上昇トレンドへの転換の予兆を示唆しています。

5-2. 売りサインについて

1. Sonarが0ラインを下回る
⇒EMAがn日前のEMAに対してマイナスに転じたことを意味し、下降トレンドに転換したことを示しています。
例えば、n=25であれば、おおむね12~13日前にはEMA自体の傾きが水平(変曲点)から下降に転じてきていると読み取れます。

2. Sonarがシグナルを下回る
⇒0ラインより上の場合は、EMAの傾きが鈍化しつつあることを意味し、今後下降トレンドに転換する可能性があることを示唆しています。
⇒0ラインより下の場合は、EMAの傾きが高まっていることを意味し、相場の下落速度が高まっています。

3. 相場は上昇しているがSonarが下降基調(弱気のダイバージェンス=ダイバージェンス)
相場の上昇基調が弱まってきている可能性を示唆し、下降トレンドへの転換の予兆を示唆しています。

5-3. 売買サインの意味合い

このように、Sonarと0ラインとの交差は、おおむね、( n÷2 ) 期間分トレンドの転換を確認するのが遅くなります。

そのため、実践的な売買は、それぞれ2番目の売買サイン、すなわちSonarとシグナルの交差になります。

そして、この売買サインを活用するためには、Sonar自体が0ラインと交差し得るかどうかを推測する必要があります。

また、移動平均などのトレンド系指標も併せて確認すべきでしょう。

これらに加え、相場の勢い(モメンタム)を確認するため、ストキャスティクスやRSIなどのオシレータ系指標と併用するのも効果的です。

 

6. パラメーター設定のコツ

EMA期間:9〜15

Sonar期間:15~30

Sonar移動平均期間:3~9前後

短期売買ではEMA期間およびSonar期間のパラメータを小さく、スイングでは大きめに設定して滑らかにします。

また、売買サインを早めにしたい場合は、Sonar期間とSonar移動平均期間を小さめに、ダマシを排除したい場合は、大きめに設定します。

なお、取引する資産クラスや銘柄、相場環境、トレードスタンスなど、目的に応じて微調整することが重要です。

 

7. SONARの限界と他の分析手法との併用

どんな優れたインジケーターでも、万能ではありません。
SONARも例外ではなく、以下のような特性を理解して使う必要があります。

7-1. メリット

・ノイズが少なく、トレンドフォローに強い
・トレンドの向きと強さの変化をなめらかに捉えられる
・ダイバージェンス分析にも有効

7-2. デメリット

・小幅なレンジ相場では反応が遅れやすい※パラメータによる
・MACD同様、0ラインとの交差での売買サインは、タイミングが遅くなる
・MACD同様、シグナルとの交差での売買判断は、ダマシに注意が必要

7-3. 併用すべきテクニカル指標

トレンド系テクニカル指標
移動平均ボリンジャーバンドパラボリックシステム
ボラティリティ系テクニカル指標
DMIADX、BBバンドWidth等
オシレータ系テクニカル指標
RSIストキャスティクスRCI

SONARとは異なるコンセプトのテクニカル指標を併用して多角的に分析をおこなうことで、総合的な売買判断が可能になります。

一方で、MACDやTRIXは、SONARと同様のコンセプトのテクニカル指標です。

併用する場合は、どちらかのテクニカル指標のパラメータを長く設定して、長期トレンドの把握に利用するか、似たような期間で利用する場合は、売買サインの確認に活用するとよいでしょう。

 

8. よくある質問(FAQ)

Q1. SONARはどの市場に有効ですか?
A. FX、株価指数、商品先物など、価格変動を伴うほぼ全市場で応用可能です。

Q2. 最適な期間設定はありますか?
A. デフォルトは、10、25、3~9ですが、取引する銘柄や資産クラスに合わせて調整するようにしましょう。

Q3. 他のインジケーターと重複しますか?
A. MACDやTRIXと、分析しているコンセプトや性質が似ています。

9. まとめ

SONAR(ソナー)は、トレンドとその勢いの変化を同時に観測できるハイブリッドなテクニカル指標です。

このようなコンセプトのテクニカル指標には、MACDやTRIXがあり、好みのテクニカル指標を使うのがベストです。

SONARを利用する際には、トレンド系のテクニカル指標も併用して、相場のトレンド自体も確認できるようにしておきましょう。

 

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