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【完全ガイド】MACD(マックディー)とは?計算式と使い方・活用法をわかりやすく解説

2025.06.12

1. MACD(マックディー)とは?|概要と歴史

「MACD」は英語で Moving Average Convergence/Divergence、和訳すると「移動平均収束発散法」といいます。1970年代にSignalert Corporation社のジェラルド・アペル(Gerald Appel)が考案し、相場のトレンドとその速度の変化を把握できるマルチなテクニカル指標で、多くの証券会社やFX会社が提供するチャートツールで表示可能です。

相場のトレンド転換点がわかれば、そこで売買すれば利益を上げることができます。
実は、MACDは、相場のトレンドの変化をできるだけ早く認知したいというコンセプトで作成されたテクニカル指標で以下の特徴があります。

・macd、シグナル、ヒストグラムの3つの指標で構成されている
・トレンドの転換点を見つけ出すために考案されたテクニカル指標
・トレンド系とモメンタム系の両方の性質を併せ持つ

それでは、どのようにしてトレンドの変化を察知しているのかについて、計算式から紐解いていきましょう。

2. 計算式と構成要素

MACD(p、q、r)を構成する3つの指標の計算式は以下のとおりです。※p、q、rは変数でp=12、q=26、r=9を利用することが多い

・MACD(p、q) = 短期EMA(p) - 長期EMA(q)
・シグナル(r) =  EMA(MACD、r)
・ヒストグラム = MACD(p、q)  - シグナル(r)

 

MACD(p、q) は短期移動平均と長期移動平均の差を示したものです。ただし、利用している移動平均は単純移動平均(SMA)ではなく、価格への追随性が高い指数平滑移動平均(EMA)になります。
移動平均線とは?本当の見方・使い方を完全解説【株・FX対応】

まず、短期移動平均と長期移動平均の差がマイナスからプラスに、またはプラスからマイナスに変化することは、長短の移動平均のゴールデンクロスとデッドクロス(GC/DC)を意味します。
更に、計算式にSMAではなく、EMAを利用している理由は、SMAよりもEMAの方が価格追随性が高いためGC/DCの売買サインも早く点灯するためです。
実際に次のSMA2本とEMA2本のチャートで、価格への追随性の違いとGC/DCの売買サインが出たタイミングを確認してみましょう。


どちらも米ドル/円の日足チャートにEMA2本(上)とSMA2本(下)を表示したもので、赤い上向きの矢印がGC(買いサイン)、青い下向きの矢印がDC(売りサイン)です。
上下のチャートを見比べると、EMA2本のチャートの方が、移動平均の価格への追随性が高いこと、売買サインが若干早めであることが確認でき、2025年3月から4月にかけての「ダマシ」も回避できていることがわかります。
※ダマシとは・・・テクニカル指標などの売買サインが機能しないケースのことです。テクニカル指標は、指定されたパラメータの計算通りに売買サインを示しているだけですが、投資家はダマされた気分になるため、「ダマシ」と呼ばれています。

3. MACDは長短2つのEMAの差

上述のとおり、MACDは長短2つのEMAの差を示したものになります。したがって、長短2つのEMAがGC/DCすると、MACDは0ライン(ゼロ)を交差します。
実際にEMAのGC/DCと、MACDの0ライン(ゼロ)との交差のタイミングを以下のチャートで確認してみましょう。チャート上の赤いラインが短期EMA(12)、青いラインが長期EMA(26)で、その差を計算したものが、下段の白いラインMACDです。

MACD(12、26)がEMA(12)とEMA(26)の差で、MACD(12、26)と0ラインの交差は、長短2つのEMAがGC/DCを示すことは理解できたと思います。それでは、MACD(12、26)自体の意味について考えてみましょう。
MACD(12、26)の意味合いを概略的に説明すれば、長期EMAに対する短期EMAの速度を示しているといえます。
つまり、2つの移動平均線の幅が拡大するほど、短期EMAの(上昇or下降)速度が上がっていることを意味し、即ちそれは、価格自体の(上昇or下落)速度も上がっているという事になります。

・MACD(12、26)が0を超えて上昇していれば、相場は上昇トレンドで、短期EMAの傾きが大きくなっており、相場の上昇速度も上がっている
・MACD(12、26)が0を下回って下降していれば、相場は下降トレンドで、短期EMAの傾きが大きくなっており、相場の下落速度も上がっている

4. MACD(12、26)とシグナル(9)

次にMACD(12、26)とシグナル(9)の関係を理解しましょう。計算式は以下のとおり、MACD(12、26)を移動平均させたものです。

シグナル(9) = EMA(MACD(12、26)、9)

相場を移動平均してわかることは、相場のトレンドです。
同様に、MACD(12、26)を移動平均してわかるのは、「MACD(12、26)自体のトレンド」になります。
また、移動平均の記事で説明した「グランビルの法則」の「価格が移動平均線を上回ったら買い(価格は上昇)」「価格が移動平均線を下回ったら売り(価格は下落)」という考え方も利用できます。
即ち、MACD(12、26)がその移動平均線を上回ったらMACD(12、26)は上昇基調に、その逆は下降基調になると考えられるという事です。
それでは、MACD(12、26)とシグナル(9)が交差をするタイミングを次のチャートで確認してみましょう。


上記のチャートの3つの色で示した縦線は、MACD(12、26)とシグナル(9)が交差をするタイミングを表しています。
ベージュは買いサイン、水色は売りサイン、緑色の破線は「ダマシ」となってしまった売買サインです。
このように、MACD(12、26)とシグナル(9)が交差するタイミングでは、「ダマシ」も頻発しますが、EMAのGC/DCの売買タイミングよりも前にトレンド転換を把握できることがわかります。

4-1. MACDの「ダマシ」の回避

それでは、「ダマシ」を回避するにはどうしたらいいでしょうか?

これは難しい問題ですが、多少確度を上げることは可能です。
シグナル(9)は、MACD(12、26)を移動平均させたものでMACD(12、26)のトレンドを示し、MACD(12、26)が0ラインを挟んで相場の上昇・下降トレンドの判断がおこなえることに着目すれば、次のような考え方ができます。

MACD(12、26)が0ラインより下にあり、MACD(12、26)がシグナル(9)を上回ったとき、0ラインを上回る可能性が高いのであれば「買い」
MACD(12、26)が0ラインより上にあり、MACD(12、26)がシグナル(9)を下回ったとき、0ラインを下回る可能性が高いのであれば「売り」

他の指標やファンダメンタルズなどで、MACDと0ラインとの交差を確信できるかどうかがカギとなります。

一方で、次の売買シグナルは更に確度が高いと考えられます。
MACD(12、26)が0ラインより上にあり、MACD(12、26)がシグナル(9)を上回ったときは「買い」
MACD(12、26)が0ラインより下にあり、MACD(12、26)がシグナル(9)を下回ったときは「売り」

 

5. ヒストグラムの意味と使い方


最後にヒストグラムについてです。ヒストグラムの計算式は以下のとおりです。

ヒストグラム = MACD(12、26) - シグナル(9)

もうお分かりですよね。ヒストグラムは、MACD(12、26)の速度を意味します。また、ヒストグラムと0ラインの交差は、MACD(12、26)とシグナル(9)を意味します。

したがって、ヒストグラムが0ラインより上側で下向きになり、その後も低下し続ければ、売りシグナルが点灯(MACDがシグナルを下回る)する可能性が高まっていると考えられ、ヒストグラムが0ラインより下側で上向きになり、その後も上昇し続ければ、買いシグナルが点灯(MACDがシグナルを上回る)可能性が高まっていると考えられるわけです。

このように、ヒストグラムは、MACD(12、26)とシグナル(9)の交差やその予兆を確認するツールなのです。

6. 価格とMACDのダイバージェンス(逆行現象)

強気・弱気ダイバージェンス

価格は上昇しているのに、MACDは下降している場合を弱気のダイバージェンス、価格は下落しているのに、MACDは上昇している場合を強気のダイバージェンスといい、MACDに限らず、RSIやストキャスティクスに代表されるオシレータ系のテクニカル指標でも使われる相場環境の分析方法です。

強気のダイバージェンスを「コンバージェンス」と呼ぶ場合は、弱気のダイバージェンスを単に「ダイバージェンス」と呼びます。
「コンバージェンス」(強気のダイバージェンス)の場合、上段の価格が下落し下段の指標が上昇しているため、イメージとして両者が収束しているように見え、「ダイバージェンス」(弱気のダイバージェンス)の場合、上段の価格が上昇し下段の指標が下降しているため、イメージとして両者が拡散(乖離)しているように見えるからです。

MACDに限らず、他のオシレーター系指標も同様ですが、ダイバージェンスやコンバージェンスの形成後、トレンドは反転しやすい傾向にあります。そのため、売買サインとまではいえませんが、トレンド反転の予兆として捉えられています。

なお、このような傾向になる理由は、相場の速度の変化によるためです。
「価格は上昇」していても、その上昇速度(MACD)が低下してきているという事は、相場は上昇しにくくなっていることを意味し、逆の場合は、下げ止まりつつあることを意味しているからです。

7. MACDの売買サイン

ここまでで説明したMACDの売買サインを纏めると、以下のようになります。

1. MACDが0ラインを上回れば買い、MACDが0ラインを下回れば売り
2. MACDがシグナルを上回れば買い、MACDがシグナルを下回れば売り(ヒストグラムが0ラインを上回れば買い、ヒストグラムが0ラインを下回れば売り)
3. ヒストグラムが0ラインに向かって下降していれば相場下落の予兆、ヒストグラムが0ラインに向かって上昇していれば相場上昇の予兆
4. ダイバージェンスやコンバージェンスの形成後は、トレンド転換の予兆

 

8. MACDの弱点は?

MACDはトレンドを読み取るのに優れていますが、短期的な激しい相場変動を捉えることが苦手です。
ジグザクやウィップソー(ノコギリの意味)と呼ばれる横ばい相場や、緩やかなトレンド相場では「ダマシ」が頻繁に起こります。
また、移動平均線のGC/DCといった売買サインに比べれば、MACDの売買サインは早めに点灯しますが、トレンドの変化から幾分か遅行してしまう点もデメリットといえるでしょう。

9. MACDのパラメータ設定

MACDのパラメータの期間は、一般的に短期EMAが12、長期EMAが26、シグナルは9を利用しますが、アペル自身もう少し短めのトレンド判定をおこなう場合の設定として、それぞれ(6、19、9)、逆に長めに設定する場合は、それぞれ(19、39、9)とすることについても言及しています。

また、一般的な設定である(12、26、9)については、1週間の営業日数が6日、1ヵ月の営業日数が26日だったことが大きな要因にもなっています。
現在の営業日数であれば、(10、21、9)といったところでしょうが、あまりこういった設定で利用されている投資家を見たことがありません。

したがって、特に初心者はデフォルトの設定である(12、26、9)で利用することをおすすめします。
それは、多くの投資家が同じパラメータで見ていると考えられる(共通言語として分析できる)ことに加え、同じパラメータを使い続ければトレード検証も一貫しておこなうことができるからです。

なお、MACDの性質を理解して利用しているトレーダーは、運用中のアセットクラス、銘柄、利用する足種別(日足、週足、月足、日中足(イントラデイ))などに合わせて、パラメータの設定を変更して利用することも選択肢としてあり得ます。その場合は、必ず事前に検証おこない、頻繁にパラメータ設定を変更しないということが重要です。

10. MACDと併用したいテクニカル指標

MACDを利用する際には、その計算根拠となる2つのEMAも同時に表示して利用すると良いでしょう。
EMAを表示することで、相場のトレンドもはっきりと把握でき、MACDの動向も読みやすくなるからです。

また、オシレーター系のテクニカル指標の「スローストキャスティクス」の併用もおすすめです。
ちなみに、MACDとストキャスティクスの組み合わせは、開発者のアペル自身も活用していたもので、レンジ相場時には、ストキャスティクスの売買サインを利用できます。

11. MACDのまとめ

MACDは、トレンドとトレンドの強さの確認と、オシレーター指標としての性質を兼備した使いやすいテクニカル指標です。一方で、短期的な急騰や急落に鈍感で、レンジ相場では「ダマシ」が多くなるといった弱点もあります。

したがって、MACDを利用した売買をおこなう場合は、以下のような使い方を心掛けましょう。

1.上位の足種別(例:日足でトレードするなら週足が上位の足種別)で相場のトレンドを確認
2.ダイバージェンスやヒストグラムの上昇下落でトレンド転換の予兆を探る
3.MACDと0ラインのクロスをイメージできるときにはトレードの準備
4.MACDとシグナルの売買サイン点灯でトレード
5.MACDと0ラインとのクロスが確認するまで気を抜かない
6.ボリンジャーバンドやストキャスティクスなども併用し、レンジ相場時にも対応できるようにしておく


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