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サイクル分析とは? 相場の周期とトランスレーションを使った相場予測の基本

2025.05.20

1.サイクル分析とは?

サイクル分析とは、相場が一定の時間的リズム(周期)を持って変動するという前提に基づいて、将来の転換点(ボトムやピーク)を予測する手法です。テクニカル分析の中でも「時間」に注目した、やや上級者向けのアプローチですが、基本を理解すれば初心者でも実践できます。

とくに株式や為替、商品相場など多くのマーケットで活用されており、「いつ天井を打つのか」「どこで反発するのか」を予測するヒントになります。

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2.サイクルとは

「サイクル(周期)」とは、一定の時間間隔で同じ現象やイベントが繰り返される期間のことを指します。自然界から社会の出来事まで、私たちの身の回りには多くの「サイクル」が存在します。以下は、その例です。

■ 自然現象に見られるサイクルの例

地球の自転:1日(昼と夜の変化)
地球の公転:1年(四季の変化)
月の公転:約27.3日(潮の満ち引き・月の満ち欠け)
太陽活動周期:約11年(黒点数や磁気嵐の変動)
季節の循環:春 → 夏 → 秋 → 冬 → 春 …(1年周期)

■ 社会的イベントに見られるサイクルの例

アメリカ大統領選挙:4年ごと
日本の参議院選挙:3年ごとに半数改選
オリンピック:4年ごと(夏季・冬季交互に開催)
サッカー・ワールドカップ:4年ごと
企業の決算発表:四半期ごと(3カ月単位)

■ 経済・金融に見られるサイクルの例

景気循環:回復 → 好況 → 後退 → 不況(約5〜10年周期)
在庫循環(キチン・サイクル):約3〜4年
設備投資循環(ジュグラー・サイクル):約10年
建設投資循環(クズネッツ・サイクル):約20年
長期技術革新サイクル(コンドラチェフ・サイクル):約50年
株式市場の四季性:例)年末ラリー(Santa Claus Rally)、セル・イン・メイ(Sell in May)など

■ 生物・人体に見られるサイクルの例

体内時計(サーカディアンリズム):約24時間周期の睡眠・覚醒リズム
月経周期:約28日
動物の繁殖期や渡りの季節:年1回など定期的
植物の開花や落葉サイクル:季節に応じた周期的反応

■ 心理・行動に見られるサイクルの例

消費者心理の変動:景気の影響を受けて波のように変化
投資家の感情サイクル:恐怖 → 躊躇 → 楽観 → 強気 → 欲望 → 恐怖 …(バブルと暴落の繰り返し)
人間の集中力サイクル(ウルトラディアンリズム):約90分ごとに集中と休息を繰り返す

■ ビジネスやテクノロジーに見られるサイクルの例

製品ライフサイクル:導入期 → 成長期 → 成熟期 → 衰退期
イノベーションの普及サイクル:イノベーター → アーリーアダプター → アーリーマジョリティ → レイトマジョリティ→ ラガード
技術革新の波(例:IT革命、AIブーム):数十年単位で繰り返される成長と再編の波

 

このように、サイクルは自然法則や人間社会の中で繰り返されるリズムを表しています。相場も上記のような様々なサイクルの影響を受けています。そして相場における「時間のリズム」を見抜くのが「サイクル分析」です。

 

3.景気のサイクル(景気循環)

株式相場や為替相場は、各国の景気動向に大きく影響されます。そこで、チャート分析における「サイクル」に入る前に、景気にも周期的なリズム(サイクル)があるとする「景気循環理論」について確認しておきましょう。

■ 景気循環の2つの見方

景気循環は、以下のように「2局面」または「4局面」で捉えることが一般的です。

 

【景気循環:2局面での捉え方】

拡張期(好況) → 縮小期(不況)の繰り返し

【景気循環:4局面での捉え方】

回復  →  好況  →  後退  →  不況の繰り返し

どちらの見方でも重要なのは、「谷(=景気の底)」です。
実際に、景気循環の起点および終点は「谷(=景気の底)」で、谷から次の谷までの期間を1つの景気サイクルとしています。

この「谷から谷までが1サイクル」という考え方は、後述する相場サイクルの理解にもつながる大切なポイントですので、しっかり押さえておきましょう。

■ 景気循環の種類

〇在庫循環(キチン・サイクル):約3〜4年

考案者:ジョセフ・キチン(Joseph Kitchin)
出身国:イギリス
周期:約40カ月(3〜4年)
概要:
企業の在庫(製品や原材料など)の調整によって発生する短期的な景気循環です。
需要の増減により生産・在庫が変動し、景気に影響を与えます。
特に製造業において顕著に見られるサイクルです。

〇設備投資循環(ジュグラー・サイクル):約10年

考案者:クレマン・ジュグラー(Clément Juglar)
出身国:フランス
周期:約7〜11年(平均約10年)
概要:
企業が行う設備投資の増減によって生じる中期的な景気循環です。
好況期には企業が積極的に設備を増やし、不況期には投資を抑えるため、波のような変動が生まれます。
一般的に「景気循環」と言うとこのジュグラー・サイクルを指すことが多いです。(実は医者でもある)

〇建設投資循環(クズネッツ・サイクル):約20年

考案者:サイモン・クズネッツ(Simon Kuznets)
出身国:アメリカ(出生はロシア帝国=現ウクライナ)
周期:15〜25年(平均約20年)
概要:
建設やインフラ投資(住宅、道路など)に関連する長期的な景気循環です。
人口動態や都市化の進行が建設需要に影響し、周期的な変動を生むとされます。
クズネッツはこの理論や国民所得統計への貢献で**ノーベル経済学賞(1971年)**を受賞しました。

〇長期技術革新サイクル(コンドラチェフ・サイクル):約50年

考案者:ニコライ・コンドラチェフ(Nikolai Kondratiev)
出身国:ソビエト連邦(ロシア)
周期:40〜60年(平均約50年)
概要:
技術革新や産業構造の変化、あるいは戦争・革命などの社会的インパクトによって引き起こされる長期的な経済波動。
蒸気機関、鉄道、電気、ITなどの登場により経済が活性化し、やがて飽和して沈静化するという波の繰り返しが観察されます。
政治的理由により当時のソ連政府に受け入れられず、コンドラチェフは後に処刑されるという悲劇的な結末を迎えました。

4.サイクル分析の基本(定義と原則)

相場のサイクルとは、一定期間の間隔で繰り返す高値及び安値のパターンの事です。テクニカル分析において、広義の相場サイクルとは、周期の期間に厳密さを求めていません。
具体的には、ダウ理論やエリオット波動論などのように、相場には一定のサイクルがあるとしていても、その期間がどの程度なのかは、「1年から数年」などのように漠然としています。

しかし、サイクル分析では、その周期の期間をできるだけ特定し、相場の天井や底値となるタイミングを推し量ろうとするものです。
その上で、サイクル分析は、次のように定義されています。

相場のサイクルの定義

1.相場のサイクルは、相場の谷から始まり次の谷までの期間
2.相場の振幅(値幅)は、相場の谷から始まり山までの値幅を取る
3.相場のサイクルの位相(どんな局面か)は、谷と山の位置できまる。

【相場のサイクルのイメージ図】

このように、サイクル分析においても、相場の周期を測る際には、谷から谷までを1つの周期と考えます。
これは、過去に解説した「ギャン理論」とは異なります。※ギャン理論では、相場のサイクルは、谷から谷のサイクルと、山から山のサイクルがあると定義しています。

なお、上記の相場サイクルのイメージは、実は、次の3つの波(長期、中期、短期)を合成したものです。
その上で、次にサイクル分析の原則について解説します。

【上記相場サイクルの内訳】

サイクル分析における原則(ハーストの8つの原則)

1.普遍性の原則:株式やFX、債券、コモディティ(商品)など、さまざまなアセットクラスがありますが、これらの異なる市場おいてサイクルの周期が一致することがある
2.循環性の原則:谷から谷(チャートは谷から上昇し山を付け、その後、下落して再び谷を付けるというサイクルを循環的に繰り返す)
3.総和の原則:相場の動きは一見複雑に見えるが、実は複数の単純なサイクルを足し合わせたものである
4.調和性の原則:長期、中期、短期など大小様々なサイクルがあるが、それぞれのサイクルは整数倍の関係になりやすい
5.同時性の原則:長期、中期、短期など様々なサイクルがあるが、同じタイミングで谷を付ける傾向がある(短い波が長い波の影響を受ける)
6.比例制の原則:大小さまざまなサイクルは、その周期の長さと比例して、振幅が大きくなっていくという傾向がある
7.名目性の原則:異なるさまざまな市場でも、共通的に確認される有効なサイクルがある
8.多様性の原則:上記の原則が全てのサイクルに当てはまるとは言えない。

特に、3~6の原則を示しているのが、上記の相場のサイクルのイメージ図と相場のサイクルの内訳です。
この理屈、理系出身者(周波数・スペクトル分析・波の合成等)や、楽器(倍音やハーモニクスなど)をされている方は、理解しやすいのではないでしょうか?

 

相場のサイクルの調べ方

【米ドル/円 月足チャート】1977年1月~2025年5月20日


上記チャートは、米ドル/円の月足です。サイクルは、安値と安値で計算するので、まず、以下のようになります。
1978年10月:177.05 ~ 1995年4月:155.85
米ドル/円のサイクルは、「198ヵ月(16年5カ月)」

なお、この計算を私は2000年代にしていて、2011年12月に取引所でおこなわれた雇用統計イベントで披露し、「2011年10月末に底を付けた可能性がある」としました。
実際の様子はこちら(Youtube:第一回 米雇用統計カーニバル in TFX part2、19分頃から

このように、「長期のサイクルで安値から安値の期間を計算」し、チャートの時間軸を週足や日足に変更して、更に短いサイクル(中期サイクル、短期サイクル・・・)を確認します。

とは言え、サイクルを数えるのは時間がかかります。そこで、あまり頻繁にはやりませんが、私が普段どのような方法でサイクルを計算しているのか簡単な手順をお伝えします。

簡易的なサイクルの数え方

手順
1.チャートを表示する(安値から安値のローソク足の本数を確認)
2.任意の移動平均線を表示する
3.移動平均線で底と底を1サイクルとする
4.最後にローソク足の本数を移動平均線でカウントしたサイクル数で割り算する

ポイント
※ローソク足の安値と安値が確認できること
※移動平均線の傾きが0(線形代数的な表現をすると変曲点)をカウントする

【具体例:米ドル/円 日足チャート】

1.ローソク足の安値から安値までの期間は591日
2.任意の移動平均線を表示(ここでは25日移動平均)
3.移動平均線は3つのサイクル
4.日数÷移動平均線のサイクル数(591÷3=197日)

※移動平均線のパラメータを大きくすれば長期のサイクルを計測でき、小さくすれば、短期のサイクルを計測できる

サイクルのによる具体的な相場分析

ここでは、株価などの周期を把握した上で、具体的に相場のサイクルをどう相場分析に利用するのかをお伝えします。
1.サイクル・ウィンドウ(サイクル・オーブ)
2.サイクル・トランスレーション

1.サイクル・ウィンドウ(サイクル・オーブ)

サイクル分析においては、相場のサイクルは、80%程度の確率で1/6程度の誤差の範囲に収まるとしています。相場の周期には誤差がありその誤差は±6分の1程度だということです。
【サイクル・ウィンドウ(サイクル・オーブ)】のイメージ

これを上記ドル円チャートに当てはめると、2025年4月22日の安値から197日後を中心に±33日後、つまり「年末から年明けにかけてサイクルボトムをつける可能性がある」と予想できます。
※実際にそうなるかどうか、年末に確認してみましょう。

ちなみに、私はあまりオーブという表現を好ましく思っていません。私がテクニカルアナリストの資格を取った2000年前後はサイクル・ウィンドウという表現でしたが、最近の教科書では、サイクル・オーブと表現されているものが多くなっています。サイクル分析は、更に突き進めると、クオンツ系(高度な数理分析)に向かうか、天文学や占星術に向かうかなのですが、サイクル・オーブという表現は、後者の影響を受けているからです。

2.サイクル・トランスレーション

トランスレーションとは、変更,変形,変換;移動,移転を意味します。
サイクル・トランスレーションとは、相場のサイクルにおいて、谷→山→谷の「山」の位置が上昇トレンドでは中心より右側に、下降トレンドでは左側に位置していることを意味します。
【米ドル/円 日足】5日移動平均線

上記チャートのように、下降トレンド時は三角形の頂点が左側にずれていることがわかります。
なお、今年4月の安値からのサイクルは、移動平均線の変曲点という観点からは、黄色いサイクルとして考えられるかもしれませんが、長期的なサイクルの影響で赤いサイクルになっている可能性もあるかもしれません。それでは、次にトランスレーションの特徴について解説します。

【ライト・トランスレーションとレフト・トランスレーション】

【ライト・トランスレーションの特徴】

・上昇トレンド時に形成される
・谷と谷の間にある山が中心より右側に位置する
・左の谷より右の谷の方が高い

 

【レフト・トランスレーションの特徴】

・下降トレンド時に形成される
・谷と谷の間にある山が中心より右側に位置する
・左の谷より右の谷の方が低い

トランスレーションのまとめ

トランスレーションとは、サイクルのピーク(山)がどこに位置するかによって、現在のトレンドの強さや方向性を判断する考え方です。
ライト・トランスレーション(右方移転)なら、 上昇トレンドが強いと判断でき、レフト・トランスレーション(左方移転)なら 下落トレンドが強いと判断できます。また、トランスレーションの位置が、徐々に右側から真ん中にズレて来ていれば、上昇トレンドが将来的に横ばいトレンドや下降トレンドに変化する可能性があるといった判断も可能です。

高度な数理的分析によるサイクル

サイクル分析の発展系のひとつが高度な数理的分析手法であるフーリエ解析によるサイクルの分析になります。
上記のとおり、相場は長期、中期、短期などの様々なサイクルの合成だというのが、サイクル分析の基本的な考え方になり、フーリエ解析とは、乱暴な言い方をすると、「相場自体の動きがどのような周期の波が合成されているのか」を明確化する方法です。

と言っても、わかりにくいので、一旦、相場のことは忘れてください。少し音楽の話をします。オーディオ機器で、グラフィックイコライザーというものがあります。
下の画像のように、今聴こえてくる音がどのような周波数帯の合成なのかを表示したもので、左から右に向かって低音(低周波数帯)から高音(高周波数帯)を意味します。
これが、フーリエ変換の例です。

エクセルでも高速フーリエ変換という機能があり、2のn乗個(2,4,8,16,32,64,128,256,512・・・・・・・・・)の価格データがあれば、相場がどのような波(サイクル)を合成したものなのか分析できます。
更に、そこから逆フーリエ変換をすることで、今後どのような相場になりそうなのかというのもイメージすることも可能です。
もし、エクセルに自信があり、フーリエ変換にご興味がある方がいらっしゃいましたら、是非、お試しください。

まとめ

サイクル分析は、相場の「時間的リズム」を見抜くことで、ピッタリ天井や底値を推定することは難しいですが、将来の転換点をイメージするための強力な武器になります。
また、ローソク足を見るだけでも、トレンドの把握やトランスレーションの変化は把握ができます。是非、サイクル分析の基本概念も頭の片隅に覚えていただき、他の分析手法と併用しながら活用してみてください。

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