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【完全解説】エリオット波動理論とフィボナッチで相場を予測!FXトレードへの活用法

2025.05.08

エリオット波動理論とは?基本原則とフィボナッチの関係性を徹底解説


相場には一定の法則性があるように感じられることがあります。その法則性をチャート上の値動きから読み解こうとした理論の一つが、米国の株式アナリスト(元は鉄道会社の会計士)、ラルフ・ネルソン・エリオット(1871–1948)が1938年に発表したエリオット波動理論です(「エリオット波動原理」や「エリオット波動論」とも呼ばれます)。

エリオット波動理論は、ダウ理論から派生したもので、「相場は人間の集団心理により周期的なパターンを形成する」という前提に基づいています。
その中核となるのが、「5つの推進波と3つの修正波によって1つのサイクルが構成される」という考え方です。

【エリオット波動理論における上昇相場の1サイクル】

赤色のラインは上昇の推進波
青色のラインは下降の推進波
緑色のラインは上昇時の修正波
茶色のラインは下降時の修正波

理論の発表当初は株式市場を対象としていましたが、現在ではFXをはじめとするあらゆる金融市場に応用されています。
(個人的には、これまでお会いしてきた海外系機関投資家や為替ディーラーにエリオット波動理論の中でもフィボナッチ・リトレースメントの信望者が多いという印象があります。)

エリオット氏の死後、多くの研究者により理論は洗練され、現代の相場に対応した新たな解釈も加わっています。本記事では、フィボナッチとの関連を中心にエリオット波動理論の基本概念、そしてFXトレードにおける実践的な活用法までを解説します。

エリオット波動とフィボナッチの関係性

エリオット波動の分析において、フィボナッチ(フィボナッチ数列、フィボナッチ比率)は非常に重要なツールです。

フィボナッチ数列

フィボナッチ数列は、13世紀の数学者レオナルド・フィボナッチ氏(本名はレオナルド・ダ・ピサ)によって発見された数列で、前の2つの数を足すと次の数になるという規則を持っています。
例:
0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89…

フィボナッチ比率(黄金比)

このフィボナッチ数列から派生するフィボナッチ比率は、自然界や芸術、建築など様々な場所に見られます。
例: 0.618, 0.382, 1.618,2.618など

【フィボナッチ数列とフィボナッチ比率の関係】

フィボナッチ数列は、(n+2)=n+(n+1)で計算される
フィボナッチ比率の計算
n÷(n+1)は、0.618に収束
n÷(n+2)は、0.382に収束
(n+1)÷nは、1.618に収束
(n+2)÷nは、2.618に収束

エリオット波動理論におけるフィボナッチ数列とフィボナッチ比率

エリオット波動理論では、フィボナッチ数列が「波動のカウント」に、フィボナッチ比率が目標価格やサポートやレジスタンスの算出に利用されています。
波動のカウントとは、大きな上昇と下落の波動をそれぞれ1波動とした場合、このサイクルは合計2波動になっていること。更に、この大きな上昇は5つの波動、大きな下落は3つの波動で合計8波動で構成されていること。更に大きな上昇の5つの波動は5波-3波-5波-3波-5波の計21波動、大きな下落の3つの波動は5波-3波-5波の計13波動で、21波動と13波動を合わせると34波動。
こういった波の数がそれぞれフィボナッチ数になっているということです。

フィボナッチ比率とフィボナッチリトレースメント

フィボナッチ比率は、相場の重要なサポートやレジスタンスレベル、あるいは波の値幅の関係性として頻繁に出現すると考えられています。
特に、フィボナッチ・リトレースメントとフィボナッチ・エクステンションはよく用いられます。

フィボナッチ・リトレースメント

相場の一時的な逆行(修正)がどこまで進むかを予測するために使用されます。推進波に対する修正波(2波や4波、またはABC波)の戻りの目安として、特定のフィボナッチ比率(例: 23.6%, 38.2%, 50.0%, 61.8%)のラインが意識されます。

フィボナッチ・エクステンション

推進波がトレンド方向にどこまで伸びるか、主に利益確定の目標値を予測するために使用されます。特に3波や5波の目標値として、フィボナッチ比率が活用され、1波の100%、123.6%、138.2%、161.8%などが目標価格の目途になります。

【フィボナッチ・リトレースメントとフィボナッチ・エクステンションの具体例】

例えば、修正波である2波は推進波である1波の50%~85.4%分の値幅で価格調整することが多く、推進波である3波は推進波である1波の値幅に対して161.8%以上の値幅で伸びることが一般的とされています。
また、修正波である4波は推進波である3波の14.6%~38.2%(ただし50%を超えない)の値幅で価格調整することが多いとされています。
更にC波はA波の61.8%~123.6%(あるいはそれ以上)となることがあります。これらの比率を参考に、トレードの参入点や利益確定目標を検討することができます。

【それぞれの波と値幅のイメージ】

 

【エリオット波動の基本パターン:推進5波と修正3波】

エリオット波動の最も基本的なパターンは、推進波と呼ばれる5つの波と、それに続く修正波と呼ばれる3つの波で構成されます。

推進波:

トレンドの方向へ進む波で衝撃波とダイアゴナルトライアングル(ダイアゴナル)の2種類があります。、衝撃波は、番号で「1, 2, 3, 4, 5」とラベル付けされます。図で見ると「上げ(5波)→下げ(3波)→上げ(5波)→下げ(3波)→上げ(5波)」のように、大きなトレンドの中で推進方向に3つの波(1, 3, 5波)と逆行する2つの波(2, 4波)が交互に現れる形です。
なお、ダイアゴナルは、上記の図表では示していませんが、楔形(くさびがた)の三角形で1波やA波で現れるリーディング・ダイアゴナルと5波やC波で現れるエンディング・ダイアゴナルがあます。また、ダイアゴナルの波形は衝撃波の5波-3波-5波とは異なり、以下の図のように5波-3波-3波-3波-3波、あるいは3波-3波-3波-3波-3波となります。

【推進波の種類】

修正波:

推進波で形成されたトレンドに対する調整の動きが修正波です。修正波は、アルファベットで「a, b, c」とラベル付けされます。通常、「下げ(5波)→上げ(3波)→下げ(5波)」(上昇トレンド後)のように3つの波で構成されます。これをジグザグといいます。
推進波には、ジグザグ(単純形)だけではなく、フラットやトライアングル、これらの複合の複雑形があり、フラットは「下げ(3波)→上げ(3波)→下げ(5波)」の3波構成、トライアングルは「下げ(3波)→上げ(3波)→下げ(3波)→上げ(3波)→下げ(3波)」の5波構成になっています。

相場はフラクタル構造

全体と一部分が相似な図形を、科学の用語で「フラクタル」と言います。

フラクタルの例

1.シダの葉

葉の全体の形と、それを構成する小さな葉が似た形をしており、明らかにフラクタル構造です。

2.雪の結晶

六角形の対称性を保ちながら、微細な分岐が繰り返される美しいフラクタルです。

3.海岸線

どのスケールで見てもギザギザした形状が続いており、フラクタル的な性質を持ちます。

4.木の枝分かれ

幹から枝、枝から小枝へと繰り返される分岐構造は、明確な自己相似性を示しています。

5.ロマネスコ(カリフラワーの一種)

全体の形状が小さな部分でも再現されており、非常に典型的なフラクタル野菜です。

6.稲妻(雷)

空に走る分岐の形が自己相似的で、フラクタル的なパターンを描きます。

7.血管・神経のネットワーク

体内の血管や神経系は分岐が繰り返され、全体と部分に相似性があります。

8.雲の形

大きな塊も小さな塊も似たような形をしており、階層的な構造が特徴です。

9.山脈の輪郭

どの縮尺で見ても不規則な形状が続き、フラクタルの特徴を持っています。

10.貝殻の螺旋(例えばオウムガイ)

対数螺旋の形をしており、サイズを変えても同じパターンが見られます。

 

そして、エリオット波動理論においては、相場もフラクタルだと言われます。
相場は上昇トレンドであれば、基本的には上図のとおり、5波で上昇し、3波で下降します。下降トレンドであればその逆で、5波で下降し3波で上昇します。

これらの波のパターンは、その波を構成する波動にも見られます。
これが、エリオット波動理論における「フラクタル構造」です。

もっとわかりやすく説明すると大きな波の中に、同じような形の小さな波が入れ子構造のように存在しているということです。
例えば、推進波の1波の中にも、さらに小さな5つの波が存在します。同様に、修正波のA波の中にも小さな3つまたは5つの波が存在します。

なお、波の規模は、「ウェーブディグリー」というエリオット波動独自の言語で識別され、グランドスーパーサイクルからサブミニュエットまで様々な段階があります。

ウェーブディグリー

・グランドスーパーサイクル

期間:数世紀にわたるサイクル
記号の付け方:((Ⅰ))、((Ⅱ))、((Ⅲ))、((Ⅳ))、((Ⅴ))、((a))、((b))、((c))、((w))、((x))、((y))

・スーパーサイクル

期間:数十年約40~70年にわたるサイクル
記号の付け方:(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)、(Ⅳ)、(Ⅴ)、(a)、(b)、(c)、(w)、(x)、(y)

・サイクル

期間:1年から数年にわたるサイクル(エリオットの延長では数十年にも及ぶことも)
記号の付け方:Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、a、b、c、w、x、y

・プライマリー

期間:数か月から2年にわたるサイクル
記号の付け方:((1))、((2))、((3))、((4))、((5))、((A))、((B))、((C))、((W))、((X))、((Y))

・インターミディエイト

期間:数週間から数か月のサイクル
記号の付け方:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、(B)、(C)、(W)、(X)、(Y)

・マイナー

期間:1週間程度のサイクル
記号の付け方:1、2、3、4、5、A、B、C、W、X、Y

・ミニット

期間:数日程度のサイクル
記号の付け方:((ⅰ))、((ⅱ))、((ⅲ))、((ⅳ))、((ⅴ))、((a))、((b))、((c))、((w))、((x))、((y))

・ミヌエット

期間:数時間のサイクル
記号の付け方:(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)、(ⅳ)、(ⅴ)、(a)、(b)、(c)、(w)、(x)、(y)

・サブミヌエット

期間:数分のサイクル
記号の付け方:ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ、a、b、c、w、x、y

本来は、上記のような期間における相場サイクルの分類、記号の付け方などのルールがありますが、実際には、それぞれのアナリストにより異なります。
なお、国内でエリオットに特化したテクニカルアナリストは、NTAAの幹部の中でも宮田直彦さん(現在、マネースクエアアカデミア学長、CFTe®)が第一に思い浮かびますが、彼を除いてエリオットに詳しいというと、いちよし証券の高橋幸洋さん(MFTA®)あたりでしょうか?あとは私?
ちなみに、2011年12月2日にTFXでおこなわれた、雇用統計カーニバル(18分20秒あたりから)では、エリオット波動論も利用してその後の為替動向の予測をしました。

※エリオティシャン(エリオット波動理論を信望するアナリストで国内よりも海外機関投資家に多い)によっては、さらに小さいサイクルや大きいサイクルを指定する人もいます。

エリオット波動の基本原則

エリオット波動の推進波には、必ず守られなければならない「ルール」がいくつか存在します。特に重要な3つの原則は以下の通りです。
原則①:推進波の第3波は、第1波と第5波の中で最も短くはならない。
原則②:推進波の第2波は、第1波の始まり地点を超えて(割り込んで)修正することはない。
原則③:推進波の第4波は、第1波の高値(下降トレンドでは安値)を下回る(上回る)ことはない。
これらの原則を満たしている場合、エリオット波動の基本パターンが形成されている可能性が高く、その後の相場展開を予測するヒントになります。ただし、これらの原則を満たしていても、必ずしもパターン通りになるとは限らない点には注意が必要です。

その他:交代の法則(オルタネーション)=修正波の2波が単純(ジグザグ)なら修正波の4波は複雑(フラット等)で、両方とも複雑になることは無い
留意点①:3波の高値を5波の高値が上回らないことがある(これを、フェイラーあるいは切頭パターン、トランケーションという)
留意点⑥:出来高と相場の関係で、3波で出来高が膨らみ、5波では3波より少なくなる傾向がある
留意点⑦:RSIに代表されるオシレータ系テクニカル指標も、3波で高値を付けることが多い
留意点⑧:エリオット波動理論は、株価指数や為替市場などには機能するが、時価総額の小さい個別株にはあまり機能しないことが多い
留意点⑨:日経平均株価とTOPOX、S&P500とNYダウなどを比較して、一方が高値を更新してももう一方が高進しなければ、天井形成の可能性をはらんでいる

相場におけるエリオット波動の実践(フィボナッチ・リトレースメントの活用)

【フジトミトレーダー株365 くりっく株365 日経225 日足チャート】

「フジトミトレーダー株365」や「フジトミトレーダー365FX」で、フィボナッチ・リトレースメントを利用する場合は、チャート画面の右側にあるツールバーのフィボナッチ・リトレースメントを選択します。
過去の最高値と最安値を結ぶことで、リトレースメントの水準(価格が反発する可能性が高い水準)を示してくれます。なお、その際にピッタリその価格で止まるという意味ではなく、大体、その価格付近ということを意識するようにしましょう。(移動平均線やボリンジャーバンドなどを併用し、各指標やキリの良い価格などもから、レジスタンスやサポートになりやすい価格水準をイメージすると良いでしょう。)
なお、「フジトミトレーダー株365」や「フジトミトレーダー365FX」では、自動でフィボナッチを計算してくれるツールがもう1つあります。
表示する手順は、チャート画面上部の「テクニカル設定」より「インジケータ1」を選択。「フィボナッチ」にチェックを入れるだけです。

フィボナッチ・エクスパンションとして利用する場合は、1波の安値と高値を上記ツールで計り、それを2波の終点に合わせます。具体的には、以下のチャートでフィボナッチ・リトレースメントを利用し、最安値から初めの高値までを計り、これをマウスでドラッグし図のように2波の終点に合わせます。フィボナッチ・エクスパンションを利用する際も、その価格ピッタリで止まるというのではなく、概ねその価格水準になりそうだというイメージです。

また、「フジトミトレーダー株365」と「フジトミトレーダー365FX」では、他のフィボナッチツールも利用可能です。
具体的には以下の3つです。

「フィボナッチ・アーク」:今後のレジスタンスやサポートになりやすい水準を円形で探るツール
「フィボナッチ・ファン」:3つのトレンドラインで今後のレジスタンスやサポートになりやすい水準を探る
「フィボナッチ・タイムゾーン」:フィボナッチ数列を利用した日数(日柄)を利用し、今後の相場反転タイミングを探る

 

エリオット波動のまとめ

エリオット波動理論は、ダウ理論が派生した分析理論です。フィボナッチ数列やフィボナッチ比率をベースに、相場がフラクタル構造であるとした考えの基に体系づけられた分析手法になりますが、現在では、こういった理論を全体的に網羅するのではなく、フィボナッチ・リトレースメントなどの値幅観測ツールを好んで利用される方が多いように見受けられます。
※特に海外のディーラーなどには好まれて使われています。
そのため、私達日本の実務家(アナリストやトレーダー)もフィボナッチ・リトレースメントなどを利用して、海外勢の思惑などをイメージできるようにしておくのが良いのではないでしょうか?

エリオット波動の基礎の基礎 有川和幸①

エリオット波動 効率のいいエントリーポイント 有川和幸②

エリオット波動 細密なエントリーポイントとロスカットの設定 有川和幸③

 

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