ダウ理論とは?FX・株で使える相場の基本ルール
テクニカル分析を学ぶ上で、最も基本となるのが「ダウ理論」です。相場の流れを読み、トレンドに乗るための土台となる考え方で、多くのプロトレーダーもこの理論をベースに売買を行っています。この記事では、「ダウ理論の6つの基本法則」と「実際の売買での使い方」を初心者にもわかりやすく解説します。
【結論】ダウ理論は「トレンド」を読むための基本ルール
ダウ理論を一言で表すと「相場にはトレンドがあり、その流れに乗ることで利益が出やすい」です。
ダウ理論の歴史:チャールズ・ダウの思想から始まった
1880年代にダウ・ジョーンズ社を創設したチャールズ・ダウは、「平均株価」を発表。当初は、米国の鉄道株9銘柄を含む11銘柄の平均株価でした。その後、1928年に30銘柄の工業株平均と20銘柄の輸送株平均になり、現在では更に15銘柄の公益株平均、総合65種平均になっています。
話を元に戻し、ダウはこの「工業株平均」と「鉄道株平均」を使って景気全体の動きを観察し、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の社説に連載。
ダウの死後1903年にS・A・ネルソンがこの社説を整理し『The ABC of Stock Speculation』として発表しました。ここで初めて「ダウ理論」という言葉が用いられました。
更にその後1932年にロバート・リーが『The Dow Theory』を出版。現在、この『ダウ理論』が、テクニカル分析の基礎となっています。
ダウ理論の6つの基本法則+1
ダウ理論は、次の6つの法則から成り立ちます。
① 平均株価はすべてを織り込む
ニュースや指標、投資家の心理状況など、全ての情報は、すでに平均株価に反映されている。
② トレンドは3種類
・メジャートレンド(プライマリートレンド)⇒通常1年以上、時には数年にもおよぶ大きな上昇または下降の動き
・修正トレンド(セカンダリースイング)⇒一般的に3週間から数ヵ月続く、メジャートレンドに逆行する動き
・マイナートレンド⇒3週間未満で終わることが多いトレンドで、マイナートレンドの集合が修正トレンド
※上記のイメージのとおり、実際の相場ではマイナートレンドを構成する更に短いものもあります。
トレンドの定義は以下のとおりです。
・上昇トレンド:安値が右肩上がり 且つ、高値も右肩上がり
・下降トレンド:高値が右肩下がり 且つ、安値も右肩下がり
・横ばいトレンド(トレンドレス):上記のどちらでもない場合
③ メジャートレンドには3段階
第1段階:機関投資家が静かに動き出す
第2段階:トレンドフォロー型の投資家が参加し、価格と出来高が上昇
第3段階:機関投資家が利益確定、一般大衆が買いで参入(リスク増)
④ 複数の平均株価を相互に確認
ダウは「工業株」と「鉄道株」の両指数が同じ方向に動いて初めて本格的な好景気、不景気と判断される。
⑤ トレンドは出来高でも確認できる
上昇トレンド時
相場上昇局面で出来高が増加、下落局面で出来高が減少
下降トレンド時
相場下落局面で出来高が増加、上昇局面で出来高が減少
⑥ トレンドは転換まで続く
明確な反転シグナルが出るまで、トレンドは継続する。
+1「終値」が最も重要な価格
終値は市場参加者が合意した最終価格
売買判断にも最も信頼される価格
【実践編】ダウ理論を使った売買タイミングの見極め方
▶ 実例:チャートで見るトレンドとトレンド転換
【くりっく株365 金ETF 日足チャート】
・安値を切り上げて推移し、高値も切り上がっている
・4/22高値から調整局面に入っているが、直近の安値は下回っていない
・従って金ETFは、上昇トレンドが継続中
⇒トレンドの反転は、4月の安値を下回ったとき
ダウ理論を使いこなすためのヒント
ダウ理論に対する2つの批判
1.シグナルが遅すぎる
⇒相場反転のシグナルが遅すぎるという批判がある。トレンド転換の確認まで、メジャートレンド全体の5分の一から3分の一の値動きが必要になるため、上下合わせると得られる利益が高値から安値、または安値から高値の5分の三から3分の一程度になってしまう。
2.当初は、指数自体の売買ができないといった批判があった
⇒1997年にはダウ平均先物が、1998年にはダウ平均に連動するETFが上場
特に1つ目の批判については
・他のインジケーター(例:MACD、RSI)も活用することで精度を上げる工夫が必要
・「だまし」への警戒も必要なため、ダウ理論が派生したエリオット波動論やトレンドライン分析と組み合わせて活用するのも有効と考えられている
【まとめ】ダウ理論は相場分析の土台!まずは6原則をマスターしよう
ダウ理論は、あらゆるテクニカル分析の出発点です。
相場の方向性を正しく読み取り、適切なエントリーポイントを見つけるための重要な武器となります。
まずは6つの基本ルールと「終値重視」の考えを理解し、実際のチャートで確認しながら身につけていきましょう。
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