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チャート分析における三大前提のひとつは、「価格推移はトレンドを形成する」という考え方です。
今回は、トレーディングで最も重要な「トレンド」の定義とその見つけ方について、初心者にもわかりやすく解説していきます。
トレンドに逆らうな
株式投資やFXなど、トレーディングにおいて最も重要なもののひとつが「相場の方向性=トレンド」です。
ウォール街の格言に
「トレンドは友達(The trend is your friend.)」
という言葉があります。つまり、「トレンドに逆らうな」という教えです。
(英文が韻を踏んでいるのも洒落ていますね!)
トレンドに逆らったトレードは、たとえ英雄気取りの気分を味わえても、映画のように必ず勝つ結末が待っているとは限りません。利益を狙うなら、先人たちの教えに従い、トレンドに沿った取引を心がけましょう。
それでは、まず相場における「トレンド」の定義をしっかり押さえましょう。
相場におけるトレンドの定義
相場のトレンドは、主に次の3種類に分類されます。
〇上昇トレンド:安値・高値ともに右肩上がりで推移している状態
〇下降トレンド:安値・高値ともに右肩下がりで推移している状態
〇横ばいトレンド(トレンドレス):上昇とも下降とも言えない方向感のない状態
ここで特に重要なポイントは以下の通りです。
・上昇トレンドでは「安値」が切り上がっていること
・下降トレンドでは「高値」が切り下がっていること
この基礎知識は、トレンドラインを引く際にも必須となるので、ぜひ覚えておきましょう。
実際にチャートからトレンドを見つけよう1
【使用チャート】
フジトミトレーダー365FX 米ドル/円 週足チャート
問1:このチャートからトレンドを見つけてください。
ポイントは、
上昇トレンド=安値が右肩上がり
下降トレンド=高値が右肩下がり
でしたね。
答えは、
①上昇トレンド → ②下降トレンド → ③上昇トレンド→ ④下降トレンド
の4つのトレンドが見つかります。
※①を3つのトレンドに分けても間違いではありません。
続いてもう一問。
問2:④下降トレンドでは、直近の安値から上がり始めていますが、上昇トレンドに入ったと判断できるでしょうか?
→ **答えは「No」**です。
理由は、直前の高値を上回っていないためです。
※チャート上にトレンドラインを描くことで「上昇トレンド入りの兆し」を捉えることができますが、次回解説します。
時間軸によって変わるトレンド
同じ銘柄でも、見るチャートの時間軸によって「答え」が異なる場合もあります。
例えば、長めの時間軸(日足)では下降トレンドと判断できます。
フジトミトレーダー365FX 米ドル/円 日足チャート
一方、同じタイミングで短めの時間軸(1時間足)では上昇トレンドと判断できます。
フジトミトレーダー365FX 米ドル/円 1時間足チャート
このように、同じタイミングであっても投資家が見ている時間軸によって、トレンドは異なります。
トレンドには3つの期間がある
ダウ理論では、トレンド期間を次のように定義しています。
・長期トレンド:1年~数年間続く
・中期トレンド:3週間~3ヶ月間続く
・短期トレンド:3週間未満
長期トレンドの中に中期トレンドがあり、その中に短期トレンドが内包されているというイメージです。
これが基本で、さらに、これらよりも短い超短期・超々短期、超長期~といった時間軸も存在します。(これについては、エリオット波動論で解説します。)
取引スタイルに合わせたチャート選び
取引スタイルによって、見るべき時間軸も異なります。
・長期投資家:週足~月足(四半期足や年足も)
・スイングトレーダー(ポジショントレーダー):4時間足~日足
・デイトレーダー:ティックチャート~1時間足
例えば、デイトレーダーが月足チャートの長期上昇トレンドを理由に買いエントリーしても、短期トレンドが下降基調なら失敗するリスクが高まります。
逆に長期投資家が1分足チャートのトレンドを根拠に売買するのはナンセンスです。
しかしながら、チャート分析の基本は、「長期足→中期足→短期足(順番に)」とトレンドを確認していくことです。(これをマルチタイムフレームによる分析とも言います。)
みなさんは、ご自身の取引スタイルに合わせて、長めの足種別から順にトレンドを確認するようにしましょう。
例:デイトレーダーの場合(イメージ)
日足→4時間足→1時間足→5分足
横ばいトレンド(トレンドレス)にも注目
チャート上に、明確な上昇・下降が見られない「横ばいトレンド(トレンドレス)」が出現することもあります。
これを「中段保ち合い(もちあい)」と呼ぶこともあります。単に保ち合い(もちあい)相場とも言いますが、「中段」が付いている点がミソです。
フジトミトレーダー365FX 米ドル/円30分足チャート
まさに、米ドル/円の30分足チャートは、中段保ち合いの相場になっています。
なぜ、「中段」が付くかというと、保ち合いの後は、直前のトレンドに回帰する傾向があるからです。すなわち上昇トレンドが継続し「保ち合い相場」になった後は保ち合い相場の上限を上回り再度上昇トレンドへ、逆に下降トレンドが継続し「保ち合い相場」になった後は保ち合い相場の下限を下回り再度下降トレンドに転じやすいということです。
そのため、上記のチャートのメインシナリオは、今後、上値144.035を切り上げる可能性が高いと考えられます。
あくまでも、傾向があるということで、「保ち合い相場」は、売り買いの均衡がとれている状況ですので、相場がその上限や下限を超えてくる時がトレンド発生の重要なサインになるため、覚えておきましょう。
上記の米ドル/円チャートであれば、相場が143.50や143.25あたりを下回ると、下降トレンドになりやすいということです。
(詳細は「パターン分析(フォーメーション分析)」でさらに解説します。)
まとめ
・トレンドを見つけることは、トレードの第一歩
・トレンドに沿った取引が利益への近道
・トレンドを理解できれば、トレンドライン分析にも進める
この基本を押さえたら、ぜひ次は「トレンドラインの引き方」も学んでいきましょう!