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テクニカル分析の3大前提とは?相場を読み解くための基本原則を解説

2025.04.25

テクニカル分析の3大前提とは?

テクニカル分析とは、過去の価格や出来高などの市場データをもとに、相場の方向性と過熱感を把握し、将来の値動きを予測する分析手法です。
株式やFX、仮想通貨など、あらゆる金融商品の相場分析に用いられています。

テクニカル分析(チャート分析)をおこなっていく上で、その土台となる「3つの大前提」が存在します。
この前提を正しく理解せずに分析を進めると、チャート分析の本質を見誤るリスクがあります。そこでこの記事では、その3つの基本原則と、それぞれが持つ意味をわかりやすく解説します。

1. 市場の変動はすべてを織り込む(Everything is discounted in the price)


この原則は、「あらゆる情報はすでに価格に反映されている」という考え方です。経済指標、企業の業績、金利、地政学リスク、さらには投資家の心理までもが、市場の値動きの中に織り込まれているということです。

つまり、テクニカル分析においては、価格(数値)こそが最も信頼できる情報源という立場を取ります。
情報量がどれほど多くても、それがチャートに反映されなければ意味がない。逆に、チャートを見れば市場参加者の心理状況や反応が見えてくる、という発想です。

(解説)

この前提には、「情報が瞬時に価格に反映される」という効率的市場仮説に近い考え方が含まれていますが、現実の市場では投資家の非合理な行動によって価格は歪むことが多々あります。
たとえば、以下のような心理バイアスが影響します:

〇代表性バイアス:最近の出来事が今後も続くと信じる
〇過信バイアス(オーバーコンフィデンス):自分の予測能力を過大評価する
〇確証バイアス:自分に都合のよい情報ばかりを集める

こうしたバイアスにより、投資家たちは感情的に反応して、過大評価・過小評価が起こります。しかし、そのすべてが価格に反映された結果がその値動き、即ちチャートであると捉えるのがテクニカル分析の考え方です。

つまり、人間の不合理な行動も含めて市場が価格に織り込むという意味で、むしろテクニカル分析は行動経済学(「人間は必ずしも合理的に行動しない」という前提で、経済活動における人間の心理や行動のクセを解明する学問)と親和性が高いのです。

2. 価格の変動はトレンドを形成する(Prices move in trends)

市場の価格はランダムウォーク(無作為な動き)に見えて、実は一定の方向性を持って動くことが多くあります。これが「トレンド」です。そして上昇・下降・横ばいといったトレンドは、ある程度の期間継続する傾向があります。

この原則を前提にすることで、「トレンドは継続する」という仮定のもとに売買判断が可能になります。多くのテクニカル指標やチャートパターンは、このトレンドの継続性を前提として構築されています。例えば、これから解説する移動平均線やトレンドライン、ブレイクアウト戦略などは、トレンドが一方向に続くことを想定して機能します。

(解説)

人間には「バンドワゴン効果(同調バイアス)」という心理があります。これは、「みんなが買っている(売っている)から自分も」と流れに乗って行動する傾向です。
こういった群集心理(ハーディング現象)により、一方向の値動きが強まり、トレンドが生まれる要因になります。
また、価格が一定方向に動くと、人はその動きを「意味がある」と感じてしまう「ナラティブ錯誤(ストーリーバイアス、物語化バイアス)」にも陥りやすい傾向があります。これは、事実よりも「ストーリー」を重視してしまう人間の性質です。
その結果:
上昇が続けば「この株には材料があるに違いない」
下落が続けば「もうダメかもしれない」
というストーリーが構築され、市場参加者がそのストーリーに反応することで、トレンドがさらに強化される構造になると行動経済学的には考えられています。

 

3. 歴史は繰り返す(History repeats itself)

チャートパターンや相場の動きは、過去にも何度も同じような形を描いてきました。これは、いくら技術が進歩しても「人間の心理自体」が変わらないためです。今も昔も褒められればうれしいですし、貶されれば悲しい感情や怒りの感情が生まれます。どんなに高度に発展しても、こういった人間の心理が変わらないのです。

そして、恐怖や欲望といった感情が、似たような値動きを引き起こすというのが、この前提の根本です。

キリの良い価格や移動平均線などで相場が切り返すことがあるのも、酒田五法やヘッドアンドショルダーなどのチャートパターンや、フィボナッチやサイクル理論が成立するのも、すべて「過去に似たような動きがあったから、今回も同様になるかもしれない」という、帰納的な仮説に基づいています。この前提を意識することで、パターン認識や心理的な転換点を捉える力を養うことができます。

まとめ:テクニカル分析の本質を理解しよう

テクニカル分析の3大前提は、単なる知識ではなく「相場を見る目」を養うための土台(本質)です。

〇市場はすべての情報を価格に織り込む
〇価格はトレンドに沿って動く
〇歴史は繰り返される

この3つの視点を持つことで、チャートに映る価格の裏側にある市場心理を読み取る力が養われます。
分析の正確性を高めたいなら、まずはこの前提を深く理解することから始めましょう。

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