ローソク足がテクニカル分析の基本である理由
価格の推移をグラフで表す方法は数多くありますが、日本で最も一般的に使われているのが「ローソク足チャート」です。
【フジトミトレーダー365FX 米ドル円のローソク足チャート】
なお、以下はローソク足を含む主な価格推移の表現方法です:
・ローソク足(Candlestick)
・バーチャート(Bar Chart)
・ラインチャート(Line Chart)
・平均足(Heikin Ashi)
・ポイント&フィギュア(P&F)
・新値足
・カギ足
・マーケット・プロファイル
ローソク足の由来
ローソク足はその形状が「ろうそく」に似ていることから名付けられ、日本で生まれたチャートの形式として世界中に広まりました。
ローソク足の構造と基本的な見方
ローソク足は、一定の時間内(例:1日)での価格変動を「始値」「高値」「安値」「終値」の4つの値(四本値)で表します。
陽線と陰線の違い
陽線
陽線は終値が始値より高い場合で、価格が「上昇」したことを示しています。
陰線
陰線は終値が始値より低い場合で、価格が「下落」したことを示しています。
色の使い方は国やチャートソフトによって異なります。日本では陽線を白または赤、陰線を黒または青で表しますが、海外(特に欧米)では陽線を緑、陰線を赤で表示させるケースが一般的です。
ローソク足の各部名称
・実体(胴体):始値と終値の価格差を表す四角い部分
・上ヒゲ(上影、うわかげ):実体より上の「高値」まで伸びる線
・下ヒゲ(下影、したかげ):実体より下の「安値」まで伸びる線
証券会社のレポートでは「上ヒゲの長いローソク足」などと表現されることが多く、基本用語として覚えておくと便利です。
ローソク足の歴史と進化
ローソク足は、錨足(いかりあし)や棒足、陰陽足といった旧来の描画方法を進化させてできたものです。これらの手法は現在ではほとんど使われていませんが、ローソク足はその視認性と情報量の多さから現在でも支持されています。
【ローソク足と古いチャート描画方法】
海外での活用と比較
アメリカではかつてバーチャートが主流でしたが、価格の上昇下落を一目で把握できるローソク足の利便性から、現在では多くの投資家がローソク足を利用しています。
バーチャートは、「始値」が分かりにくく、上昇下落のイメージもつきにくいため、相場の流れを把握するにはローソク足の方が適しているのです。
【ローソク足とバーチャートの違い】
足の種別による違いと注意点
ローソク足は、時間軸に応じて以下のように構成されます。
日足:1日の始値・高値・安値・終値
週足:週の営業初日の始値、週中の高値・安値、最終営業日の終値
月足:月の営業初日の始値、月中の高値・安値、最終営業日の終値
1時間足/1分足:それぞれの時間内での四本値
なお、週足以上のチャートの作成方法※は証券会社によって異なる場合があります。
※週足、月足、四半期足、年足など
具体的には、「取引時間中(ザラバ)の高値や安値を使わない」ケースや「日々の終値で作成」しているケースです。
「取引時間中(ザラバ)の高値や安値を使わない」ケース
例:月曜日の始値、月曜日から金曜日の終値のうち最も高い価格、月曜日から金曜日の終値のうち最も安い価格、金曜日の終値の4つの価格で作成
「日々の終値で作成」しているケース
例:月曜日の終値、月曜日から金曜日までの終値のうち最も高い価格、月曜日から金曜日の終値のうち最も安い価格、金曜日の終値の4つの価格で作成
なお、フジトミ証券のチャートツールにおける週足、月足は、取引時間中(ザラバ)の高値や安値も利用して表示されています。
ローソク足で相場の「心理戦」を読み解く
たった1本のローソク足にも、投資家たちの「心理」が表れます。
たとえば、長い下ヒゲをつけて引けた陰線は、一時的に売り圧力が強まったものの、最後は買いが優勢になって切り返したことを示しています。そこから「相場は下げ止まり、反転の兆しかもしれない」と読み取ることも可能です。
逆に、数日間の横ばい相場の後に、力強い陽線が出れば、「買い手の力が売り手を上回った」と判断でき、トレンド発生の予兆として注目されることもあります。
このように、ローソク足は「買い」と「売り」の綱引きを視覚化し、相場の転換や強弱を読み解くための非常に有効なツールなのです。
【フジトミトレーダー株365 日経225 週足チャート】
※1本から数本のローソク足の形状から相場動向を分析する手法は「罫線(けいせん)分析」、また、一定期間のチャートパターンから判断する手法は「パターン分析(あるいはフォーメーション分析)」と呼ばれます。
まとめ
ローソク足チャートは、日本発祥のテクニカル分析ツールであり、価格の推移を視覚的に把握できる非常に優れた方法です。1本1本のローソク足に注目することで、売買の力関係や市場参加者の心理を読み取り、相場の今後を予想するヒントを得ることができます。
次回は、このローソク足をさらに活用した「罫線分析」について詳しく解説します。