
★イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。
11日の米国株主要三指数は、全てで反落する展開となった。米相互関税に伴うリスク回避の動きが強まり売りが優勢となる展開になった。そして、米長期金利は米関税政策が物価上昇につなるとの思惑から売り優勢となり前日比で上昇する展開となった。イールドスプレッドは、主要三指数は、全てで前日比で割高感が強まった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はプラス圏で推移している。11日終了時でプラス3.3(10日:プラス3.5)とプラスが縮小する展開となった。この指数のプラス推移は、市場予想を上回る経済指標が増えていることを示している。そして、米景気はプラス圏で推移していることから景気は回復していることを示している。
★NY株式市場では、トランプ氏は10日夜、カナダからの輸入品に8月1日から35%の関税を課すと表明した。米NBCテレビのインタビューでは、相互関税に関する通知を受け取っていない国に「15%か20%を一律でかける」ことを検討していると話した。米バンク・オブ・アメリカのアディティヤ・バーベ氏の試算では、今週の発表を受け米国の実効関税率は約14%と2%上昇する見通し。市場ではインフレ再燃に伴う景気後退への懸念が強まっている。インフレの再燃で消費者心理が悪化するとの見方から、S&P500種株価指数の業種別で生活必需品が売られた。一方、米長期金利は、トランプ米大統領がカナダへの35%関税を表明するなか、米関税が物価上昇につながるとの思惑が債券売り(利回りは上昇)を促した。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
米国株のVIX指数は15.78から16.40へ低下した。20ポイント台を下回る展開が継続となった。そして、VIX指数が20ポイントを下回っていることで、リスク回避の動きは強まっていない。ただ、債券利回りに対して、株式指数の益利回りは主要三指数全てで下回っていることで、株式市場の割高感が強まっている。基本的には債券利回りよりリスクの高い株式益利回りの方が高いのが正常な状態であるため、逆転するということは非常に株式市場の割高感が強いことを示す。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
米国主要三指数のNYダウとNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.646%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%
24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月10日+0.741%⇒7月11日:予想+0.789%(前日比で縮小:割高)
7月11日のNYダウが反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲2.646%から▲3.435%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲5.015%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.891%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲5.330%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.806%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.357%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%
24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%、20/3/23-▲6.222%
・7月10日:+0.212%⇒7月11日:予想+0.268%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.357%から▲2.625%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲4.137%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲4.270%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲4.447%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.767%下回った。20年3月23日の6.222%から▲6.490%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.259%
・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%
24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月10日:+1.063%⇒7月11日予想+1.125%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは4日ぶりに反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.259%から▲2.384%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲3.304%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲3.508%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.623%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.928%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲5.219%下回った。
★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価指数も反落したものの前日比でイールドスプレッドは縮小した。そして、スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回まわる状態に転換した。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が強まった。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。




