
★イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。
7日の米国株主要三指数は、全てで反落する展開となった。関税のニュースが切っ掛けに利益確定や持ち高調整売りが優勢となる展開になった。そして、米長期金利は米関税政策によるインフレ再燃の思惑から売り優勢となり前日比で上昇する展開となった。イールドスプレッドは、主要三指数は、全てで前日比で割高感が強まった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はマイナス圏で推移している。7日終了時でマイナス0.4(3日:マイナス2.6)とマイナス圏で縮小する展開となった。この指数のマイナス推移は、市場予想を下回る経済指標が増えていることを示している。そして、米景気はマイナス圏で推移していることから景気は鈍化していることを示している。
★NY株式市場では、トランプ米大統領が7日、日本と韓国に25%の関税を課すと表明した。米政権の貿易政策が世界景気の冷え込みにつながるとの懸念から主力株に売りが出た。トランプ氏は自身のSNSに日本と韓国に送付したとする書簡を公表した。「関税や関税以外の政策および貿易障壁によって生じた、長期的に続いてきた貿易赤字を解消しなければならない」と記した。4月に公表した24%の対日関税とほぼ同水準になり、米国と貿易相手国の交渉次第で世界経済への悪影響が限定的になるとの楽観が後退した。関税は8月1日から適用するとした。トランプ氏はその後、ミャンマーからの輸入品に対しては40%、南アフリカには30%の関税を課すなどとも表明した。高関税が米国の物価高につながり消費が悪化するとの懸念も強い。NYダウの下げ幅は一時668ドルに達した。一方、米長期金利は、米国の関税政策がインフレ再燃につながるとの思惑が意識されたほか、今週の米国債入札を前に持ち高調整売りも出た。市場では、新しく提示された関税の詳細がいまだ不透明で、相場の重荷だったとの声が聞かれた。関税が本格的に発動されれば、米国内の物価を押し上げる圧力が高まるとの見方につながった。9日には10年債、10日には30年債の入札が予定されている。入札を前に持ち高調整の売りが出やすかったとの見方もあった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
米国株のVIX指数は16.38から17.79へ上昇した。上昇したものの20ポイント台を下回る展開が継続となった。そして、VIX指数が20ポイントを下回っていることで、リスク回避の動きは強まっていない。ただ、債券利回りに対して、株式指数の益利回りは主要三指数全てで下回っていることで、株式市場の割高感が強まっている。基本的には債券利回りよりリスクの高い株式益利回りの方が高いのが正常な状態であるため、逆転するということは非常に株式市場の割高感が強いことを示す。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
米国主要三指数のNYダウとNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.649%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%
24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・7月3日+0.734%⇒7月7日:予想+0.739%(前日比で縮小:割高)
7月7日のNYダウが反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲2.649%から▲3.388%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲4.965%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.841%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲5.280%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.756%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.360%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%
24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%、20/3/23-▲6.222%
・7月3日:+0.218%⇒7月7日:予想+0.219%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.360%から▲2.579%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲4.088%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲4.221%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲4.398%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.718%下回った。20年3月23日の6.222%から▲6.441%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.262%
・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%
24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・7月3日:+1.056%⇒7月7日予想+1.065%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.262%から▲2.327%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲3.244%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲3.448%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.563%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.868%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲5.159%下回った。
★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価指数は反落したものの前日比でイールドスプレッドは縮小した。そして、スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回まわる状態に転換した。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が強まった。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。




