FX(自動売買)・CFD・商品先物(金・原油)ならフジトミ証券

投資情報ナビ

イールドスプレッドで4月11日の米国株市場を先取り!米長期金利上昇も米株の大幅反落で割高感は和らぐ!

2025.04.11

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

10日の米国株主要三指数は、全てで大幅反落する展開となった。そして、米長期金利は相互関税によるインフレ懸念から売りが優勢となり、金利は前日比で上昇する展開となった。イールドスプレッドは、全てで前日比拡大して割安となった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はマイナス圏へ低下している。10日終了時でマイナス15.8(9日:マイナス7.6)と前日比でマイナス幅が拡大する展開。この指数のマイナス推移は、市場予想を下回る経済指標が増えていることを示している。そして、米景気はゼロ近辺で推移していることから停滞気味であることを示している。

NY株式市場では、昨日の大幅上昇の反動で、寄り付き後は下落した。その後、相互関税の大半が一時停止されたものの、トランプ政権の関税策を巡る不透明感が存続したほか、景気後退懸念も根強く続落した。さらに、対中関税率が合計145%になることを政府が確認すると、米中貿易戦争激化を警戒した売りが加速した。終盤にかけ、下院が恒久的な減税を含んだ予算決議案を可決、トランプ大統領が閣僚会議で中国との取引を望んでいると言及すると相場は下げ幅を縮小して終了した。一方、米長期金利は、3月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、30年債入札が「好調」だったにもかかわらず、長期債への買い(利回りは低下)は限定的だった。トランプ米政権の「相互関税」によるインフレ懸念から売り(利回りは上昇)が出やすい地合いだった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数はか33.62から40.72へ上昇した。ただ、VIX指数が40を上回っていることで、リスク回避の動きは強い水準を維持している。そして、債券利回りに対して、株式指数の益利回りがNASDAQ総合指数は下回っていることで、株式市場の割高感が強まっている。基本的には債券利回りよりリスクの高い株式益利回りの方が高いのが正常な状態であるため、逆転するということは非常に株式市場の割高感が強いことを示す。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

米国主要三指数のNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.698%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・4月9日+0.030%⇒4月10日:予想▲0.002%(前日比で拡大:割安)

 

4月10日のNYダウが大幅反落した一方で、米長期金利が上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲2.698%から▲2.696%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲4.224%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.100%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲4.539%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.015%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.396%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%

19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%、20/3/23-▲6.222%

・4月9日:▲0.479%⇒4月10日:予想▲0.574%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が大幅反落した一方で、米長期金利が上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.396%から▲1.822%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.295%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲3.428%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲3.605%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲3.925%下回った。20年3月23日の6.222%から▲5.648%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.294%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・4月9日:+0.370%⇒4月10日予想+0.270%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが大幅反落した一方で、米長期金利が上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)だった。平均値の▲1.294%から▲1.564%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.449%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.653%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.768%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.073%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.364%下回った。

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数が大幅反落したことで前日比でイールドスプレッドは拡大した。しかし、スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りを上回まる状態に転換した。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が強まった。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

  • プライム情報・記事一覧
  • 経済カレンダー
  • 相場表

▲ PAGE TOP