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イールドスプレッドで3月5日の米国株市場を先取り!米株安でも米長期金利の大幅上昇で割高感は強まる!

2025.03.05

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

4日の米国株主要三指数は、全てで続落する展開となった。一方、米長期金利は引けにかけて買われ過ぎから一転売りが優勢となり、金利は前日比大幅上昇して終了した。イールドスプレッドは、米国主要三指数全てで前日比で割高となった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はプラス圏へ回復している。3日終了時でマイナス11.9(3日:マイナス12.2)と前日比でマイナス幅が縮小する展開。この指数のマイナス推移は、市場予想を下回る経済指標が増えていることを示している。そして、米景気はゼロ近辺で推移していることから停滞気味であることを示している。

NY株式市場では、貿易競争の激化を警戒した世界株安に連れ、寄り付き後は下落した。トランプ政権の関税対象国となったカナダやメキシコの首脳が報復措置を主張したため警戒感が一段と強まったほか、景気減速懸念を受けた売りも強まり、相場は一段安となった。その後、一部報道で、トランプ大統領の鉱物資源案を巡る発言を受けてウクライナ停戦期待が再燃し、買い戻しが加速し下げ幅を縮小した。ナスダックは半導体エヌビディア(NVDA)などが押し目から買われ、さらに、早期利下げ期待を受けた買いに、終盤にかけ一時プラス圏を回復したが買いが続かず、相場は続落で終了した。一方、米長期金利は、米政権の関税政策への懸念で買い(利回りは低下)が先行すると、利回りは一時4.1040%前後と昨年10月21日以来の低水準を付けた。ただ、引けにかけては一転売り(利回りは上昇)が優勢になった。ラトニック米商務長官が「トランプ米大統領はカナダ・メキシコ関税の軽減を明日発表する可能性」と述べたことで、過度の通商摩擦懸念が和らいだ。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数はから22.78から23.93へ上昇した。ただ、VIX指数が20を上回っていることで、リスク回避の動きが強まってきている。そして、債券利回りに対して、株式指数の益利回りが米主要三指数のNYダウとNASDAQ総合指数は下回っており、株式市場の割高感を維持していることには注意が必要。債券利回りよりリスクの高い株式益利回りの方が高いのが正常な状態であるが、逆転しているということは非常に株式市場の割高感が強いことを示している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

米国主要三指数のNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.719%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月3日+0.096%⇒3月4日:予想+0.122%(前日比で縮小:割高)

 

3月4日のNYダウが続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲2.719%から▲2.841%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲4.348%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.224%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲4.663%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.139%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.411%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%

19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%、20/3/23-▲6.222%

・3月3日:▲0.392%⇒3月4日:予想▲0.358%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.411%から▲2.053%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.227%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲3.644%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲3.821%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.141%下回った。20年3月23日の6.222%から▲5.864%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.307%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月3日:+0.448%⇒3月4日予想+0.524%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.307%から▲1.831%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.703%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.907%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.022%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.327%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.618%下回った。

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利は大幅上昇した一方で、株価指数が続落したものの前日比でイールドスプレッドは縮小した。しかし、スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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