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イールドスプレッドで12月9日の米国株市場を先取り!米長期金利は低下も米株の割高感はまちまち!

2024.12.06

 

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

6日は、NY株式相場は、米国株主要三指数はNYダウは反落した一方で、S&P500種指数とNASDAQ総合指数は反発する展開となった。一方、米長期金利は、追加利下げへの思惑の継続から買いが優勢となり金利は低下した。イールドスプレッドは、主要株三指数は、前日比でNYダウとS&P500種指数は前日比で拡大する割安の展開となった一方で、NASDAQ総合指数は割高となる展開となった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はプラス圏へ回復している。6日終了時ではプラス23.9(5日:プラス23.9)と前日比で変わらずの展開となった。この指数のプラス推移は、市場予想を上回る経済指標が増えていることを示している。そして、米景気が好調であることを示している。

NY株式市場では、雇用統計を受けて12月連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ期待が高まり、寄り付き後は上昇した。その後、数人の連邦準備制度理事会(FRB)高官が利下げに慎重な姿勢を示したため、利下げペース減速の思惑が強まり相場は伸び悩んだ。NYダウは管理医療会社ユナイテッドへルス(UNH)の下落が重しとなり、下落に転じ、終日軟調に推移した。ナスダックは早期利下げ期待が支援し終日堅調に推移し連日で過去最高値を更新し、相場はまちまちで終了した。一方、米長期金利は、11月米雇用統計の内容が利下げを見送るほどの強い内容ではなかったとの見方から債券買い(利回りは低下)が進行した。利回りは一時4.12%台まで低下した。12月米ミシガン大学消費者態度指数・速報値の良好な内容を受けて伸び悩んだが、下値は限られた。労働参加率が低下するなかで失業率が上昇し、「総じてみると、若干弱めだった」との声もあった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数はから13.54から12.77へ低下した。VIX指数が20を下回っていることで、リスク回避の動きは弱まってきている。ただ、債券利回りに対して、株式指数の益利回りが米主要三指数全てで下回っており、株式市場の割高感を維持していることには注意が必要。債券利回りよりリスクの高い株式益利回りの方が高いのが正常な状態であるが、逆転しているということは非常に株式市場の割高感が強いことを示している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

米国主要三指数のNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月5日+0.821%⇒12月6日:予想+0.797%(前日比で拡大:割安)

 

12月6日のNYダウは続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲2.778%から▲3.575%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲5.023%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.899%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲5.338%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.814%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.456%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%

19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%、20/3/23-▲6.222%

・12月5日:+0.186%⇒12月6日:予想+0.180%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅反発した一方で、米国長期金利は低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.456%から▲2.636%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲4.049%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲4.182%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲4.359%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.679%下回った。20年3月23日の6.222%から▲6.402%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.351%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月5日:+1.180%⇒12月6日予想+1.189%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.351%から▲2.540%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲3.368%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲3.572%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.687%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.992%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲5.283%下回った。

 

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が低下した一方で、株価指数は反発したことで前日比でイールドスプレッドは縮小した。そして、スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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