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イールドスプレッドで11月21日の米国株市場を先取り!米長期金利上昇で米株の割高感は若干強まる!

2024.11.21

 

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

20日は、NY株式相場は、米国株主要三指数はNYダウとS&P500種指数は上昇した一方で、NASDA総合指数は3日ぶりに反落する展開となった。一方、米長期金利は、不調だった20年債入札を受け売りが優勢となり金利は上昇した。イールドスプレッドは、主要三指数全てで縮小する割高となる展開となった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はプラス圏へ回復している。20日終了時ではプラス38.5(19日:プラス39.7)と前日比でプラス圏で縮小する展開となった。この指数のプラス推移は、市場予想を上回る経済指標が増えていることを示している。そして、米景気が好調であることを示している。

NY株式市場では、ウクライナがロシア領内に英国製の長距離ミサイルを発射したとの報道で地政学的リスクの存続が警戒され、寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事がインフレの進展が停滞しているとタカ派姿勢を示し、長期金利の上昇を嫌気した売りに続落した。ただ、相場をけん引するとして動向が注目される半導体のエヌビディア(NVDA)の決算発表を取引終了後に控えNYダウは終盤にかけて買い戻されて上昇に転じた。ナスダックも下げ幅を縮小したがプラス圏を回復できずにまちまちで終了した。一方、米長期金利は、ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感から相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が先行したものの、20年債入札が低調だったことが分かると失速した。トランプ次期政権の政策次第では米財政赤字が拡大し、米長期金利の上昇圧力になるとの見方が需要の鈍さにつながった可能性がある。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数はから16.35から17.16へ上昇した。ただ、VIX指数が20を下回っていることで、リスク回避の動きは弱まってきている。ただ、債券利回りに対して、株式指数の益利回りが米主要三指数全てで下回っており、株式市場の割高感を維持していることには注意が必要。債券利回りよりリスクの高い株式益利回りの方が高いのが正常な状態であるが、逆転しているということは非常に株式市場の割高感が強いことを示している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

米国主要三指数のNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.790%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

               24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月19日+0.928%⇒11月20日:予想+0.947%(前日比で縮小:割高)

 

11月20日のNYは5日ぶりに反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲2.790%から▲3.737%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲5.173%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲5.049%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲5.488%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.964%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.464%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

               24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月19日:+0.315%⇒11月20日:予想+0.323%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅3日続伸したうえ、米国長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.464%から▲2.787%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲4.192%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲4.325%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲4.502%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.822%下回った。20年3月23日の6.222%から▲6.545%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.359%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

              24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月19日:+1.310%⇒11月20日予想+1.314%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが3日ぶりに反落する一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.359%から▲2.668%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲3.488%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲3.692%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.807%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲4.112%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲5.403%下回った。

 

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数は反落したものの前日比でイールドスプレッドは縮小した。ただ、スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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