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イールドスプレッドで10月4日の米国株市場を先取り!株価反落でも米長期金利上昇で割高感は若干強まる!

2024.10.04

 

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

3日は、NY株式相場は、米国株主要三指数は全てで反落する展開となった。イスラエルのイランに対する報復への警戒感が強まりセンチメントが悪化する中、翌日の9月雇用統計の発表を控えた様子見姿勢も強まった。一方、長期金利は、良好な経済指標を受けると売りが優勢となり金利は上昇した。そのため、イールドスプレッドは、米国株主要三指数の全てで前日比で割高となった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はプラス圏へ回復している。3日終了時ではプラス6.7(2日:プラス3.4)と前日比でプラス幅で拡大した。そして、プラス圏へ回復する展開継続している。この指数のプラス推移は、市場予想を上回る経済指標が増えていることを示している。今後も9月の利下げの効果が出てくるかが焦点になる。

NY株式市場では、中東情勢の深刻化懸念が重しとなり、寄り付き後は下落した。ISM非製造業景況指数が予想以上に上昇したため景気見通し改善で一時プラス圏に回復した。しかし、バイデン大統領がイスラエルのイラン報復を巡り石油施設攻撃の可能性を示唆すると原油高や地政学的リスク上昇を警戒した売りが加速して再び下落した。ナスダックは半導体のエヌビディアの上昇が下支えとなったが終盤にかけても4日に雇用統計の発表を控えた警戒感に利益確定売りも強くなり戻り鈍く終了した。一方、米長期金利は、9月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ると債券売り(利回りは上昇)が優勢となった。WTI原油先物相場が急騰したことで、「インフレ懸念による債券売りが出た」との指摘もあった。米サービス業の景況感の改善を示す経済指標を受け、債券売りが出た。一時3.85%と1カ月ぶりの高水準を付けた。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数は18.90から20.49へ低下した。まだVIX指数が20を上回ったことで、リスク回避の動きは強まってきている。そして、債券利回りに対して、株式指数の益利回りが割高感を維持していることには注意が必要。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

米国主要三指数のNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.822%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

               24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月2日▲0.078%⇒10月3日:予想▲0.030%(前日比で縮小:割高)

 

10月3日のNYダウが反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)だった。平均値▲2.823%から▲2.793%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲4.196%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.072%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲4.511%下回った。20年3月23日の6.017%から▲5.987%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.490%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

               24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・10月2日:▲0.417%⇒10月3日:予想▲0.360%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反落した一方で、米国長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.490%から▲2.130%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.509%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲3.642%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲3.819%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.139%下回った。20年3月23日の6.222%から▲5.862%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.383%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

              24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・10月2日:+0.55%⇒10月3日予想+0.615%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.383%から▲1.998%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.794%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.998%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.113%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.418%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.709%下回った。

 

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価指数も反落したことで前日比でイールドスプレッドは縮小した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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