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イールドスプレッドで7月1日の米国株市場を先取り!米長期金利の大幅上昇で米国株の割高感は強まる!

2024.06.29

 

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

28日は米長期金利が大幅上昇した一方で、米国株主要三株価指数も全てで反落する展開となった。しかし、イールドスプレッドは全てで前日比で割高となった。上半期末の持ち高調整売りに押され、主要3指数がそろって下落して終了した。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はマイナス圏へ低下している。28日終了時ではマイナス26.6(27日:マイナス27.3)と前日比でマイナス幅は縮小した。この指数のマイナス推移は、市場予想を下回る経済指標が増えていることを示している。現在は利下げ期待が株価を下支えしているが、先行きのファンダメンタルズの悪化は株式市場には下落要因となりやすい。そして、全般的にイールドスプレッドからは、過熱感が強まっていることで、急速に株価が調整色を強める可能性があるため注意したい。米国株主要三指数で、NYダウとNASDAQ総合指数の益利回りが米長期利回りを下回る状況で割高感が強い。

NY株式市場では、寄り付きはまちまちとなった。5月PCE価格指数(コア)の鈍化を受けインフレ再加速への懸念が後退、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測が強まり相場を支えたが、NYダウは決算が失望されたスポーツ用品メーカーのナイキが重しとなり下げて始まった。6月ミシガン大消費者信頼感指数が予想を上回ったことを受けて上昇した。ナスダックは一時、過去最高値を付ける場面があったが、最新の経済指標を消化した後は下落に転じた。月末と四半期末が重なる中、機関投資家のリバランス(資産配分の調整)に伴う売りが観測されると一転下落した。一方、米長期金利は、5月個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想通り鈍化したことが分かると買い(利回りは低下)が先行したものの、そのあとは一転売り(利回りは上昇)が優勢となった。前日の米大統領選候補者討論会で、共和党のトランプ前大統領が優勢だったとの見方から、「米政府の財政拡張に対する懸念が売りを誘った」との指摘があった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数は12.24から12.44へ上昇した。VIX指数が20を下回っていることで、リスク回避の動きが強まる動きになっていない。しかし、債券利回りに対して、株式指数の益利回りがかなり割高感が強まっていることには注意が必要。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.878%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

               24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・6月27日+0.354%⇒6月28日:予想+0.459%(前日比で縮小:割高)

 

6月28日のNYダウは小幅反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲2.878%から▲3.337%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲4.685%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.561%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲5.000%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.476%下回った。

米国主要三指数の全てで、イールドスプレッドで益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.532%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

               24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・6月27日:▲0.030%⇒6月28日:予想+0.063%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は小幅反落した一方で、米国長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.532%から▲2.595%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.932%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲4.065%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲4.242%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.562%下回った。20年3月23日の6.222%から▲6.285%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.424%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

              24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・6月27日:+1.104%⇒6月28日予想+1.192%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.424%から▲2.616%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲3.371%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲3.575%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.690%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.995%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲5.286%下回った。

 

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価指数は反落したものの前日比でイールドスプレッドは縮小した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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