★イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。21日は米長期金利が上昇したうえ、主要三株価指数も反発する展開となった。そのため、イールドスプレッドは主要三指数全てで縮小する展開になった。過熱感が強まる展開になっている。NASDAQ総合の益利回りが長期金利を下回る展開が続いており、かなり割高感は強まっている。
★NY株式市場では、主要三指数は全て反発する展開になった。4月PMIが予想外に改善したためリセッション懸念を受けた売りが後退し、寄り付き後は底堅く推移した。同時に、早期の利上げ停止期待も後退したため金利の上昇を警戒し、その後は売り圧力が強まり一時下落に転じた。終盤にかけては、来週に控えている主要ハイテク企業の決算を見極めたいとの見方に買戻しが強まり、主要株式指数は小幅高で終了した。一方、米長期金利は、米景気先行きへの懸念がくすぶる中、買いが先行したものの、4月米購買担当者景気指数(PMI)速報値の上振れをきっかけに一転売り(利回りは上昇)が優勢となった。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数も反発したことで、全てで縮小する展開になった。全般的に割高感が非常に強まっていることから、上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。一方で、米国株のVIX指数は17.17から16.77へ低下した。VIX指数が20を下回っていることで、過度な金融不安は後退気味になっている。ただ、債券利回りに対して、株式指数の益利回りがかなり割高感が強まっていることには注意が必要。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.134%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・4月20日:▲1.181%⇒4月21日:予想▲1.140%(前日比で縮小:割高)
4月21日のNYダウが4日ぶりに反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.134%から▲1.994%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲3.086%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.962%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.401%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.877%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.717%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・4月20日:▲1.605%⇒4月21日:予想▲1.561%(前日比で縮小:割高)
S&P500は反発したうえ、米国長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.717%から▲1.156%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.308%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.441%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.618%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.938%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.661%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.642%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・4月20日:+0.035%⇒4月21日予想+0.077%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.642%から▲1.719%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.256%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.460%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.575%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.880%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.171%下回った。
★NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価指数も反発したことで前日比で縮小した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、プラス圏に上昇した。これは、益利回りが債券の利回りを下回ったことを示しており、債券利回りと比較するとかなり割高感が上昇していることを示している。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。