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イールドスプレッドで3月23日の米国株市場を先取り!米金利低下と部国株安で割高感和らぐ!

2023.03.23

 

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まりまる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。22日は米長期金利が大幅低下したうえ、主要三株価指数も全て反落する展開になったことで、主要三指数のスプレッドは拡大する展開になった。そのため、過熱感は和らぐ展開になっている。ただ、平均値と比較してもかなり割高感は強まっている状態は継続している。

 

NY株式市場では、主要三指数は全てで反落する展開になった。連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表待ちで売り買い交錯し、寄り付き後はまちまちだった。その後、連邦準備制度理事会(FRB)はFOMCで市場の予想通り0.25%の利上げに踏み切ったが、同時に、最近の金融危機を受けた不透明感を考慮し声明の文言を変更するハト派利上げを好感し、一時上昇に転じた。しかし、パウエル議長が会見で、もし、必要となれば想定以上の利上げを実施する姿勢を見せたため過剰な利上げによる成長への懸念も広がり再び下落した。さらに、イエレン財務長官が上院小委員会での証言で、政府は預金保護拡大を検討していないと言及すると、地銀を含め金融の下げが加速し、全体指数をさらに押し下げた。終盤にかけ下落幅を拡大し終了した。一方、米長期金利は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で『米連邦準備理事会(FRB)の利上げはあと1回』と示唆されたことから、債券買い(利回りは低下)が強まった。市場では『基本的にはハト派的な声明で、引き締めサイクルの終了にかなり近づいている』との声が聞かれた。米国株相場の下落も相場の支援材料となった。金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは一時0.25%低下した。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅低下したうえ、主要三指数も反落する展開になったことで、全ての指数で拡大する展開になった。全般的に割高感が非常に強まっていることから、上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。一方で、米国株のVIX指数は21.38から22.26へ上昇した。VIX指数が20を上回っていることで、ボラティリティが高まりやすい地合いが続いている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.147%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%

                22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月21日:▲1.287%⇒3月22日:予想▲1.532%(前日比で拡大:割安)

 

3月22日のNYダウが大幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲3.147%から▲1.615%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.694%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.570%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.009%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.485%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.723%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%

               22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月21日:▲1.734%⇒3月22日:予想▲1.989%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は大幅反落したうえ、米国長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.723%から▲0.734%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.880%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.013%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.190%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.510%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.233%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.652%

・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%

              22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月21日:▲0.024%⇒3月22日予想▲0.248%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが大幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.652%から▲1.404%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.931%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.135%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.250%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.555%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.846%下回った。

 

★NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下したうえ、株価指数も反落したことで前日比では大幅拡大した。しかし、スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、2月8日来マイナス圏に低下した。これは、益利回りが債券の利回りを上回ったことを示しており、債券利回りと比較すると割高感が後退したことを示している。ただし、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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