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イールドスプレッドで2月10日の米国株市場を先取り!米国続落も割高感強まる!

2023.02.10

 

日本経済新聞でも金利上昇で債券投資が復権しているとの記事が掲載されているように、米国株式市場の益利回りと米長期金利利回りとの差が縮小していることで、債券への割安感が強まっている一方で、米国株式の割高感が強まっている。割高感を解消するには、米長期金利が低下するか、それとも米国株が下落調整するか。それとも、その両方なのかである。

 

★NY株式市場では、主要三指数は全てで続落する展開になった。新規失業保険申請件数が予想を上回ったため労働市場ひっ迫緩和の思惑で金利低下を好感した買いに、寄り付き後は上昇した。しかし、リッチモンド連銀のバーキン総裁が利上げ軌道を維持する必要性を強調、金利が再び上昇すると、売り圧力が強まり、下落に転じた。終盤にかけて、JPモルガンのダイモンCEOがインフレにおいて勝利宣言するのは時期尚早と発言、さらに、来週予定されている消費者物価指数(CPI)を警戒し金利が一段と上昇すると売りも加速し、下げ幅を拡大し終了した。一方、米長期金利は、前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容となったことを受けて買い(利回りは低下)が先行したものの、低調な30年債入札をきっかけに一転売り(利回りは上昇)が優勢となった。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、主要三指数全てで続落したものの、全ての指数で縮小する展開になった。全般的に割高感が非常に強まっていることから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りを下回る異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は19.63から20.71へ上昇した。米国株が反落したことで、VIX指数は上昇した。米国株が続落しても、それ以上に米長期金利が上昇すると、割高感が解消されない。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.165%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%

                22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月8日:▲1.225%⇒2月9日:予想▲1.214%(前日比で縮小:割高)

 

2月9日のNYダウが続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.165%から▲1.951%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲3.012%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.888%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.327%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.803%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.734%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%

               22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月8日:▲1.495%⇒2月9日:予想▲1.494%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続落した一方で、米国長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.735%から▲1.241%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.375%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.508%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.685%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲3.005%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.728%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.668%

・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%

              22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月8日:+0.010%⇒2月9日予想▲+0.019%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.668%から▲1.687%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.198%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.402%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.517%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.822%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.113%下回った。

 

★NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数は続落したものの前日比で縮小した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、プラス圏に浮上したことは益利回りが債券の利回りを下回ったことで、債券利回りと比較すると割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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