★NY株式市場では、主要三指数は全てで下落する展開になった。1月雇用統計やISM非製造業景況指数が予想を大幅に上回る強い結果を受けて、利上げ長期化懸念を受けた売りが再燃し、寄り付き後は下落した。同時にリセッション懸念後退に伴う買いも見られ一時上昇に転じる局面もあった。しかし、一部ハイテク企業の冴えない決算や金利高を警戒したハイテクの売りが重しとなり、再び主要株式指数は下落。終盤にかけて、下げ幅を拡大し終了した。一方、米長期金利は、良好な1月米雇用統計を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの期待が後退すると売り(利回りは上昇)が優勢となった。1月米ISM非製造業指数が予想を上回ったことも相場の重しとなった。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇した一方で、主要三指数は下落展開となったものの、全ての指数で縮小する展開になった。全般的に割高感が非常に強まっていることから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りとほぼ変わらない異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は18.73から18.33へ低下した。米国株は下落したものの、VIX指数は低下した。米FRBの早期の利上げ停止期待が後退したことで、米国株式市場へのリスクが高まってきた。また、米国主要株価指数は全般割高感は強い。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.167%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・2月2日:▲1.477%⇒2月3日:予想▲1.370%(前日比で縮小:割高)
2月3日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.167%から▲1.797%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.856%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.732%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.171%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.647%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.736%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・2月2日:▲1.617%⇒2月3日:予想▲1.544%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反落した一方で、米国長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.736%から▲1.192%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.325%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.458%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.635%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.955%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.678%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.671%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・2月2日:▲0.121%⇒2月3日予想▲0.052%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反落した一方で、米長期金利が大幅したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.671%から▲1.619%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.127%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.331%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.446%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.751%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.042%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価指数が反落したものの前日比で縮小した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、ゼロ近辺で推移しており債券利回りと比較すると割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。