★NY株式市場では、主要三指数全てで続落する展開になった。景気後退懸念がくすぶり寄り付き後は下落した。週次失業保険申請件数が予想外に減少したため追加利上げを織り込む金利の上昇を警戒した売りも再燃したほか、イエレン財務長官が連邦債務が上限に達し特別策を講じ議会に上限引き上げなどの対応を要請したことが報じられると、政府機関閉鎖リスクを懸念した売りも強まり、一段安となった。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長が利上げ減速を支持する姿勢を見せると警戒感を受けた売りが後退した。一時下げ止まるも終日軟調推移となった。一方、米長期金利は、1月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことから、売り(利回りは上昇)が優勢となった。前日に急伸した反動で持ち高調整目的の売りが出やすい面もあった。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、主要三指数が大幅続落したことで全てで拡大する展開になった。割高感はやや後退したものの、全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りとほぼ変わらない異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は20.34から20.52へ上昇した。VIX指数が再び20を超えてきたことで振れの大きな動きになりやすいので注意が必要となる。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.173%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・1月18日:▲1.899%⇒1月19日:予想▲1.913%(前日比で拡大:割安)
1月19日のNYダウが続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲3.173%から▲1.260%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.313%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.189%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.628%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.104%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.740%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・1月18日:▲2.028%⇒1月19日:予想▲2.042%(前日比で拡大:割安)
S&P500は続落した一方で、米国長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.740%から▲0.698%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.827%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.960%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.137%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.457%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.180%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.676%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・1月18日:▲0.341%⇒1月19日予想▲0.352%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.676%から▲1.324%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.827%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.031%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.146%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.451%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.742%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数が大幅続落したことで前日比で拡大した。しかし、スプレッド幅は平均値を下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、ゼロ近辺で推移しており割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。