★NY株式市場では、主要三指数は全てで反発する展開になった。中国の経済再開などを期待した買いに寄り付き後は上昇した。11月JOLT求人件数が予想を上回り労働市場ひっ迫が示され金利先高観に一時売りに転じるも、同時に景気後退への懸念が緩和、押し目買い意欲も強く、その後は値ごろ感からの買いも見られ堅調に推移した。午後に入り、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した12月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の中で想定通りタカ派姿勢が再確認され、利上げ長期化観測が強まり再び下落も、終盤にかけて買われプラス圏で終了した。一方、米長期金利は、ユーロ圏のインフレ圧力が緩和するとの観測から欧州債相場が上昇すると、米国債にも買い(利回りは低下)が波及した。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月13-14日分)公表後に債券売り(利回りは上昇)が強まる場面もあったが、反応は一時的だった。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下した一方で、主要三指数は反発したものの、主要三指数の全てで拡大する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りとほぼ変わらない異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.90から22.01へ低下した。VIX指数が20台で推移していることで、米国株相場は不安定な動きになりやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.178%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・1月3日:▲1.542%⇒1月4日:予想▲1.581%(前日比で拡大:割安)
1月4日のNYダウが反発した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲3.178%から▲1.597%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.645%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.521%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.960%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.436%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.743%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・1月3日:▲1.761%⇒1月4日:予想▲1.779%(前日比で拡大:割安)
S&P500が反発した一方で、米国長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.743%から▲0.964%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.090%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.223%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.400%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.720%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.443%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.681%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・1月3日:▲0.166%⇒1月4日予想▲0.200%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが反発した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.681%から▲1.481%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.979%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.183%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.298%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.603%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.894%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下した一方で、株価指数は反発したものの前日比で拡大した。ただ、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、ゼロ近辺で推移しており割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。