★びっくり指数は、シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。
この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。
日米欧の12月29日終了時のびっくり指数は、日本(赤線):▲38.7、米国(黄線):▲3.9、欧州(緑線):+68.1となっており、欧州(ユーロ)が一番強く、米国(米ドル)、日本(円)の順番となっている。
一番強い欧州は7月28日の▲105.0がボトムとなり、その後は右肩上がりの改善方向継続している。そのため、欧州での経済指標の結果が市場予想を上回る結果が多いことを示している。ただ、直近ではやや上値が重くなってきている。欧州では欧州中央銀行(ECB)が金融引き締めを強めている一方で、インフレ率の高進によりスタグフレーション懸念があるとされている。しかし、経済は底堅い展開が継続していることになる。
続いて米国は6月23日の▲74.8がボトムとなり、持ち直しの動きが続いていたが10月19日の+23.0がピークとなりやや上値が重くなってきており、マイナス圏に下落している。ただ、直近では若干持ち直しの動きになっていることで、先行きの動向が注視される。
最後に日本は乱高下激しく7月8日の▲66.10がボトムとなり持ち直す動きになっていたが、10月20日の+37.1がピークとなり下落基調が継続している。そのため、日本で発表される経済指標が市場予想を下回る悪化方向になっていることを示している。
現状のストラテジー的にはユーロ買い・ドルと円売り、ドル/円ではドル買い・円売りとなる。ユーロ/ドルでは、ユーロ高・ドル安が継続しており、ストラテジー通りの動きになっている。一方、円に関しては20日に日銀が金融政策決定会合で、イールド・カーブ・コントロール(YCC)を上限+0.25%から+0.50%へ引き上げたことから、先行きの利上げ期待も強まり円買いが強まっている。しかし、ストラテジーからすると、経済基盤の弱まっている円買いは一時的な動きとなりやすいく、相場転換の見方にはなりにくく再び円売りが強まりやすい。
欧州(ユーロ)が一番強く、米国(米ドル)、日本(円)の順番となっている。