★NY株式市場では、主要三指数は全てで続落する展開になった。12月製造業・サービス業PMI速報値が想定外に11月から悪化したため景気後退を懸念した売りに寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)高官がインタビューや講演で、FRBの政策金利を高水準で長期にわたり維持する姿勢を再確認したため長期金利やドルが上昇したことも更なる売り圧力となり、相場をさらに押し下げた。年末にかけたポジションの手仕舞い売りも目立ったが、本日は4兆ドル規模と言われる大口オプションの満期日に当たり、テクニカル要因で終盤にかけては買戻しも見られ下げ幅を縮小して終了した。一方、米長期金利は、欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融引き締め観測を背景に欧州債相場が下落(利回りは上昇)すると、米国債にも売り(利回りは上昇)が波及した。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化も意識される。ただ、低調な米経済指標を受けて買い戻し(利回りは低下)が入ると下げ幅を縮めた。米景気後退への懸念が高まる中、安全資産とされる米国債に買いが入りやすい面もあった。イールドスプレッドからは、米長期金利は上昇した一方で、主要三指数は続落したものの、NYダウとS&P500種指数は拡大した一方で、NASDAQ総合指数は縮小する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りとほぼ変わらない異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.83から22.62へ低下した。VIX指数が20台で推移していることで、米国株は不安定方向に向かっている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.184%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月15日:▲1.725%⇒12月16日:予想▲1.727%(前日比で拡大:割安)
12月15日のNYダウが大幅続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.184%から▲1.457%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.499%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.375%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.814%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.290%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.746%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・12月15日:▲1.948%⇒12月16日:予想▲1.969%(前日比で拡大:割安)
S&P500は大幅続落した一方で、米国長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.746%から▲0.777%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.900%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.033%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.210%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.530%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.253%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.687%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・12月15日:▲0.316%⇒12月16日予想▲0.312%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.687%から▲1.375%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.867%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.071%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.186%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.491%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.782%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数は続落したものの前日比で縮小した。ただ、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、ゼロ近辺で推移しており割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。