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イールドスプレッドで12月16日の米国株市場を先取り!

2022.12.16

 

★NY株式市場では、主要三指数は全てで続落する展開になった。連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を高い水準で長期にわたり維持する計画を表明したことに続いて、欧州中央銀行(ECB)も定例理事会で当面利上げを継続する必要があるとタカ派色を強めたため警戒感から大きく売られ、寄り付き後は下落した。世界主要中央銀行の過度な金融引き締めによる景気後退入りを警戒した売りが終日続き、下げ幅を拡大した。一方、米長期金利は、欧米中銀の積極的な金融引き締めが長期化するとの警戒感から、投資家がリスク回避姿勢を強めると相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下したうえ、主要三指数も続落したことで拡大した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りとほぼ変わらない異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は21.14から22.83へ上昇した。VIX指数が20台で推移していることで、米国株は不安定方向に向かっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.184%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%

                22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月14日:▲1.551%⇒12月15日:予想▲1.698%(前日比で拡大:割安)

 

12月15日のNYダウが大幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.184%から▲1.486%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.528%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.404%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.843%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.319%下回った。NYダウは、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて利上げ長期化による景気悪化が懸念されるなか、米11月小売売上高が予想以上に悪化したことで景気後退(リセッション)懸念が一段と強まった。NYダウは下落してスタートすると、一時950ドル安まで下落幅を広げ、764.13ドル安(-2.25%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.747%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%

               22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月14日:▲1.778%⇒12月15日:予想▲1.942%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は大幅続落したうえ、米国長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.747%から▲0.805%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.927%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.060%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.237%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.557%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.280%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.687%

・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%

              22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月14日:▲0.174%⇒12月15日予想▲0.326%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが大幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.687%から▲1.361%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.853%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.057%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.172%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.477%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.768%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価指数も続落したことで前日比で拡大した。ただ、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、ゼロ近辺で推移しており割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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