★NY株式市場では、主要三指数は全て反発する展開になった。押し目からの買戻しに、寄り付き後は上昇した。その後、NY連銀調査によるインフレ期待が短中期とも低下し、インフレや利上げピーク達成への期待が再燃したため続伸した。終盤にかけ、重要インフレ指標の発表を明日に控えた買戻しも一段と強まり、上げ幅を拡大して終了した。一方、米長期金利は、明日13日の11月米消費者物価指数(CPI)や14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表など、重要イベントを前にポジション調整目的の売り(利回りは上昇)が出た。10年債入札が『低調』と受け止められたことも相場の重しとなった。 イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数も反発したことで縮小した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りとほぼ変わらない異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.29から25.00へ上昇した。VIX指数が20台で推移していることで、米国株は不安定方向に向かっている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.186%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月9日:▲1.546%⇒12月12日:予想▲1.436%(前日比で縮小:割高)
12月12日のNYダウは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.186%から▲1.750%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.790%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.666%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.105%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.581%下回った。NYダウは、翌日の米11月消費者物価指数(CPI)や14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を控え、買い戻しが優勢となった。先週、NYダウが2.77%安、S&P500が3.37%安、ナスダック総合が3.99%安とそろって大幅安となったことや、NY連銀が発表した11月の1年先期待インフレ率が+5.2%と前月分から0.7%ポイント低下したことも、買い戻しの動きを強めた。先週に953ドル下落したNYダウは528.58ドル高(+1.58%)と急反発した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.748%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・12月9日:▲1.766%⇒12月12日:予想▲1.659%(前日比で縮小:割高)
S&P500は反発したうえ、米国長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.748%から▲1.089%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.210%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.343%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.520%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.840%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.563%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.689%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・12月9日:▲0.122%⇒12月12日予想▲0.046%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.689%から▲1.643%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.133%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.337%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.452%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.757%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.048%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価指数も反発したことで前日比で縮小した。引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、ゼロ近辺で推移しており割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。