★NY株式市場では、主要三指数は全て上昇する展開になった。中国政府がコロナ規制を緩和する兆しを好感し、寄り付き後は上昇した。今週に入り急ピッチで下落した反動で値ごろ感からの買いが入った。また、週次失業保険申請件数が増加基調で労働市場のひっ迫緩和の兆候も来年の利上げ観測の緩和に繋がり相場を更に押し上げた。終盤にかけても、明日に生産者物価指数(PPI)の発表を控えて、インフレ鈍化期待に主要株式指数はプラス圏を維持して終了した。一方、米長期金利は、明日の11月米卸売物価指数(PPI)や来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを前に、ポジション調整目的の売りが出た。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数も上昇したことで縮小した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りとほぼ変わらない異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は22.68から22.29へ小幅低下した。VIX指数が20台へ上昇してきたことで、米国株はやや不安定方向に向かっている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.187%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月7日:▲1.710%⇒12月8日:予想▲1.618%(前日比で拡大:割高)
12月8日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.187%から▲1.569%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.608%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.484%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.923%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.399%下回った。NYダウは、新規失業保険申請件数が前回から小幅に増加し、継続失業保険受給総数が1月以来の水準に増加したことで米連邦準備理事会(FRB)による積極的な引き締めへの警戒感がやや和らいだ。NYダウは終日プラス圏で推移し、183.56ドル高(+0.55%)の33781.48ドルで終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.748%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・12月7日:▲1.950%⇒12月8日:予想▲1.846%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反発したうえ、米国長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.748%から▲0.902%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.023%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.156%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.333%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.653%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.376%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.690%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・12月7日:▲0.293%⇒12月8日予想▲0.188%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.690%から▲1.502%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.991%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.195%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.310%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.615%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.906%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価指数も反発したことで前日比で縮小した。引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、ゼロ近辺で推移しており割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。