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イールドスプレッドで12月2日の米国株市場を先取り!

2022.12.02

 

★NY株式市場では、主要三指数はNYダウとS&P500指数は反落する一方で、NASDAQ総合指数は続伸する展開になった。前日に737ドル高と大幅に上昇し、2日に発表される11月の米雇用統計を控えて利益確定や持ち高調整の売りが優勢になった。前日夕の決算発表を受けて顧客情報管理のセールスフォースが大幅安となったことも、NYダウの重荷だった。前日の講演で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が12月にも利上げ幅を縮小すると示唆し、株買いが勢いづいた。しかし、1日の市場では、まだ利上げ自体は続く見通しで景気や企業業績の悪化懸念がくすぶるなか、前日の株高は行き過ぎとの声が聞かれた。一方、米長期金利は、前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言で米利上げ減速観測が強まったことから、この日も債券買い(利回りは低下)が優勢となった。11月米ISM製造業景気指数が予想を下回ったことも債券買いを促し、利回りは一時3.5012%前後と9月22日以来の低水準を記録した。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下した一方で、NYダウとS&P500指数は反落した一方で、NASDAQ総合指数は続伸したものの、主要三指数全てで拡大した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りの方が益利回りを上回る異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は20.58から19.84へ低下した。VIX指数が20台割れとなってきたことで、米国株も安定方向に向かっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.190%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%

                22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月30日:▲1.350%⇒12月1日:予想▲1.474%(前日比で拡大:割安)

 

12月1日のNYダウが反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲3.190%から▲1.716%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.752%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.628%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.067%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.543%下回った。NYダウは、インフレ指標が予想を下回り、長期金利が低下したことが支援となった一方、翌日発表の米11月雇用統計を控えた警戒感が上値圧迫要因となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が利上げペースの減速を示唆したことを好感し、前日に737ドル高となったNYダウは194.76ドル安(-0.56%)と3日ぶりに反落。共同最高経営責任者(CEO)の辞任が嫌気されたセールスフォースが8%超下落したこともダウ平均を押し下げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.750%

・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%

               22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月30日:▲1.571%⇒12月1日:予想▲1.672%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅反落したうえ、米国長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.750%から▲1.078%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.197%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.330%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.507%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.827%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.455%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.692%

・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%

              22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月30日:+0.058%⇒12月1日予想+0.033%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.692%から▲1.725%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.212%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.416%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.531%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.836%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.127%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価指数が大幅反発したことで前日比で縮小した。ただ、イールドスプレッドは債券利回りが益利回りを上回る異常な状態のため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、プラス圏となり割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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