★NY株式市場では、NYダウは続伸したものの、S&P500指数とNASDAQ総合指数は反落する展開になった。感謝祭祭日後のブラックフライデーで年末商戦入りから期待感に買われ、寄り付き後は上昇した。株式や債券市場は短縮取引となり調整も見られたが、季節的な要因などから年末に向けた買いも目立ち相場を押し上げた。一方で、ハイテクは携帯端末アップル(AAPL)の下落が牽引したほか根強い金利先高観に売られ、ナスダック総合指数は下落で終了し、まちまちの展開になった。アップルのスマートフォン『iPhone』を製造する中国の工場ではボーナス支払いを巡る労使トラブルも起き、生産が大幅に遅れると伝わった。一方、米長期金利は、米経済指標の発表がなかったうえ、感謝祭翌日で短縮取引となったため、取引参加者が少なく大きな方向感は出なかった。イールドスプレッドからは、米長期金利はわずかに低下した一方で、NYダウは続伸したもののS&p500指数とNASDAQ総合指数が反落する展開になった。そのため、NYダウは縮小した一方で、S&P500指数とNASDAQ総合指数は拡大した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りの方が益利回りを上回る異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は20.42から20.50へ上昇した。VIX指数が20台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。ただ、徐々に低下していることから、株式市場も安定化に向かっている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.192%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・11月23日:▲1.300%⇒11月25日:予想▲1.289%(前日比で縮小:割高)
11月25日のNYダウが続伸した一方で、米長期金利がわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値▲3.192%から▲1.903%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.937%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.813%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.252%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.728%下回った。NYダウは、感謝祭の翌日で午後1時までの短縮取引となったが、23日に公表された11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けた利上げペースの減速期待や年末商戦への期待が相場を支えた。NYダウは終日プラス圏で推移し、152.97ドル高(+0.45%)と3営業日続伸して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.751%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・11月23日:▲1.549%⇒11月25日:予想▲1.563%(前日比で拡大:割安)
S&P500は小幅反落したうえ、米国長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.751%から▲1.188%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.306%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.439%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.616%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.936%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.659%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.695%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・11月23日:+0.103%⇒11月25日予想+0.072%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは小幅反落したうえ、米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.695%から▲1.767%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.251%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.455%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.570%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.875%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.166%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利がわずかに低下したうえ、株価指数も反落したことで前日比で拡大した。ただ、イールドスプレッドは債券利回りが益利回りを上回る異常な状態のため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、プラス圏となり割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。