★NY株式市場では、主要三指数は全てで反落する展開になった。コロナ感染急拡大で中国各地で都市封鎖が再開されたため世界経済への影響を懸念し売られ、寄り付き後、下落した。連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派姿勢を弱めておらず積極的な利上げを継続する断固とした姿勢を背景とした金利先高観に特にハイテクが売られ、相場の重しとなった。その後、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が行き過ぎた利上げに慎重な姿勢を見せたため下げ幅を縮小し終了した。一方、米長期金利は、米国株相場の下落を受けて相対的に安全資産とされる米国債には買い(利回りは低下)が入った。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め姿勢が長期化するとの見方が強まる中、買い一巡後は伸び悩んだ。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数も反落する展開になったものの主要三指数では拡大した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りの方が益利回りを上回る異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は23.12から22.36へ低下した。VIX指数が20台前半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.194%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/13-▲1.556%
22/10/24-▲1.001%、22/11/7-▲1.049%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・11月18日:▲1.233%⇒11月21日:予想▲1.234%(前日比でわずかに拡大:割安)
11月21日のNYダウが小幅反落した一方で、米長期金利はわずかに上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲3.194%から▲1.960%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.992%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.868%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.307%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.783%下回った。NYダウは、中国での新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖が実施され経済活動再開期待が後退したことや、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続見通しが重しとなった。NYダウは、ボブ・アイガー氏の最高経営責任者(CEO)復帰を好感したウォルト・ディズニーが6%超上昇したことや、ウォルグリーン。コカ・コーラなどのディフェンシブ株が上昇したことが支えとなり45.41ドル安(-0.13%)と小幅な下落にとどまった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.753%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/10/6-▲1.919%、22/10/13-▲1.892%
22/10/24-▲1.378%、22/11/7-▲1.311%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・11月18日:▲1.466%⇒11月21日:予想▲1.479%(前日比で拡大:割安)
S&P500は小幅反落した一方で、米国長期金利はわずかに上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.753%から▲1.274%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.390%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.523%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.700%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲3.020%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.743%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.697%
・直近イールドスプレッド縮小:22/10/6-▲0.049%、22/10/13-▲0.063%
22/10/24-+0.363%、22/11/7-+0.384%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・11月18日:+0.195%⇒11月19日予想+0.162%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは反落した一方で、米長期金利は小幅上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.697%から▲1.859%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.341%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.545%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.660%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.965%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.256%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が小幅上昇した一方で、株価指数は反落したことで前日比で拡大した。ただ、イールドスプレッドは債券利回りが益利回りを上回る異常な状態のため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、プラス圏となり割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。