★NY株式市場では、主要三指数は全てで反発する展開になった。中国当局の『ゼロコロナ』政策緩和期待に寄り付き後は大幅上昇した。10月雇用統計では依然健全な労働市場が証明されたものの同時に失業率が上昇するなど一部弱まる兆候も見られ、さらに一部連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を受け利上げ減速観測も再燃し長期金利が一時低下すると一段高となった。その後、長期金利が再び上昇すると相場は失速した。引けにかけて再び大きく上昇する変動の激しい展開となり終了した。一方、米長期金利は、10月米雇用統計が強弱まちまちな結果となったことを受け、その後の債券相場は売買が交錯した。10年物国債利回りも上下に振れたが、総じて方向感は出なかった。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したうえ、主要三指数も反発する展開になったことで、主要三指数は全て縮小した。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りの方が益利回りを上回る異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は25.30から24.55へわずかに低下した。しかし、VIX指数が20台半ばで推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.201%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/6-▲1.628%
22/10/13-▲1.556%、22/10/24-▲1.001%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・11月3日:▲1.227%⇒11月4日:予想▲1.151%(前日比で縮小:割高)
11月4日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.201%から▲2.050%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲3.075%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.951%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.390%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.866%下回った。NYダウは、強弱まちまちの米10月雇用統計を受けて先行きの金融政策に対する見方が分かれ、株価は上下にもみ合ったが、終盤にかけて買いが優勢となった。エバンス米シカゴ連銀総裁が将来の利上げ停止に言及し、ドル安が進んだことも追い風となった。10月雇用統計では、失業率が9月の3.5%から3.7%に悪化した一方、非農業部門雇用者数が26.1万人増と市場予想の20.0万人増を上回る強い結果となった。週初からの4日間で860ドル下落したNYダウは、朝方に610ドル高まで上昇後、62ドル安まで反落したが、401.97ドル高(+1.26%)で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.757%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/12-▲1.927%、22/10/6-▲1.919%
22/10/13-▲1.892%、22/10/24-▲1.378%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・11月3日:▲1.546%⇒11月4日:予想▲1.459%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.757%から▲1.298%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.410%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.543%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.720%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲3.040%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.763%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.704%
・直近イールドスプレッド縮小:22/9/27-▲0.078%、22/10/6-▲0.049%
22/10/13-▲0.063%、22/10/24-+0.363%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・11月3日:+0.182%⇒11月4日予想+0.242%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.704%から▲1.946%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.421%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.625%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.740%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.045%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.336%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価指数も反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは債券利回りが益利回りを上回る異常な状態のため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、プラス圏となり割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。