★NY株式市場では、主要三株価指数は大幅反発する展開になった。10年債利回りが2007年来の高水準となる長期金利の上昇を警戒し寄り付き後は下落し、一時120ドル超下落した。その後、FRBの伝達手段の一つとしても知られるウォールストリート・ジャーナル紙が、FRBが11月FOMCで0.75%利上げ後、利上げペース減速を協議する可能性を報じたため、12月FOMCでの小幅幅利上げの思惑が強まり、金利が低下に転じると主要株式指数は上昇に転じた。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁のより小幅な利上げを計画し始めるべきとの発言も手伝い引けにかけて上げ幅を拡大し終了した。一方、米長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げが続くとの見方が強まる中、債券売り(利回りは上昇)が先行した。利回りは一時4.3354%前後と2007年11月以来の高水準を記録した。ただ、WSJ記事をきっかけにFRBが利上げペースを減速するとの観測が高まると、一転買い戻し(利回りは低下)が優勢となり持ち直した。利回りは一時4.19%台まで低下した。イールドスプレッドからは、米長期金利が小幅低下した一方で、主要三指数が大幅反発する展開になったことで、主要三指数は縮小する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。特にNASDAQ総合指数は、無リスクである米長期債利回りの方が益利回りを上回る異常な状態となっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は29.98から29.69に低下した。しかし、VIX指数が29台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.208%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/27-▲1.573%、 22/10/6-▲1.628%
22/10/13-▲1.556%、22/10/20-▲1.229%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月20日:▲1.229%⇒10月21日:予想▲1.102%(前日比で縮小:割高)
10月21日のNYダウは大幅反発した一方で、米長期金利は小幅低下しもののイールドスプレッドは前日比でに縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.208%から▲12.106%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲3.124%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲3.000%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲3.439%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.915%下回った。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.762%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/9/12-▲1.927%、22/10/6-▲1.919%
22/10/13-▲1.892%、22/10/20-▲1.601%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月20日:▲1.601%⇒10月21日:予想▲1.469%(前日比で縮小:割高)
S&P500は大幅反発した一方で、米長期金利は小幅低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.762%から▲1.293%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲2.400%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.533%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.710%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲3.030%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.753%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.710%
・直近イールドスプレッド縮小:22/9/27-▲0.078%、22/10/6-▲0.049%
22/10/13-▲0.063%、22/10/19+0.155%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月20日:+0.220%⇒10月21日予想+0.308%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは大幅反発した一方で、米長期金利は小幅低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.710%から▲2.018%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.487%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.691%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.806%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.111%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.402%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は小幅低下した一方で、株価指数は大幅反発したことで前日比では縮小した。イールドスプレッドは債券利回りが益利回りを上回る異常な状態のため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、プラス圏となり割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。