★NY株式市場では、主要三指数の全てが続落する展開になった。売られ過ぎ感などから押し目買いが先行し、寄り付き後は上昇した。しかし、シカゴ連銀のエバンス総裁のタカ派発言を受け、11月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ観測が一段と強まり売りが再燃し下落に転じた。さらに、高インフレを受けた主要企業の低調な四半期企業決算を警戒した売りや、ロシアがウクライナのキーウなどへの都市攻撃を再び激化させたことによる地政学的リスク上昇も更なる売り圧力となり、一段安となった。引けにかけて、ブレイナードFRB副議長が引き締めの必要性と同時に、市場や世界経済に不透明性が強まった場合の政策修正の可能性などに言及したため安心感から買戻しが優勢となり、下げ幅を縮小して終了した。一方、米長期金利は、コロンブスデーのため休場だった。イールドスプレッドからは、米長期金利は休場のため横ばいとする一方で、主要三指数が続落する展開になったことでイールドスプレッドは全てで拡大する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は31.36から32.45へ上昇した。VIX指数が30台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.213%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/9/12-▲1.664%
22/9/27-▲1.573%、22/10/6-▲1.628%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月7日:▲1.727%⇒10月10日:予想▲1.746%(前日比で拡大:割安)
10月10日のNYダウは続落した一方で、米長期金利は休場のため横ばいとするとイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.213%から▲1.467%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.480%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.356%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.795%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.271%下回った。NYダウは、金利上昇を警戒したハイテク株売りが続いたほか、JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)が2023年に景気後退(リセッション)入りするとの見通しを示したことや、翌日以降に発表される物価指標や大手金融機関の決算発表への警戒感も相場の重しとなった。前日まで3日続落したNYダウは朝方に189ドル高まで上昇する場面もあったが、286ドル安まで下落し、93.91ドル安(-0.32%)で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.764%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.989%、22/9/12-▲1.927%
22/9/27-▲1.989%、22/10/6-▲1.919%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月7日:▲2.012%⇒10月10日:予想▲2.057%(前日比で拡大:割安)
S&P500は続落した一方で、米長期金利は休場のため横ばいとするとイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.764%から▲0.707%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.812%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.945%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.122%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.442%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.165%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.715%
・直近イールドスプレッド縮小:22/9/12-▲0.198%、22/9/22-▲0.233%
22/9/27-▲0.078%、22/10/6-▲0.049%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月7日:▲0.126%⇒10月10日予想▲0.169%(前日比で拡大:割安)
NASDAQは続落した一方で、米長期金利は休場のため横ばいとするとイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.715%から▲1.546%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.010%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.214%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.329%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.634%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.925%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は休場で横ばいだった一方で、株価指数は続落したことで前日比では拡大した。イールドスプレッドは平均値の1/10超まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.1%台半ばで割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。