★NY株式市場では、主要三指数の全てが続落する展開になった。連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げを懸念する売りが続き、寄り付き後は下落した。低調な雇用関連指標を受けて長期金利が低下すると、安心感に一時上昇に転じた。しかし、FRBの3人の高官がそろって、インフレが高過ぎるため利上げを継続していく必要があると再表明すると、過剰な利上げを警戒した売りに押され再び下落した。長期金利も上昇し、引けにかけて、主要株式指数は下げ幅を拡大し終了した。米雇用統計を前に持ち高調整の売りが優勢となった。一方、米長期金利は、欧州債や英国債の下落を受けて米国債にも売り(利回りは上昇)が先行した。カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が『利上げ停止には程遠い』と述べたことも債券売りを誘った。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇した一方で、主要三指数が続落する展開になったもののイールドスプレッドは全てで縮小する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は28.55から30.52へ上昇した。しかし、VIX指数は30台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.215%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/8/24-▲1.809%
22/9/12-▲1.664%、22/9/27-▲1.573%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月5日:▲1.639%⇒10月6日:予想▲1.634%(前日比で縮小:割高)
10月6日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.214%から▲1.580%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.592%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.468%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.907%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.383%下回った。NYダウは、翌日に注目の米9月雇用統計の発表を控え様子見姿勢が強まる中、米10年債利回りが前日の3.75%台から3.82%台に上昇し、金融政策により敏感な米2年債利回りも4.15%台から4.25%に上昇したことが株式相場の重しとなった。NYダウは朝方に55ドル高まで上昇する場面もあったが、終盤に414ドル安まで下落し、346.93ドル安(-1.15%)で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.765%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.989%、22/8/24-▲2.137%
22/9/12-▲1.927%、22/9/27-1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月5日:▲1.930%⇒10月6日:予想▲1.922%(前日比で縮小:割高)
S&P500は続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.765%から▲0.843%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.947%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲2.080%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.257%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.577%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.300%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.716%
・直近イールドスプレッド縮小:22/8/24-▲0.404%、22/9/12-▲0.198%
22/9/22-0.233%、22/9/27-▲0.078%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月5日:▲0.097%⇒10月6日予想▲0.057%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.716%から▲1.659%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.122%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.326%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.441%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.746%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.037%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価指数は続落したことで前日比では縮小した。イールドスプレッドは平均値の1/30超まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.1%台割れで割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。