★NY株式市場では、主要三指数の全てが大幅続伸する展開になった。債務健全性への懐疑的見方に株式が売られていた金融のクレディスイス株が持ち直したため市場混乱への警戒感が後退し欧州からの流れを継いだ買いに、寄り付き後は上昇した。その後、8月JOLT求人件数が予想を下回り7月から大幅に減少した結果を受け労働市場の需要鈍化を見込み大幅利上げ継続観測が緩和された。長期金利が一段と低下すると、さらなる上昇に繋がった。一方、長期金利は、金融市場の不安定化リスクに配慮して主要中銀が利上げペースを緩めるとの思惑が浮上する中、世界的に債券買い(利回りは低下)が進んだ流れに沿った。8月雇用動態調査(JOLTS)が予想を下回ったことも相場を下支えした。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅低下した一方で、主要三指数は大幅続伸する展開になったことでイールドスプレッドは全てで縮小する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は30.10から29.07へ低下した。しかし、VIX指数は20台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.216%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/8/24-▲1.809%
22/9/12-▲1.664%、22/9/27-▲1.573%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月3日:▲1.903%⇒10月4日:予想▲1.750%(前日比で縮小:割高)
10月3日のNYダウは大幅続伸した一方で、米長期金利は小幅低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.216%から▲1.466%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.476%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.352%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.791%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.267%下回った。NYダウは、9月に急落した反動や長期金利の上昇一服を好感する流れが続いた。9月月間で8.84%下落したNYダウは、前日の765.38ドル高に続いて825.43ドル高(+2.80%)の30316.32ドルと大幅続伸した。9月22日以来、8営業日ぶりに30000ドルを回復した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.765%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.989%、22/8/24-▲2.137%
22/9/12-▲1.927%、22/9/27-1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月3日:▲2.221%⇒10月4日:予想▲2.047%(前日比で縮小:割高)
S&P500は続伸した一方で、米長期金利は小幅低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.765%から▲0.718%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.822%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.955%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.132%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.452%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.175%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.717%
・直近イールドスプレッド縮小:22/8/24-▲0.404%、22/9/12-▲0.198%
22/9/22-0.233%、22/9/27-▲0.078%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月3日:▲0.341%⇒10月4日予想▲0.211%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸した一方で、米長期金利は小幅低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.718%から▲1.507%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.968%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.172%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.287%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.592%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.883%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が小幅低下した一方で、株価指数は大幅続伸したものの前日比では縮小した。イールドスプレッドは平均値の1/8超まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.2%台前半で割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。