★NY株式市場では、主要三指数の全てが続落する展開になった。9月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)やミシガン大学消費者信頼感指数確報値が予想を下回る低調な結果で景気減速懸念を受けた売りに、寄り付き後は下落した。長期金利の低下に伴い一時上昇に転じるが、連邦準備制度理事会(FRB)の高官が講演やイベントで時期尚早の利上げ終了を警告したため金利先高観を受けた売りに押された。ロシアのプーチン大統領がウクライナ4州の併合を宣言、英米が追加対ロ制裁を発表し、地政学的リスクもさらなる売り圧力となり、引けにかけ下げ幅を拡大し終了した。一方、長期金利は、月末・期末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買い(利回りは低下)が先行したものの、NY午後に失速した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め長期化観測を背景に、引けにかけて売り(利回りは上昇)が強まった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇した一方で、主要三指数は続落する展開になったことでイールドスプレッドは全てで拡大する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも引き続き下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は31.84から30.62へ低下した。しかし、VIX指数は30台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.216%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/8/24-▲1.809%
22/9/12-▲1.664%、22/9/27-▲1.573%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・9月29日:▲1.804%⇒9月30日:予想▲1.861%(前日比で拡大:割安)
9月30日のNYダウが続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.216%から▲1.355%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.365%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.241%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.680%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.156%下回った。NYダウは、米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めによる景気後退懸念が強まる中、米8月コア個人消費支出 (PCE) 価格指数が前月比+0.6%と予想を上回る強い伸びとなったことや、大幅減益決算を発表したナイキの急落も重しとなった。NYダウは500.1ドル安(-1.71%)と大幅に2日続落し、3日ぶりに年初来安値を更新した。終値で2020年11月以来の29000ドル割れとなった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.766%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.989%、22/8/24-▲2.137%
22/9/12-▲1.927%、22/9/27-1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・9月29日:▲2.142%⇒9月30日:予想▲2.190%(前日比で拡大:割安)
S&P500が続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.766%から▲0.576%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.679%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.812%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.989%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.309%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.032%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.718%
・直近イールドスプレッド縮小:22/8/24-▲0.404%、22/9/12-▲0.198%
22/9/22-0.233%、22/9/27-▲0.078%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・9月29日:▲0.243%⇒9月30日予想▲0.263%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.718%から▲1.455%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.916%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.120%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.235%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.540%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.831%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数が大幅続落したことで前日比では拡大した。イールドスプレッドは平均値の1/6超まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.2%台半ばで割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。