★NY株式市場では、主要三指数の全てが上昇する展開になった。英国中銀が長期国債市場に介入し同国政府が提示した大型減税計画による影響を警戒した金融市場の混乱を鎮静化させたため、安心感から買われ、寄り付き後は上昇した。国内の長期金利も連れる形で大幅低下したため買戻しが加速し、終日堅調に推移した。引けにかけて、金利が一段と低下すると、買いに拍車がかかり、上げ幅を拡大した。市場では『前日までに6日続落し2020年11月以来の安値を付けていただけに、BOEの臨時措置が押し目買いのきっかけになった』との声が聞かれた。一方、長期金利は、英中銀(BOE)が市場安定化のために英長期国債の一時的な買い入れを発表すると、英国債相場が急騰(利回りは低下)した。米国債にも買い(利回りは低下)が波及した。米7年債入札後に買いが強まると、利回りは一時3.69%台まで低下した。なお、時間外では一時4.0150%前後と2008年10月以来の高水準まで上昇していた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅低下した一方で、主要三指数は上昇する展開になったもののイールドスプレッドは全てで拡大する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は32.60から32.18へ低下した。しかし、VIX指数は30台で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.217%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/8/24-▲1.809%
22/9/12-▲1.664%、22/9/27-▲1.573%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・9月27日:▲1.573%⇒9月28日:予想▲1.683%(前日比で拡大:割安)
9月28日のNYダウが大幅反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.217%から▲1.534%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.543%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.419%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.858%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.334%下回った。NYダウは、英中銀(BOE)が金融市場安定のために英国債を購入すると発表したことが好感された。BOEの発表を受けて過去最安値に下落した英ポンドは対ドルで1.4%高と反発し、時間外で一時2008年以来となる4.01%台まで上昇した米10年債利回りも3.73%台に急低下した。主要中銀の積極的な金融引き締めによる景気後退(リセッション)懸念が和らいだことや、金利低下が好感され米国株はほぼ全面高になった。NYダウは終盤に676ドル高まで上昇し、548.75ドル高(+1.88%)の29683.74ドルで終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.766%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.989%、22/8/24-▲2.137%
22/9/12-▲1.927%、22/9/27-1.989%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・9月27日:▲1.989%⇒9月28日:予想▲2.087%(前日比で拡大:割安)
S&P500が反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.766%から▲0.679%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.782%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.915%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.092%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.412%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.135%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.719%
・直近イールドスプレッド縮小:22/8/24-▲0.404%、22/9/12-▲0.198%
22/9/22-0.233%、22/9/26-▲0.139%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・9月27日:▲0.078%⇒9月28日予想▲0.209%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.719%から▲1.510%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.970%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.174%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.289%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.594%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.885%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価指数は反発したものの前日比では拡大した。イールドスプレッドは平均値の1/15超まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.2%台前半で割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。