★NY株式市場では、主要三指数の全てで大幅続落する展開になった。連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げピークを示唆する可能性などを期待した買いに寄り付き後は上昇した。FOMCが市場の予想通り3会合連続で0.75%の利上げを決定し、FRBのスタッフ予測で金利見通しが大幅に引き上げられ金利先高観が強まり、売りに転じた。同時に、景気後退リスクを受けた売りも強まり、引けにかけて主要株式指数は下げ幅を拡大し終了した。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)が今日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決め、金利見通しで一段の大幅利上げを示唆すると債券売り(利回りは低下)が優勢になった。利回りは一時3.6243%前後と2011年2月以来の高水準を付けた。ただ、パウエルFRB議長が定例記者会見で『今後の利上げペースは経済データ次第』『いつか利上げペースを落とすのが適切になるだろう』などと発言すると、債券を買い戻す(利回りは低下)動きが優勢となり、上げに転じた。米国株相場が急落したことで、安全資産とされる米国債の買いを促した面もある。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時4.1168%前後と07年10月以来の高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が低下したうえ、主要三指数が全てで大幅続落したことでイールドスプレッドは全てで拡大する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は27.16から27.99へ上昇した。VIX指数は20台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.220%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/8/19-▲1.825%
22/8/24-▲1.809%、22/9/12-▲1.664%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・9月20日:▲1.737%⇒9月21日:予想▲1.862%(前日比で拡大:割安)
9月21日のNYダウが大幅続落したうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.220%から▲1.358%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.364%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.240%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.679%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.155%下回った。NYダウは、注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)で積極的な利上げ継続が示唆されたことで、高金利政策による景気悪化懸念が強まった。FOMCでは、政策金利が市場予想通り0.75%引き上げられ、FF金利誘導目標は3.00-3.25%となった。FOMCメンバーの年末時点の金利予想は中央値で4.4%となり、11月と12月のFOMCでも積極的な利上げ継続の可能性が示された。NYダウは寄り付きからプラス圏で推移したが、FOMC結果公表後に急落した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見中に300ドル超上昇する場面もあったが、終盤に再度売られ、522.45ドル安(-1.70%)とほぼ一日の安値で終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.768%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.989%、22/8/24-▲2.137%
22/9/6-▲2.199%、22/9/12-▲1.927%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・9月20日:▲2.056%⇒9月21日:予想▲2.185%(前日比で拡大:割安)
S&P500が大幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.768%から▲0.583%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.684%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.817%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.994%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.314%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.037%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.722%
・直近イールドスプレッド縮小:22/8/24-▲0.404%、22/9/1-▲0.414%
22/9/6-▲0.410%、22/9/12-▲0.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・9月20日:▲0.253%⇒9月21日予想▲0.356%(前日比で拡大:割安)
NASDAQが大幅続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.722%から▲1.366%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.823%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.027%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.142%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.447%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.738%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価指数は大幅続落したことで前日比では拡大した。イールドスプレッドは平均値の1/4超まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.3%台半ばと割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。