★NY株式市場では、主要三指数の全てで反落する展開になった。連邦準備制度理事会(FRB)が2日間にわたる連邦公開市場委員会(FOMC)を開始したことにともない長期金利が一段と上昇したため売りが先行し、寄り付き後は下落した。FOMCの結果を警戒した売りが再燃し一段安となり、一時550ドル超下落した。終日軟調推移も、のちに延期が報じられたもののロシアのプーチン大統領がウクライナ戦争についてのスピーチを実施しなかったことが伝わると、地政学的リスクの低下を期待した買戻しに下げ幅を縮小し終了した。一方、長期金利は、明日21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果がタカ派寄りの内容になるとの観測が高まる中、債券売り(利回りは上昇)が優勢となった。利回りは一時3.6004%前後と2011年4月以来の高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇した一方で、主要三指数が全て反落したもののイールドスプレッドは全てで縮小する展開になった。全般的に割高感が強いことから上値追いよりも下押し調整的な動きに注意が必要である。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレが高止まりしている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は25.76から27.16へ上昇した。VIX指数は20台後半で推移していることで、米国株は不安定な動きが継続しやすい。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.220%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.713%、22/8/19-▲1.825%
22/8/24-▲1.809%、22/9/12-▲1.664%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・9月19日:▲1.792%⇒9月20日:予想▲1.774%(前日比で縮小:割高)
9月20日のNYダウが反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.220%から▲1.446%平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲2.452%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲2.328%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.767%下回った。20年3月23日の6.017%から▲4.243%下回った。NYダウは、翌日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控える中、金利の上昇が続いたことが重しとなった。政策金利の動向に敏感な米2年債利回りが2007年以来の高水準となる3.99%台に上昇し、米10年債利回りは2011年以来となる3.60%台に上昇した。NYダウは終日マイナス圏で推移し、313.45ドル安(-1.01%)で終了した。一時、553ドル安まで下落幅を拡大した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.768%
・直近イールドスプレッド縮小: 22/4/19-▲1.989%、22/8/24-▲2.137%
22/9/6-▲2.199%、22/9/12-▲1.927%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・9月19日:▲2.065%⇒9月20日:予想▲2.056%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.768%から▲0.712%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.813%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.946%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲2.123%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.443%下回った。20年3月23日の6.222%から▲4.166%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.722%
・直近イールドスプレッド縮小:22/8/24-▲0.404%、22/9/1-▲0.414%
22/9/6-▲0.410%、22/9/12-▲0.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・9月16日:▲0.341%⇒9月19日予想▲0.273%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.722%から▲1.449%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.906%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.110%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.225%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲2.530%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.821%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価指数は反落したものの前日比では縮小した。イールドスプレッドは平均値の1/6超まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲0.3%台前半と割高感が非常に強まっている。そのため、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。